希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

レアメタルの基礎シリーズ(7)
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今月は永久磁石材料を含めた最先端の磁性材料について、レアメタルの用途や役割をご紹介いたします。永久磁石のみならず、レアメタルがパソコンや最新型テレビには不可欠な磁気記録や光磁気記録にどのように使われているか、その原理も含めてお話をいたしましょう。
1.磁性の根源
少し難しい話になりますが、常温で強磁性を示す元素は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の3元素(金属)に限られます。Feはレアメタルではありませんが、この遷移金属の3元素が特別の“磁性電子”を持っていて、強磁性の源である“スピン磁気モーメント”を生じさせています。したがって、ほとんどの磁性材料はこの3元素のどれかを含んでいることになります。
一方、レアメタルの中のレアアース(希土類金属)も磁性電子を持っていて、さらに強力なスピン磁気モーメントを持っています。しかしながら、単体元素(金属)では磁気モーメントの方向がそろっていないため常磁性となり、磁気を帯びることはありません。ところが、Fe、Co、Niなどと化合物を作ると磁気モーメント方向がそろって、相乗的により強力な磁性体に変貌するのです。
2.磁気記録材料
(2-1)磁気ディスク
磁気記録方式には、“水平磁気記録方式”“垂直磁気記録方式”があります。水平磁気記録方式は、磁化膜に対し磁気異方性を水平になるよう磁性体を配置し、磁化する記録方式で、磁気ディスクにおいて長らく使用され続けている方式です。面内記録方式とも呼ばれています。磁界方向が向き合っているため隣接した磁区同士で反発や吸引を引き起こし、高密度化すると磁力の減衰が起こってしまう問題で記録密度に限界がありました。
一方、垂直磁気記録方式は、磁化膜(磁性体)に対して垂直に磁化する記録方式。1975年当時東北大学教授の岩崎俊一により、従来の水平磁気記録方式に対する優位性が提唱され、六角板状バリウムフェライトなどの磁性体を使った垂直磁気記録テープは1970年代後半に実用化されました。また1980年代にはMOで採用、近年では磁気ディスク、特にハードディスクドライブ(HDD)にも採用されはじめています。
(2−2)磁気ヘッド
磁気ヘッドは磁気ディスクに磁気記録する磁化用ヘッドと磁気記録を読み出す読み出し用ヘッドがあります。この中で、MRヘッドは、高密度記録された磁気信号の読み出しに優れ、小径大容量の製品に採用されています。
周囲の磁界の変化によって電気抵抗値が変化する、鉄-ニッケルのパーマロイ合金の薄膜などの磁気抵抗効果・MR(Magnetoresistive)効果を使います。従来の磁気ヘッドはコイルを使い、磁気信号の変化を電流の変化として検出する誘導方式でした。しかし誘導方式は再生信号の強度が記録面とヘッドの相対速度に依存するため、記録密度が高まりディスク径が小さくなると感度が落ちて使えなくなります。MRヘッドはこの欠点がないため、高密度小径ディスクの主流となりましたMRヘッドは 読み出し専用なので、書き込み用誘導型ヘッドとのペアで使われます。
一般的な誘導型磁気ヘッドは、水平磁化用リング型磁気ヘッドと垂直磁化用単磁極型磁気ヘッドがあります。どちらも記録媒体表面の磁性材料への磁化による記録と、記録の読み出しの双方が可能です。外部磁界を発生させるコア部分には、パーマロイなどの鉄とニッケルの合金が用いられます。
磁気記録は、記録媒体を一定の速度で移動させながら、磁気ヘッドの磁場の変化により記録層を磁化することで行います。読み出しは、記録媒体の磁場の変化を磁気ヘッドで読み取り、信号として取り出します。
3.光磁気記録材料
一時代を風びしたMO(Magneto Optical Disc)を代表とする光磁気記録は、レーザー光による加熱で材料を磁化反転することで行います。レーザー光照射部分だけ温度が上昇した記録媒体は、その部分の保磁力が小さくなります。その記録媒体の全体の磁化がゼロになる補償温度か、構成物質の磁化がなくなるキュリー温度のいずれかの温度以上に媒体の一部を加熱することで記録ができます。これを磁化反転とよびます。
読み出しは、偏光したレーザー光を連続して記録媒体に照射し、その反射光の偏光面の回転を読み取ることで行います。書き込み時に磁化反転した部分は、読み取り用のレーザー光に対してわずかに偏光面が回転します。反射の場合はカー効果、透過の場合はファラディー効果とよぶ磁気光学効果を利用しています。材料としては、レアアースと遷移金属の組み合わせが主体で、Gd-Co、Gd-Fe、Tb-Co、Dy-Fe-Co、Gd-Tb-Feなどが利用されてきました。しかしながら、光磁気効果を使わない高密度で安価なDVDBDの実用化により、現在、MOは放送分野で使われている以外は、一般用としては生産されなくなっています。本編では詳細な解説は割愛させていただきますが、興味のある読者は、解説書やウェブでその原理をチェックしてみてください。
4.永久磁石材料
現代の実用的な永久磁石は下図のような分類になります。酸化物(セラミックス)磁石、金属磁石、ゴム磁石、プラスチック磁石など、その形態は種々ありますが、磁性材料を構成する元素は、ほとんどがレアメタル(レアアースを含む)を含有しています。磁石名の下に組成の概要を併記しましたので、ご確認ください。なお、各種磁石の製法や磁気特性詳細については、NeoMagの資料などを参考にしてください。
※注:フェライト磁石の構成元素のうち、ストロンチウム(Sr)はX線検査で使うバリウム(Ba)と仲間の元素であり、通常無害な元素です。放射性同位体のストロンチウム90(Sr90)、ストロンチウム89(Sr89)はセシウム137(Cs137)と同様、核分裂による人工の生成物であり、また放射性降下物に含まれ、その半減期はSr90が28.90年、Sr89が50.52日になります。このように天然に存在するストロンチウムと放射性同位体のストロンチウムは全く別物と言っても過言ではありません。また、天然のストロンチウムには放射性同位体のストロンチウム90等は全く含有されていません。
5.レアアースが活躍する主な磁性材料
高性能永久磁石を筆頭に、近年の磁性材料はレアアース無くして発展はなかったといえます。最先端の磁気記録材料、光磁気材料、光通信材料など、ほとんどにFe、Co、Niとレアアースのコンビが活躍しています。下図は磁性材料だけでなく、その他の重要分野に使われるレアアースの種類(化学式は酸化物)をまとめたものです。
今月は皆様も関心が高い磁性材料としてのレアメタルについて解説させていただきましたが、この分野ではなんといってもレアアースの存在が大きく、今後の磁性材料、特に永久磁石の発展には、原料問題(原料鉱石の産出国、市場価格、リサイクル技術、レアアースの低減技術等)が大きく影響してくるものと思われます。次回はレアメタル、レアアースの最先端応用技術についてのトピックスを中心にお話したいと考えています。
(参考資料)
「よくわかる最新レアメタルの基本と仕組み」 田中和明 著(秀和システム)
「レアメタル 技術開発で供給不安に備える」(独)産業技術総合研究所
               レアメタルタスクフォース編 (工業調査会)
「磁石・磁気の用語辞典」 NeoMagホームページ
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