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モータの基礎と永久磁石シリーズ(7)
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【ブラシレスDCモータ】
ブラシレスDCモータ(Brushless DC Motor)はその名のとおりDCモータに分類する場合もありますが、駆動電源からみると、ACモータに分類することになります。前2回のNeoMag通信ではAC モータとしての同期モータについてお話してきました。その中のSPMモータ、IPMモータもブラシレスDCモータということもできますが、今月はこれらの周波数同期式モータではなく、ブラシと整流子を取り除いた代表的なブラシレスモータという観点から解説をしたいと思います。
1.ブラシレスDCモータの特徴と構造
ブラシレスDCモータは、DCモータの欠点であったブラシと整流子などの機械的な接触部を取り除き、電子的な整流回路を備えたモータです。構造的には以下の2種類があり、それぞれの特徴を生かした用途に使われています。いずれも回転原理は同じです。
DCモータと回転原理が類似しているため、回転力(トルク)と速度の関係は、DCモータとほとんど同じになります。DCモータの優れた制御性をそのままに、DCモータと比べてブラシがないので、電磁ノイズや寿命の点で有利であること、効率が高く省エネであること、設計の自由度が高く機器組み込み設計がしやすいなど、種々の特徴があります。そのためこれらの利点を生かした、HDDやDVDのような情報機器をはじめ、冷蔵庫や洗濯機のような家電製品にまで幅広く使用されるようになりました。
(1)インナーロータ形(内転形)
外側のヨークに電磁石を取付けて固定子とし、内側に永久磁石の回転子を配置した構造です。
一般的な永久磁石界磁式DCモータとは固定子と回転子の構造が逆になっています。この形式はDCモータと比べ次のような特長があります。
※回転軸の慣性モーメントが小さい
※本体が小型化できる
※放熱性が良好
しかし、小型の磁石で強力な磁束密度を作るには、高性能磁石が必要です。また、ステータ内側に多数のコイルを巻くのは、ロータのように、外側からコイルを巻くのに比べて組み立てが難しくなります。このためインナーロータ形モータは、小型でも高出力で、優れた動特性を必要とする用途に使われます。
次図はDCモータとインナーロータ形ブラシレスDCモータの断面構造を比較したものです。
(2)アウターロータ形(外転形)
インナーロータ形とは逆に、内側のコイルを固定子として利用して、外側の磁石のヨーク(カバー)が回転する構造となっていて、次のような特長を有しています。
※回転軸の慣性モーメントが大きい
※磁石を小型化する必要性が少ない
※コイルを巻く組み立て作業に有利な構造
アウターロータ形モータは、HDDやDVDのディスク回転用モータなどに採用されています。ロータを扁平にして、コイルをプリント基板に直接取り付け、薄型モータにした構造もあります。下図はアウターロータ薄型ブラシレスDCモータの概略図です。
2.ブラシレスDCモータの回転原理
下図にインナーロータ形ブラシレスDCモータの回転原理を示しました。この例では各コイルから60度回転した位置にホール素子(H1、H2、H3)を備え、コイルを三相Y接続にしています。
各ホール素子で磁極を感知して複数のトランジスタによる制御電流を各コイルに流します。このような回転原理は三相の同期モータに類似していますが、三相同期モータが回転磁界を利用しながら三相交流の周波数に同期した速度で回転するのに対して、ブラシレスDCモータは、トランジスタのスイッチイング周期に同期した速度で回転します。
以上、今月は近年その用途が拡大しているブラシレスDCモータの基礎について解説をさせていただきました。モータの分類の仕方によっては、ブラシレスDC モータはACモータの仲間に入れない場合もあり、且つ三相同期モータによく似ているため、多少混乱されるかもしれません。したがって、さらに詳細な原理・構造をお知りになりたい読者は、モータの専門書などによって理解を深めていただければと存じます。
(参考資料)
「小型モータのすべてがわかる」見城尚志、佐渡友茂、木村 玄 著(技術評論社)
「よくわかる最新モータ技術の基本とメカニズム」井手萬盛 著(秀和システム)
「自動車用モータ技術」堀洋一、寺谷 達矢、正木良三 著 (日刊工業新聞社)
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