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永久磁石の用途・応用シリーズ(7)

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【MRIヘの応用例】

1.X線CT(X-ray computed tomography)

人体の横断面の画像(断層画像)を得るのに最も普及している装置で、内臓や骨の位置によって透過するX線の量が異なるため、それが濃淡のパターンとして得られるものです。しかし、骨の奥にある臓器の画像は、骨が邪魔をして鮮明なものが得られないとか、放射線障害の危険性に注意が必要などの欠点があります。

2.MRI(Magnetic resonance imaging)

X線CTの実用化が開始されてからしばらくして、MRIが登場してきました。当初はNMR-CT(核磁気共鳴影像法)と呼ばれていましたが、「核」という言葉には日本人はアレルギーがあるので近年はMRIが一般的な呼称となっています。MRIでは生体の水分子や脂肪分子の中の水素原子の核磁気共鳴現象を利用して測定します。

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2-1.核磁気共鳴現象

永久磁石の磁力は主に電子のスピン磁気モーメントに関係していますが、MRIは原子核の核磁気モーメントを利用します。水や脂肪の水素原子に外部から強い磁界をかけると核磁気モーメントのエネルギー状態はいくつかに分かれ、このとき64MHzの電磁波を加えると、電磁波のエネルギーが水素原子だけに吸収され、エネルギー状態が高いほうへ励起します。この状態が核磁気共鳴ですが、この状態は不安定で、まもなく水素原子の周囲に振動する磁場(電磁波)を発生させながら減衰して元のエネルギー状態に戻ります。この元に戻るまでの時間(緩和時間)が組織やその状態、例えば正常細胞と癌細胞によって異なるので、その情報をコンピュータによって画像化します。つまり、水分子や脂肪分子の分布を輪切り状態で体内の深部まで調べることができるわけです。

2-2.MRIの磁界発生装置

(1)超伝導磁石タイプ

原子核に磁気共鳴を起こさせるには、極めて強力で且つ均一な磁界が必要です。このため、製品化当初のMRIには全て超伝導磁石が利用されていました。

超伝導磁石は超伝導線材を使った電磁石であり、超伝導状態(電気抵抗=ゼロ)を保つためにはコイルを絶対零度(=-273℃)近くにしておかなくてはなりません。

そのために液体ヘリウムが必要であり、冷却装置を含めて、全体として非常に重量の大きい、大掛かりな装置になります。最近ではかなり小型・軽量化したようですが、それでも、開業医院や小さな病院では場所、メンテナンス等で導入にはコスト面のバランスを考慮せざるを得ないのではないでしょうか。しかしながら、1テスラ(T)以上の強磁界が容易に得られ、S/N比の良好な、鮮明な画像が得られますので、多くの大病院ではこのタイプが使われています。

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(2)永久磁石(ネオジム磁石)タイプ

一方、永久磁石タイプのMRIもフェライト磁石を利用した装置が一部使われていましたが、発生できる磁界が弱く、また磁石も非常に大きなものが必要であったためにあまり普及しませんでした。しかし、ネオジム磁石が発明され、この永久磁石の磁気回路を使った冷却装置の必要がないコンパクトなMRIが商品化され、移動検診車や町の医院に数多く導入されてきています。このネオジム磁石タイプは0.2~0.5テスラ(T)程度の磁界ですが、超伝導タイプと異なり、S/N比の良い垂直方向の磁界が得られますので、十分実用に耐えられる製品になっています。なお、これらの磁気回路が要求される磁界の均一度は、磁石空間で400~500mmの球または楕円球の作用空間に30ppm以下です。例えば、0.2Tの磁界強度の場合は、6μT以内の均一度ということになります。

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このように、永久磁石、とりわけ強力な磁界を発生できるネオジム磁石は、最先端の医療分野においても重要な役割をになうようになってきています。

(参考資料)

吉岡安之 著 TDK編 日刊工業新聞社 “じしゃく忍法帳”