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レアメタルの基礎シリーズ(5)
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先月は半導体および代表的な一次電池、二次電池とレアメタルの関連について述べましたが、今月は、クリーンエネルギーとして度々話題になる水素利用関連として、水素吸蔵合金およびそれを使う二次電池と燃料電池についてのお話をさせていただきます。また、やはりクリーエネルギーである太陽電池に関する基礎的な解説をしながら、其々に使われているレアメタルについての紹介してゆきたいと思います。
1.水素吸蔵合金
(1)水素吸蔵合金とは何か?
先月号でお話しをしましたニッケル水素(Ni-H)二次電池には水素吸蔵合金(MHと略称)が負極材料として使用されますが、1990年末に商品化が開始された後、MHの需要が大きく伸びています。MHは下図のような特性を持つので、ニッケル水素電池以外にも水素貯蔵用やヒートポンプ、蓄熱装置などに利用できます。また、水素は燃焼や燃料電池内部での反応後、再び水に戻りますから、水素エネルギーは非常にクリーンであり、近未来の重要なエネルギー源となる可能性があります。そのために、高性能MHの研究開発は、大変重要な位置づけとなります。
(2)二次電池用水素吸蔵合金の種類
MHとしては表1)に示すように多くの材料が開発されましたが、いずれの材料にもレアメタルが含まれています。
エネルギー密度の点ではAB5系より優れた合金系が数多く発表されていますが、電池用としては総合的特性のバランスに優れたAB5系を凌ぐものはありません。現在工業的に製造されているAB5系希土類・Ni系合金は、希土類元素に安価なミッシュメタル(Mm)を用い、Niの一部をCo、Mn、Al等で置換して特性の改善を図ったMmNi5-X(Co、 Mn、Al)X系合金が採用されています。負極を始めとする絶え間のない改良によって、1997年末には、ニッケル水素電池を搭載したハイブリッド電気自動車・プリウスの商品化も実現しています。但し、リチウムイオン二次電池はエネルギー容量、電圧の点で優れていますので、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)には、こちらの二次電池の方が有望といえます。
(3)燃料電池(水素燃料)自動車用水素吸蔵合金
WE-NET(World Energy Network:水素利用国際クリーンエネルギーシステム技術研究開発)計画の中のMHの研究開発では、「有効水素吸蔵量3質量%」に加えて、「放出温度 100℃」を目標としています。その理由は、水素燃料自動車を実現するために必要不可欠な条件です。表2)に単体の水素化物の水素吸蔵量と水素放出温度を示します。 Li、Na、Mg、Ca、Ti、Vを成分とする合金が、吸蔵量では目標をクリアしていますが、放出温度では難しそうに思われます。又利用者側からの要求される特性は両者に加え、反応速度、寿命、被毒耐性、さらに価格等があり、これらの面をも考慮することが必要となってきます。今のところ、燃料電池車には高圧水素タンク搭載が実用上一歩リードしている形ですが、安全面を考えれば、より高性能な水素吸蔵合金の出現が期待されていると言っても良いでしょう。
2.燃料電池本体に使われるレアメタル
燃料電池には小型・ローパワーのものから大型・ハイパワーのものまで、各種開発されていますが、代表的な燃料電池をその原理・構造などの違いにより、下図にまとめました。
中でも、最近研究開発が盛んに行われている種類は固体高分子型(PEFC)であり、携帯電話、ノートパソコン、自動車、家庭用補助電源など幅広い用途が考えられています。
レアメタルとしては白金(プラチナ、Pt)が電極として最も効率が良いとされていますが、高価な金属のため、代替材料の研究開発が盛んです。また、燃料電池は水素を二次原料として使うため、前項の水素吸蔵合金とは別に、水素を高純度化させるフィルターの役目を担うパラジウム(Pd)も不可欠なレアメタルです。その他固体電解質型の燃料電池には、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、ランタン(La)などの酸化物が使用されます。
3.太陽電池に使われるレアメタル
(1)太陽電池の原理
太陽電池は半導体の一種で、光エネルギーを直接電気に変えることができる、クリーンな太陽光発電装置です。この技術は1954年に米国で発明され、その後、光から電気に変える効率(変換効率)が向上し、コストも下がってきたため、一般家庭用の電源としても普及し始めました。
(2)太陽電池の種類とレアメタル
太陽電池は、使われる半導体によって各種ありますが、大きくはシリコン系と化合物系他になります。現在の主流はシリコン系で、さらに、シリコン 系の半導体には、結晶系と薄膜系があります。結晶系はシリコンを溶かして固めた後、スライスした基板を用いて作りますが、薄膜系はガラスなどの上にプラズマなどを利用して非常に薄いシリコンの膜を成膜して作ります。薄膜系は大きな面積のものを大量に作ることができますが、変換効率や信頼性の面でまだ結晶系シリコンに劣っています。
電極には、いずれも透明なITO(インジウムIn−錫Sn酸化物)が使われていて、高価なインジウムInの使用量増大が大きな課題となりつつあり、代替材料の開発が急がれています。さらに、化合物系太陽電池には、ガリウムGa、セレンSe、チタンTiなどのレアメタルが必要となっています。
以上、今月は“クリーンエンルギーとしての水素関連における二次電池、燃料電池および太陽電池とそれに使われるレアメタル”について、解説させていただきました。次回は最先端技術としての“超伝導”製品へのレアメタルのかかわりについてお話をさせていただく予定です。
(参考資料)
「水素吸蔵合金の現状と最近の研究開発」 村上陽太郎 [NMCニュース、第8号-(7)]
「よくわかる!技術解説」 NEDO技術開発機構ホームページ
「よくわかる最新レアメタルの基本と仕組み」 田中和明 著(秀和システム)
「レアメタル 技術開発で供給不安に備える」(独)産業技術総合研究所
              レアメタルタスクフォース編 (工業調査会)
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