希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

ネオジム磁石の製造方法シリーズ(9)
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【ネオジム磁石の検査工程】
下図はネオジム磁石の製造工程です。今月はこの中の検査工程についてのお話をします。検査工程は製造工程中で実施する製品検査と、図にはありませんが着磁後に実施する出荷検査があります。今月はこれら検査工程について、検査項目や使用する機器やについての解説をいたします。
1.材料の基本磁気特性の測定(製品検査)
処理が終了した製品または焼結ブロックは次工程(加工、表面処理)に進める前に、B-Hトレーサーと呼ばれる電磁石を利用した測定機を使い、B-H曲線、J-H曲線を描き、同時にBr、Hcj、Hcb、(BH)maxなどの基本磁気特性データを取得します。被測定物は一般的にはブロックの場合はそのままか、測定専用試料をあらかじめ製品と同材料で成形して、製品と共に焼結、熱処理を行ったものを使用します。製造標準、仕様書などで規定された磁気特性が確認されて合格となります。このB-H曲線による基本磁気特性の測定は、各工程におけるロットの磁気特性合否判定や工程条件の適正化のためにも重要な測定です。
2.表面磁束密度の測定(出荷検査)
表面磁束密度は通常、ガウスメーターまたはテスラメーターと呼ばれる測定機で測定されます。ホール素子を利用したプルーブを被測定面に接触させて磁石表面の磁束密度を測定します。
この際に注意しなければならないことは、測定面上での測定位置をできるだけ明確にしておくことです。永久磁石は磁極面の中心部は相対的にパーミアンス係数が低く(反磁場が大きく)、端部に比べて表面磁束密度が低くなりやすく、逆に端部は磁束が集中して高くなりやすいことです。特に磁化方向に対して形状が薄い(パーミアンス係数が小さい)磁石はこの傾向が強くなり、したがって、仕様書等で表面磁束密度の規定をする場合は、測定位置を明確にしておくことが必要です。
3.総磁束量(トータルフラックス)の測定(出荷検査)
B-H特性などの基本磁気特性では最終製品の材質特性を表すだけであり、表面磁束密度は製品の表面部位の測定だけであり、且つ測定位置により数値が異なってきます。したがって、磁石全体の磁束量を測定する方法が磁石個々の磁気特性を検査する上で最も信頼性が高く、このような測定はフラックスメーターサーチコイルを使います。仕様書で規定された全数または抜取り検査の水準にしたがって測定を行います。
4.寸法測定(出荷検査)
製品寸法の測定は種々の方法があります。一般的な測定器は、ノギス、マイクロメータ、ダイヤルゲージ、デプスゲージ、ハイトゲージなどがあり、R部、小穴、複雑加工部位、外観等の測定・検査にはコンピュータ画像測定装置を使う場合もあります。
5.外観検査(出荷検査)
外観検査は目視による検査と、微小製品は前項のような画像測定装置を使う検査があります。目視による検査が一般的であり、主にカケ、ワレ、ヨゴレなどの検査を行います。仕様書には限度見本、それにしたがって作業標準、製造標準を作成することになります。
6.梱包、出荷
梱包についても仕様書でその仕様を明記しておく必要があります。種々の梱包の仕方があるので、本項では割愛しますが、以下の航空輸送に関する“IATA包装基準902・航空貨物の磁気漏洩保証”については特に注意を要します。従って、ネオジム磁石のような強力な磁力を有する着磁された永久磁石を航空貨物輸送する場合の梱包は、以下のような方法が有効です。
(a) 複数の磁石の場合は、磁石同士を連結させて磁力線の閉ループを作り、なるべく磁力線が外部に漏れにくくする積載方法を採用する。
(b) 梱包全体を鉄板で覆い、磁力線の外部への漏れを遮断する。
(c) 磁石が少量の場合は、なるべく大きな寸法で梱包を行い、見掛け上の磁気漏洩を減らす。
以上の梱包方法などを採用することによって、下記AまたはBの分類規程に適合させることが必要です。
【磁性物件の分類規程】 ※2011年1月1日に下記のように改定されています。
A:非磁性物件(航空輸送可能、一般貨物扱い)
 航空輸送の為に包装された磁性物件の表面上の任意の点から2.1mの距離において、
 磁気コンパスの振れ(偏向)が2度未満の物。
B:磁性物件(AIR輸送可能、但し”Magnetized Material”の文言が必要)
 (IATAハンドリングラベルNo.UN2807の貼付が必要)
 航空輸送の為に包装された磁性物件の表面上の任意の点から2.1mの距離において、
 磁気コンパスの振れ(偏向)が2度以上、4.6mで2度以下の物件。
C:磁性物件(航空輸送不可)
 A、Bの範囲を超えるもの。
以上で、昨年から9回続きました“ネオジム磁石の製造方法シリーズ”をとりあえず終了いたします。
次回からは新しいテーマ“永久磁石とモータの基本シリーズ”をお届けする予定です。
(参考資料)
「永久磁石・材料科学と応用」佐川眞人・浜野正昭・平林 眞(アグネ技術センター)
「希土類永久磁石」俵好夫・大橋健(森北出版)
「日本電磁測器株式会社ホームページ」
「電子磁気工業株式会社ホームページ」
「NeoMagホームページ、カタログ」
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