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風力発電の基礎シリーズ(1)
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今月からは、自然エネルギーの利用および永久磁石(特にネオジム磁石)の応用で、ますます大きな注目を浴びるようになってきました“風力発電”について、その基礎から実際の発電機の構造に至るまで、皆さんと共に勉強してゆきたいと思います。
1.風とは何か?その発生の起源
風は地球上で当たり前のように吹いているようですが、私たちはその原理、起源についてはおおよその見当はついているものの、まじめに考えたことはあまりないかもしれません。そこで、今一度勉強をし直してみることにいたしましょう。
風はなぜ吹くのでしょうか?答えは「太陽が地球を温めることで起こる現象で、温まり方の違いが風を起こす」と言えます。太陽から地球が受けるエネルギー量は莫大なものです。その量は、太陽から1時間に受ける量で、地球上の60数億人の人類が1年間に消費する総量を超えるといわれています。太陽から地球に到達するエネルギー量は、常時17万TW(テラワット、1TW=1012W)です。このエネルギーの中で風や対流や波に変わるエネルギーは370TWで、それは総エネルギーの0.2%にもなります。
この太陽エネルギーの0.2%はどのように風のエネルギーに変わるのか考えてみましょう。太陽のエネルギーは、日差しが真上から当たる赤道付近で最も強く、北極や南極など緯度が高くなるにつれて弱くなります。赤道付近は陸地も海面も温度が高く、そこに接する空気も温められて軽くなり上昇します。するとその場所の気圧が低くなり北半球では北東風、南半球では南東風が流れ込んできます。真北や真南からの風にならないのは、地球の自転の影響によるものです。地球が自転しているための転向力(コリオリの力)が大気の流れに影響を与えて、南北から赤道に向った素直な風が吹くことはありません。
赤道に向って移動する地球規模の南北の方向の大気の流れを「大気大循環」、あるいは「貿易風」とも呼んでいます。この赤道への風のように、気圧の高いところから低いところに向って空気が移動することが、風の吹く基本的な原理なのです。地球には、この赤道に向って南北に吹く風のほかに、地球の自転によって引き起こされる、西から東に吹く「偏西風」もあります。日本の上空では、地上12kmから16kmあたりで西から東に吹いています。
また、地軸は太陽に対して約23.5°傾いていて四季を作り、各地で受ける熱量は日々刻々変わるごとになります。さらに、地球の表面は陸地に海洋、陸地には山、森林、河川、湖沼、砂漠、草原と変化に富んでいます。この結果、その形状や各々が熱を蓄える量の違いから、風の方向や強さに絶えず変化を与えているのです。したがって、地球規模のスケールの大きな風以外に、夏と冬で風向が変わる「季節風」や、もう少し規模の小さな朝と夕の周期で吹く「海風・陸風」「山風・谷風」、特殊な気象条件での台風竜巻も発生することになるのです。
2.風力発電が注目される理由
以上、風についての基本的な理屈はわかりましたが、それでは何故“風力発電”が注目されるのか、あらためて“おさらい”をしてみましょう
風力発電は、太陽エネルギーが風の運動エネルギーに変わった現象を利用するものであり、風車により機械的な回転力に変換し、その回転力で発電機を回して発電するものです。そのため、風力発電は従来の発電の主力である火力発電のように、燃料としての石炭や石油、天然ガスを使わず、原子力発電のようにウランなどの核燃料も使わないのが大きな特徴です。さらに、現在、地球人としての私たちが抱える大きな問題が4つありますが、それは、
(1)大気の温暖化に代表される地球環境問題
(2)石油、天然ガスなど化石燃料の枯渇問題
(3)エネルギー自給率の低さの問題
(4)持続的な産業の活性化と雇用創出の問題
ということになるでしょう。21世紀に入って世界中で風力発電が飛躍的に増えているのは、まさにこれらの問題解決に風力発電が大きく役立つからなのです。
エネルギー源としての風力は、豊富で安価、クリーンかつ無尽蔵で、広範囲に分布して再生可能である、という特性を持っています。風力以外にこれらの特性を備えたものがあるでしょうか。
人間か快適に生きてゆくにはエネルギーが必要ですが、これまでの石油や石炭は二酸化炭素CO2を発生し、その濃度が増えると地球温暖化が引き起こされるといわれています。また、石油は何億年もかかって生成されたもので、今のまま使い続けると40年後には枯渇してしまうと見られます。原子力発電にも、今回の福島第一、第二原子力発電所のような事故の危険性や使用済み燃料の問題などがあります。
そこでCO2を排出せず、枯渇や危険性の心配のない風を利用した風力発電の導入が増え続けているのです。さらに、石油や石炭、ウランは、その産地が偏っているのに対して、風は世界中どこにでも遍在するエネルギーなのです。このため、各国のエネルギー自給率を高めエネルギー・セキュリティーの問題も軽減できます。さらに、風力発電は、新しい産業として多くの雇用を生み出しつつあります。開発途上国での無電化村落の解消にも、太陽光発電と並んで極めて有効なのです。
3.世界の風力発電導入状況
世界の風力発電の導入量は、次図に示すように21世紀に入って急速に増加していることがわかります。2008年末で合計121GW、つまり100万kWの大型原子力発電所120基分にも相当するほどです。発電設備全体に占める割合は、合計でもまだ3%に過ぎませんが、年間成長率は20%以上が続いています。特に、欧米では新設電源の40%以上を風力発電が占めており、アメリカでは数百台の風車からなる大型のウィンドファームが続々と建設されています。2008年にはテキサス州やアイオワ州を中心に8.4GW(約5000台)が新たに建設を開始しており、これは世界の31%に相当します。このまま成長が続くと2020年には世界の電力の12%が風力発電により供給されることになります。
次表は主要国の風力発電の世界シェアおよび導入比率ですが、今までの世界的な動きを見ると、風力発電の導入が活発化した20世紀末にはデンマークが風力発電機の製造量、導入量で世界をリードしました。その後ドイツとスペインが加わって、21世紀に入るとデンマークは後退します。その後もドイツとスペインは堅実に数を増やしていますが、2007年頃からアメリカ、中国、インドの導入が活発になっているのが目立ちます。残念ながら、日本は世界の中では13番目くらいです。
風力発電による将来目標も、世界風カエネルギー協会の「Wind Force12」では2020年までに世界の電力の12%、EUでは2020年に20%を目標とし、アメリカではグリーンニューディール政策の一環で、2030年までに全米の電力の20%を風力発電でまかなうという非常に高い目標値を掲げています。今後も世界中での導入がますます活発化することが予想されます。
4.世界の風力発電機メーカーの状況
19世紀末に世界で最初に風力発電を実用化して以来、100年以上にわたって普及を進めてきたデンマークは、風力発電王国と呼ばれています。特に、電力不足に陥った2回の世界大戦時には、風力発電で急場をしのぎ、第2次大戦直後には、系統連系方式による現在の風力発電の基を作り上げました。1970年代の石油危機以降、風力発電を世界で最もたくさん導入し、国内の風力発電機産業も育ててきました。
21世紀に入って、世界の風力発電業界の地図が変わってきましたが、20世紀末(1999年)の世界の大型風車メーカーのシェア累積からも、圧倒的にデンマークのメーカーが多いことがわかります。それに次ぐのがドイツのEnerconです。この時点ではVestasとNEG-Miconは合併していませんが、その後この風力業界の1位と2位の企業の合併や、EnerconとTacke(ドイツ)との合併(現在のGE-Wind)、SiemensによるBonusの買収、Nordexがドイツ企業に買収されるなど、21世紀では業界の状況に変化があり、ドイツ企業の台頭が見られます。
アジア勢では、インドのSuzlonや中国の華鋭、金風、東方が台頭しており、今後も成長が見込まれます。日本では、三菱重工業が10位にいますが、今後はさらに大きな進展が期待され、日本製鋼所や富士重工業も着々と準備中です。これから洋上風力発電が活発化すると企業体力のあるところだけが生き残っていくでしょう。
(参考資料)
「トコトンやさしい 風力発電の本」牛山 泉 著(日刊工業新聞社)
「風力発電機ガイドブック(改訂版)」金綱 均、松本文雄 共著(パワー社)
「(社)未踏科学技術協会 第53回特別講演会」 徳永雅亮 2010年1月14日
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