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永久磁石の用途・応用シリーズ(9)

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【アラゴの円板から積算電力量計、誘導モータへ】

1.アラゴの円板とは何か?

1824年フランスのドミニク・フランソワ・ジャン・アラゴは、磁石を銅製の円板に接近させ、磁石を回転すると銅円板も回転する“アラゴの円板”の現象を発見しました。これは、銅円板に発生した渦電流によるもので、のちにフーコーによって解明されました。

銅円板には“電磁誘導の法則”および“レンツの法則”にしたがって発生した渦電流が流れ、“フレミングの左手の法則”にしたがって力が加わり、回転することがわかったのです。

電磁誘導の法則

電流の誘導は、閉じた回路内の磁界が時間的に変化することによって発生した起電力によるものであり、且つ、一つの回路に生じる誘導起電力は、その回路を貫く磁束数が時間的に変化する割合に等しい。(1831年ファラデー)

レンツの法則

電磁誘導によって生ずる起電力は、磁束の変化を妨げる電流を生ずるような向きに発生する。(1834年レンツ)

フレミング左手の法則

右図のように、磁界、電流、発生する力の方向を表しの法則、モータの原理を簡潔に説明できる法則です。(1885年フレミング)

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2.アラゴの円板が回転する原理

下図に原理図を示しました。磁石による磁界の方向をこの紙面の上(表面)から下(裏面)とすると、磁石を反時計回りに動かすと、磁界Hの左側では磁界が弱まるので、レンツの法則により渦電流I1は図のように磁石と同じ向きに磁界が発生する(磁界を強める)向きに流れます。一方、磁界Hの右側では磁石と逆向きの磁界が発生する(磁界を弱める)向きにI2が流れます。

磁界Hの左右近傍では同じ向きに電流が流れ、Hと遠い場所では電流が打ち消しあいます。したがって、磁界Hで発生する電流Iは、ベクトル量で、I=I1+I2 となり、フレミング左手の法則による力Fは、同じくベクトル量で、F∞IxHとなります。この力によって、銅円板は磁石が動く方向と同じ方向に“スリップ”と呼ばれる時間の遅れを伴いながら回転をします。

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3.積算電力量計

皆さんのご家庭に必ずある積算電力量計の構成を右図に示します。これは、アラゴの円板の原理を応用したものですが、実は永久磁石の役割は“渦電流を発生させ、アルミ円板を回転させるためではなく、円板の回転にブレーキをかける“ことです。渦電流を発生させて、電力の通過にしたがって円板を回転させているのは、交流を流しているコイルです。電流の位相をずらしてコイルで回転磁界積算電力量計の構造概要を作り、円板を回しているのです。回転している物体は、慣性の法則に従い、たとえ摩擦があってもすぐに止まらないため、電気器具を使い終わった後もなお積算電力量計の円板が回転を続けているのでは困ります。そこで永久磁石がブレーキ役となって、ピタリと止める仕組みになっているのです。したがって、永久磁石が作る磁界は、アルミ板の回転を妨げる方向になります。

一般的に、積算電力量計は屋外に設置してあるので温度変化が大きく、磁石の磁気特性の温度変化により制動力がばらつくと困ります。したがって、現在でも永久磁石は温度特性が優れている“アルニコ磁石”を使用しているようです。

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4.誘導モータ(誘導電動機)

アラゴの円板や積算電力量計と同様な原理で動くモータが誘導モータで、右図はその代表的な“かご形モータ”です。永久磁石は使っていませんが、銅板やアルミ板の代わりに、効率の良いかご形巻線をロータにして回転させます。回転磁界はステータ巻線に3相交流を流して発生させます。また、同様な原理により設計された、その他種々のタイプの誘導モータがあり、広範な分野で活躍しています。

このように、“電磁誘導”という磁力線、電流、力の相互作用による物理現象が、近代の工業や文明の発展に大きな貢献をしていることがおわかりいただけましたでしょうか。

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(参考資料)

吉岡安之 著 TDK編 日刊工業新聞社 “じしゃく忍法帳”

NeoMagホ−ムページ“永久磁石の歴史と磁気科学の発展”