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磁石の温度変化のお話(その1)

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磁石の性能は外部温度や使用温度によってどのような変化があるの?

低温度や高温度になる場合の使用上の注意事項は?

NeoMagのホームページ中の磁石ナビに全ての材質のB-Hカーブ、J-Hカーブが掲載されています。この中からネオジム磁石Neo40Hを例にしてご説明いたします。

磁石の温度変化のお話-画像1

(問い)室温より温度が上がった時や、下がった時の表面(空間)磁束密度や吸着力はどうなりますか?

(答え)残留磁束密度Brの温度変化から計算、推定します。

上図は20℃、50℃、80℃、120℃、150℃における(その温度で測定した)減磁曲線で、残留磁束密度Brは20℃で1.27T(= 12700G)、150℃で1.05T(=10500G)となることが分かります。これは1℃当り17(G)(=0.134%)低下することになり、この−0.134%/℃がこの磁石のBrの温度係数です。ある温度でのおおよその表面磁束密度や吸着力を知りたい場合は、20℃での各値(NeoMagホームページに情報があります)にこの温度係数をあてはめれば簡単に算出できます。

  • 例えば、ある形状で20℃の表面磁束密度が2000(G)のNeo40H磁石では、表面磁束密度も残留磁束密度と同様な温度係数と考えると、

    120℃では、B0(120℃)=2000−2000x(120−20)x0.00134=1732(G)⇒低くなります。

    −50℃では、B0(−50℃)=2000+2000x(20+50)x0.00134=2188(G)⇒高くなります。

  • または任意の温度でのBr値(B-Hカーブからも推測できますが)を算出してから、近似計算で磁束密度、吸着力を求めます。例えば120℃及び−50℃では、

    Br(120℃)=12700−12700x(120−20)x0.00134=10998(G)⇒低くなります。

    Br(−50℃)=12700+12700x(20+50)x0.00134=13891(G)⇒高くなります。

をNeoMagの近似計算のBr値フィールドに入れて磁束密度や吸着力を近似計算できます。

全ての磁石のBrの温度係数はマイナスの値であり、温度が上昇するとその温度におけるBr値は温度係数分低下することになります。一方、低温度では高い値を示すことになります。

(問い)保磁力Hcj、保磁力Hcbの温度変化の影響はありますか?

(答え)不可逆温度変化(不可逆減磁)を起こす場合があります。

赤色がJ-Hカーブといい、磁石そのものの磁化曲線で、X軸との交点がHcjになり、磁石の着磁がゼロになる逆磁界の強さを表しています。言い換えれば、磁石の逆磁界に対する強さとも言えます。一方、青色はB-Hカーブといい、加えた外部磁界(逆磁界でマイナス)とその時の磁石の発生している磁界を足し算したものになります。

このB-HカーブのX軸との交点がHcbとなり、電磁コイルと永久磁石の磁気回路が発生する磁界がゼロになる点ということになります。

ネオジム磁石の場合、保磁力の温度変化が大きく、温度が上昇すると1℃当り0.5%以上Hcjが低下します。このHcjの温度変化はHcbの温度変化に関係してきます。

特にHcbの温度変化は、常温に戻っても磁石の強さ(磁化)が元に戻らない”不可逆減磁”に関係してきますので注意を要します。

(問い)可逆温度変化(可逆減磁)と不可逆温度変化(不可逆減磁)とは何でしょうか?また、その現象は磁石の性能とどのように関係しますか?

(答え)元の性能に戻る変化が可逆温度変化で、戻らないのが不可逆温度変化です。

温度係数にしたがって温度が上昇すると残留磁束密度Brや表面磁束密度Bd、空間磁束密度Bpが低下しますが、ほとんどの場合、室温に戻しますと元の強さに復帰します。この場合が可逆温度変化ですが、元の強さに復帰しない場合もあり、この現象が不可逆温度変化です。一度でも高温度になる環境に磁石がさらされるとしたら、この不可逆温度変化=不可逆減磁に気をつける必要があります。

不可逆減磁は磁石の環境温度、形状、Hcj、Hcbの温度係数等に関係してきますが、多少理解しにくい面がありますので、次回詳細にご説明いたします。