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超伝導磁石の可能性と応用シリーズ(6)

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【超伝導材料および超伝導磁石の応用】

前回まで超伝導の物理的な性質やその特徴を色々お話してきましたが、その産業面への応用となるとまだ課題も多く、その特長を十分生かしきれていないのが現状です。特に、超伝導体を極低温に冷却しなければならないハンディは大きく、それを乗り越えながらの応用・実用化には幅広い基礎技術と開発への強い熱意が必要です。今月以降、超伝導体または超伝導磁石の応用について、そのハンディを乗り越えながら実用化に向けて前進している製品を順に紹介して行きたいと思います。

1.超伝導材料の応用各種

下図は現在実用化が進んでいる用途、もしくは開発中の超伝導材料の応用をまとめたものです。超伝導材料の形として大きく分けると、(1)線材、(2)バルク(塊)、(3)薄膜、の3種となり、それぞれの特徴を効率良く利用できる用途・応用となっています。この中で最も応用が進んでいるのが、線材であり、その中でも超伝導電磁石への応用が最も多くなっています。また、大都市の地下送電ケーブルへの応用も盛んに研究されていて、すでに米国では一部実用化が開始されています。また、薄膜ではすでにSQUIDなどのジョセフソンデバイスに使われていて、最近ではVHF、UHF、マイクロ波の高性能フィルターや高性能小型アンテナなどの応用開発が進んでいます。バルクとしての応用は超伝導永久磁石としての用途開発が多いようですが、まだ技術的な課題が多く、この分野の実用化はこれからと言っても良いでしょう。

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2.超伝導線材の製法

超伝導体の大きな特徴である“電気抵抗ゼロ”の応用として、真っ先に考えられるのが、電線材としての応用で、その代表的なものが超伝導電磁石や送電ケーブルです。

超伝導線材にとってまず必要な特性は“臨界電流Icが高い”ということです。このことは、電線をできるだけ細くするためや大電流を流すための重要な特性であり、また超伝導電磁石や送電ケーブルをコンパクトにでき、省エネ、低コストにつながってきます。

さて、超伝導線材は超伝導材料だけでできているわけではありません。実際の超伝導線材1本は、数μm(ミクロン)から数百μmという細い超伝導線(フィラメント)が、超伝導体ではない銅などの他の導電金属の中に、数十〜百万本組み込まれた“多芯線”という構造になっています。多芯線にする理由は、(1)一本の超伝導線では長い電線の中の組成や結晶構造などの欠陥による悪影響が大きくなるため、多芯にして安定化を計る、(2)電線を急激な角度で曲げても超伝導特性が劣化しない、(3)交流電流に対して電力の損失が小さくなる、等があります。超伝導線材の中の超伝導体の割合は半分以下になってしまいますが、それでも一般の電線に比較すると桁違いの高い電流密度が可能になっています。

次図にニオブ-チタン(Nd-Ti)合金の多芯線材の作り方を示しました。

銅パイプの中にNd-Ti棒材を多数組み込み、室温および高温中で押出し加工します。これによってできた粗線材をさらに複数銅パイプに入れて押出し加工をし、これを繰り返すことによってNd-Ti超伝導フィラメントが数十〜百万本組み込まれた超伝導線材が完成します。

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3.超伝導線材に使われている材料の種類

多くの超伝導体が実用線材として研究・開発されましたが、製造方法の問題や超伝導特性の安定化技術などの課題等により多くが淘汰され、現在は次図のような3種の材料が超伝導材線材として生き残っています。合金・金属間化合物系としてはNd-Ti、Nb3Snが製造のし易さや超伝導特性の安定性が高く、MRIやリニアモーターカーなどの超伝導電磁石に使用されています。また酸化物系(セラミックス)の高温超伝導材料ではビスマス系(Bi-Sr-Ca-Cu-O)は臨界温度Tcが高く、超伝導電磁石のリードにはすでに実用化が開始されていて、さらに送電ケーブルの実用化開発では、その中心材料として大いに期待されています。

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以上、今月は超伝導全体としての応用の概略と、最も実用化が進んでいる線材の基礎についての解説でしたが、来月はそれらの超伝導線材を使った超伝導電磁石についての各種用途やトピックスを交えてお話したいと思っています。

(参考資料)

「トコトンやさしい超伝導の本」 下山淳一 日刊工業新聞社

「おもしろい磁石の話」(社)未踏科学技術協会 日刊工業新聞社