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風力発電の基礎シリーズ(4)
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先月号では国内の風力エネルギーのポテンシャル、稼働中の風力発電所、大型風力発電システムなどについてお話させていただきましたが、今月は中・小型の風力発電システムおよび風力エネルギーの実際の取り出し方などについて勉強したいと思います。
1.中・小型風力発電システムの実際
大型風力発電では、発電した電力はすべて電力系統に接続して、火力発電などで電力系統全体の調整をしています。一方、小型風力発電も世界各国で古くから様々な用途に用いられてきました。この場合には、通常はいったんバッテリーに蓄電して、必要なときに取り出して使います。このとき、バッテリーに充電するために直流に変換しますが、取り出した状態も直流ですので、家庭用の機器を使う場合には、インバーターを介して交流の100Vに変換して使います。
中型(出力規模で10kWから100kW程度まで)の風力発電機は、開発途上国など一般の商用電源のないところの独立電源として使われ、太陽電池やディーゼル発電と組み合せて使う場合が多いようです。風車の出力の変動を、ディーゼル発電の出力で調整したり、場合によってはいったんバッテリーに蓄電する場合もあります。ここで中小規模の風力発電の利用形態を図にまとめます。
(1−1)負荷直結方式
発電しているとき(風のあるとき)だけ負荷を動かせばよいシステムで、電動ポンプを動かして水を汲み上げて貯えておくなど、システム内に蓄積機能を持たせることによって、風車の出力変動を解決しています。つまり、風まかせで且つ不定期ではありますが、電気以外の別の形態でエネルギーを蓄えることになります。
(1−2)バッテリーチャージ方式
小型風力発電によく使われる方式です。戦前のアメリカ中西部、戦後の北海道の開拓地などで多数用いられました。今日でも開発途上国や、配電線の届かない僻地の無線中継所や航路標識、気象観測所などで用いられています。
(1−3)内燃機関との併用
通常は風力発電とバッテリーで負荷に供給しますが、不足時にはディーゼル発電機を駆動する方式で、離島などの電源に用いられます。
(1−4)系統連系方式
小型風力発電では、系統連系のためのインバーターが高価であったため、この方式はあまり用いられませんでした。一方海外では、離島や途上国での弱小電力系統との連系を行う例が多くあります。しかしながら最近の国内の電力事情により、日本でも中・小型風力発電でも系統連系方式が増えてくると予想されます。
2.風車から取り出せるエネルギー
風はまさに気まぐれですが、その強度によって心地良い「そよ風」になったり、災害の原因となる「台風、暴風」にもなります。その風は、どのぐらいのエネルギーをもっているのでしょうか?
また、風車を回して、その回転力で発電機を駆動してエネルギーを取り出すと、どのぐらいの(電力)を取り出せるのでしょうか? もちろん、風車羽根の大きさと、風の強さ(風速)によって大きく変わることは容易に想像できます。
(2−1)風から得られるエネルギー
※得られるエネルギー量は、風車の受風面積に比例し、風速の3乗に比例する
理論的に水平軸プロペラ型風車から得られるエネルギー量Pw[W]は、次式で与えられます。
PW = (1/2)ρAtVw3Cp [式:2-1]
ここで、ρ:空気密度[kg/m3](20℃において1.22)、At:風車の受風面積[m2](=πr2、r:ブレード半径m)、Vw:風速[m/s]、Cp:パワー係数(通常0.3〜0.4)
上式によって、プロペラ型風車を使って風から得られるエネルギーは,風車の受風面積に比例し、風速の3乗に比例することがわかります。つまり、風が2倍になれば8倍の出力か得られることになり、「風車は少しでも風の強い場所を探して設置するのが効果的といえます。逆に、風速が小さい場所では、出力が急速に小さくなりますから、風力発電の効果がないといえます。
大型風車においては,平均風速が6 m/s以上ないと採算がとれないといわれますが、正に風力発電機はその地域の平均風速が重要であることが上式からわかります。
(2−2)パワー係数とベッツの限界
風力発電機は、風のもつエネルギーを風車によって機械的エネルギーとして捕らえ、さらに、発電機によって機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換して利用されます。しかし、それぞれのエネルギーに変換するとき損失が発生します。ここで、風のエネルギーを風車によって機械的動力に変換する効率のことを「パワー係数」といいます。風車から得られるエネルギーは、このほかに機械系の伝達効率や発電機の効率などがあり、最終出力はこれらの積となります。
一方、自然風のもつエネルギーと、風車から取り出せるエネルギー(出力)の割合は、パワー係数Cpとして知られていますが、この値には限界かあり、理想風車の場合、最大値がCp=16/27(約0.593)となります。この値は、この係数を導いた学者の名前を取って「ベッツの限界」といわれます。すなわち、風のもつ全エネルギーの最大59%のエネルギーしか取り出すことができないわけです。
水平軸風車においては、ブレードの枚数や翼の形状などによって異なりますが、パワー係数Cpはだいたい0.35〜0.45になります。つまり、風のもつエネルギーの35〜45%が取り出せますが、このエネルギーは機械的エネルギーですから、電気的なエネルギーに変換する際の効率などで、取り出せるエネルギーはさらに低下します。
次図はこのようすを示したものです。中・大型風力発電機ではローターブレードの回転数が小さくなるためギア・ボックスにより増速されますが、この増速器の効率や機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換する発電機の効率、さらには発電した電力を要求される形に変換する制御・変換器の効率などがあるので、最終的な出力Poは、
Po = Pwηaηbηc  [式:2-2]
ここで、Pw:ブレードで得られるエネルギー、ηa:増速器の効率、ηb:発電機の効率、ηc:制御・変換器の効率となります。
したがって、図のように、Cp=40%、ηa=90%、ηb=80%、ηc=80%とすると、風力発電機から得られるエネルギーは、風のもつエネルギーの約23%ということになります。
上図でもわかりますように、風車ローターでの損失が一番大きく、どんなにがんばっても40%以上が損失となってしまいます。そのため、風力発電が実用化されてから少しでも高性能の風車を開発しようと研究が続けられています。
その他の損失は、大型機になるほど相対的に小さくなりますが、自然風の持つエネルギーのほぼ20〜30%が実際に風から得られる電力ということになります。これからも研究開発は続けられますし、材料も、工作法も、周辺技術も進歩します。いずれ40%ないし50%には達するものと考えられます。
一般に、風力を電力に変換する理由は、電力需要のある目的地まで電カケーブルで自由にエネルギーを輸送できるためで、それが今日の大型風力発電の増大の理由です。また、エネルギー貯蔵の観点からは、先にお話ししましたように、大規模の場合には揚水発電と組み合わせたり、電気分解して水素として蓄えるなどの考え方もあります。中小規模の場合には蓄電池に蓄えるのがベストでしょう。
なお、来月号以降は、風力発電機の実際の設計に関して勉強してゆきたいと考えています。
(参考資料)
「トコトンやさしい 風力発電の本」牛山 泉 著(日刊工業新聞社)
「風力発電機ガイドブック(改訂版)」金綱 均、松本文雄 共著(パワー社)
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