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電池の基礎シリーズ(5)
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繰り返し充放電ができる“二次電池”について、今まで(1)鉛蓄電池、(2)ニッケルカドミウム電池、(3)ニッケル水素電池について勉強してきましたが、今月は二次電池の中でも、現在最もパフォーマンスが優れているといわれています“リチウムイオン電池”について勉強してみましょう。つい最近、ボーイング787の問題でも大きく取り上げられている電池でもあり、皆さんも興味がお有りなのではないでしょうか。以下、ある程度専門的な知識が必要な内容となっていますが、ご容赦ください。
(4)リチウムイオン電池
<原理と構造>
リチウムイオン電池は、負極にグラファイト、カーボン(C)、正極にリチウム遷移金属酸化物(例えばコバルト酸リチウムLiCoO)、電解質に有機溶媒を用いた2次電池です。正負極ともその結晶構造は層状になっていて、層間にリチウムイオンを出し入れ可能(インターカーレーション)な構造になっています。電極間をリチウムイオンが往復移動することで電池反応が進みます。反応の仕組みは次のようになります。
充電時の反応は、正極では一部のリチウムが抜け出し、LiCoO→Li(1-X)CoO+xLi+xeとなります。×は抜け出したLiの量で1>x>0です。
負極の反応は6C+xLi+xe→Li6Cという極簡単な反応式で表わされます。充放電の過程でxの値は0.4〜0.8程度の間を行き来します。結晶が壊れるため全量を移動させられないのです。それでも少しずつ結晶の歪が進行し、容量低下の1因になっています。
<特徴・開発動向>
他の二次電池に比べて優れた点は、(1)公称電圧は3.7Vと高く、(2)ニッケル水素電池よりはるかに大容量で、(3)自己放電特性がよくメモリー効果がないなど優れた特性を持っています。
欠点としては、(1)過充電、過放電に弱い、(2)保存性が悪い、(3)破壊したときの危険が大きい、(4)他の二次電池よりコストが高い、などがあげられます。(1)については寿命低下や事故につながることもあるため、厳密な充放電管理を行う必要があります。(2)については、特にフル充電や過放電状態での長期保管は著しく寿命を縮めるといわれています。(3)については有機溶媒を使用していること、常用域と危険域が近接していることなどが原因です。
(3)への対応としてリチウムポリマー2次電池が開発されました。電解質を液体の有機溶媒からゲル状や固体のポリマー電解質に変更したものです。破壊しても電極の短絡に至る可能性が低く、たとえ短絡しても炎上しないことが強みです。さらに外容器にレトルト食品などで使われるアルミラミネート材を使用でき、大幅なコストダウンが期待されています。また、負極やセパレータにセラミック粉末や耐熱性の高分子材料を塗着して安全性を高めた製品も開発されています。
(4)に対しては、高価なコバルト量を低減してニッケルとマンガンを加えた三元素材料(NMC)やニッケルベースにアルミニウムを添加した耐熱性材料(NCA)での研究開発が続いています。低コストのマンガン材料を用いた複合系も電気自動車用に実用化されています。
下図は各種電池のエネルギー密度(重量密度、体積密度)を比較したもので、リチウムイオン電池がいかに優れているかお分かりいただけると思います。
今後のリチウムイオン二次電池の開発は、高性能化、安定化、低コスト化の3要素を満たすべく続けられてゆくことになります。開発の方向は、(1)負極の高性能化(球状化黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンナノチューブ、チタン酸リチウムLTO、LiAl合金など)、(2)正極の高性能化(コバルト酸リチウムLCO)、三元系(NMC、NCM、NCA)、Ni系(NCA)、(3)電解質の安定化、非燃焼化、高耐圧化(各種有機電解液、ポリマー電解質、ゲル電解質)などが中心となるようです。
下図は、今後の電池開発の方向を概略まとめたものです。
<コイン形リチウム二次電池>
前述まではスマートホンやノートパソコン用のポータブル円筒形、角形、あるいはHVやEV用の中大型リチウムイオン二次電池についての話でしたが、さらに、リチウム系二次電池にはコイン形、ボタン形の小さいものもあります。これらは携帯電話や情報端末機器などのメモリーバックアップやソーラウォッチなどの主電源などに用いられています。
次に示すのが、代表的な四つの電池系です。これらの電池の材料開発の知見は円筒形や角形のリチウムイオン電池の開発にも応用されています。
(1)バナジウムリチウムニ次電池(VL)
(1) 3Vの高電圧を有し、放電電圧が平坦、1セルで対応が可能
(2) 高エネルギー密度(100〜150 Wh/L)
(3) 優れた保存特性(室温での自己放電率が年2%以下と小さい)
(4) 連続過充電や0V過放電にも安定性がある
(2)マンガンリチウムニ次電池(ML)
(1) 2.5 Vの放電電圧を持ち、放電電圧が平坦
(2) 高エネルギー密度(100〜180 Wh/L)
(3) 優れた保存特性(室温での自己放電率が年2%以下と小さい)
(3)ニオブリチウムニ次電池(NBL)
(1) 1.4 Vの放電電圧を持ち、放電電圧が平坦
(2) 高エネルギー密度(60〜140 Wh/L)
(3) 優れた保存特性(室温での自己放電率が年2%以下と小さい)
(4)チタンリチウムニ次電池(TL)
(1) 1.4 Vの放電電圧を持ち、放電電圧が平坦
(2) 小型サイズだが大容量
(3) 優れた耐電圧性と耐過放電特性
(4) 長期にわたり充放電が可能
大容量が要求されないため、リチウムアルミニウム(LiAl)合金を採用した電池では、リチウム含有量が低く、構造安定性に優れた組成になっています。一方、「電池の取り換え不要」を訴求したサイクル寿命が重視される用途では、先駆的にチタン酸リチウムスピネルを用いています。
以上、今月はリチウムイオン電池についてお話をしてきました。優れた電池には違いないのですが、まだ安定性、安全性に幾分かの欠点もあり、素材開発や制御技術のレベルアップが引き続き重要な課題となっています。来月は、大型・大容量二次電池について勉強してみたいと思います。
(参考資料)
「図解でナットク!二次電池」 小林哲彦、宮崎義憲、太田 璋 共著(日刊工業新聞社)
「トコトンやさしい2次電池の本」 細田 條 著(日刊工業新聞社)
フリー百科事典ウィキペディア「電池」、「二次電池」
電池工業会ホームページ「電池の知識」
ネオマグ(株)ホームページ「磁石の歴史」
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