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エネルギー資源の現状と将来(1)<石炭−その1>
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はじめに
読者の皆様もご存じのように、原子力エネルギーは化石燃料に代わる新エネルギーとして期待されてきましたが、東日本大震災を契機に数々の“安全上の課題”が浮かび上がってきました。そのために、従来から叫ばれていた自然エネルギーがさらに大きくクローズアップされてきましたが、実情はその多くが、“コストに見合う実用化”に向けて、いくつもの技術開発を待たねばならない状況です。
このような中で、世界および日本のエネルギーは下図のように、まだまだ化石燃料のエネルギー・資源にその多くを頼らざるを得ないわけであり、今一度、世界のエネルギー資源の現実がどのようになっているかを知ることは、近未来の我々の生活環境を占う意味で、大変有意義なことであると思います。また、永久磁石は種々のエネルギーの利用効率を高める重要な働きをしていますが、その大元のエネルギーとその資源について再度学んでみることも永久磁石を扱う私達にとっても有意義なことではないでしょうか。
本シリーズでは“石炭”、“石油”、“天然ガス”、“非在来型化石燃料”、“海底資源”等について、資源状況、活用状況、新技術等の調査をしながら皆様とご一緒に勉強してゆきたいと思います。
1.石炭(COAL)
(1-1) 石炭エネルギーの利用状況
■世界の発電エネルギーの主役
読者の皆さんの多くは、石炭はすでに過去のエネルギー資源で、石炭に頼っている国は中国を含め一部の国に過ぎないと考えていると思います。しかしながら、次の統計資料をご覧ください。確かに中国はまだ80%近くを石炭に頼っていますが、米国は45%、世界の平均でも41%が発電資源に石炭を利用しているのです。もちろん日本における石炭利用の割合は世界に比べると少ないのですが、それでも24%(2009年)が石炭火力発電となっています。
ただし、東日本大震災後の日本の発電構成比は、ご存じのように原子力発電が激減して下図のようになっています。LNG、石油が大幅に増加していますが、石炭の割合はほとんど変化していません。これは石炭火力発電の能力を急速に上げられないためですが、いずれにしても、今でも日本の電力の1/4を石炭に頼っていることに変わりありません。
■石炭は今後も重要なエネルギー資源
2030年には世界の発電電力量は現在の約1.7 倍に増加すると考えられています。日本の主要エネルギー資源である石油は、中近東にかたよって産出されるため政情不安の影響を受けやすい資源であり、天然ガス(LNG)も石油ほどでないにしろ、安定的に輸入できる資源ではありません。
一方、石炭は世界中に広く分布しているため手に入れやすく、値段も安定しています。また石炭は主なエネルギー資源の中で最も埋蔵量が豊富で、可採年数は石油、天然ガスの約2 倍と言われていて、世界のエネルギー需要に対応するための欠かすことのできない“重要な資源”なのです。 ほとんどの化石燃料が枯渇するといわれている100年後にも、石炭だけが残っているでしょう。
■石炭の問題点
<採掘>
気体の天然ガス、液体の石油と異なり、石炭は固体の燃料です。天然ガスや石油は井戸を掘れば、バルブを開くだけで手に入ります。石炭は表土を剥いで機械で掻き取る(露天掘り)か、地下何百メートルまで坑道を掘って採掘(坑内掘り)します。巨大な設備と多くの人手を使って、初めて入手できるのです。
<輸送>
また、天然ガスは、陸上はパイプラインで、海上は液化後LNGタンカーで、消費地に送れます。石油もパイプラインと大型タンカーで大量輸送できます。石炭は粉砕して水や油を加えてスラリーにする研究もありますが、原則的にはパイプラインを利用することはありません。陸上はトラックや鉄道により輸送するため輸送コストがかさみます。
<貯蔵>
天然ガスや石油はタンクで効率的に貯蔵できますが、石炭は大きな面積の貯炭場が必要で、風で粉塵が舞い上がったり、自然発火しないように散水したり、屋根で覆う必要があります。地価が高く近隣に人家が密集する日本では貯蔵も大変です。
<環境対策>
使用する際の環境対策も大変です。石炭は、硫黄と窒素を含有し、単純に燃焼するとSOXとNOXが発生します。燃焼後の灰の処分も大変です。我が国では干潟や浅い海岸の自然を守る必要性が高まり、埋め立て地を確保出来なくなる恐れもあります。温暖化対策上は、1kWhの電力を得る場合の二酸化炭素の発生量は石油火力の1.31倍、LNG複合サイクル発電の約1.9倍の二酸化炭素が石炭火力では発生します。
(1-2) 石炭が形成されるまで
なんとなく似ていると思われる木炭は、木を炭窯の中で数百℃の高温で蒸し焼きし、人工的に作ります。これに対し、石炭は自然の地層中に砂岩、泥岩の間に挟まれて層状に存在します。泥岩などと同じ石なので、石の炭つまり石炭と呼ばれるわけです。
石炭のでき方は次のように考えられています。今から数千万年〜数億年前、地上の湿地帯に繁茂していた植物が死に堆積します。それらは、水の影響で空気から遮断され分解を免れ、上に堆積した砂や泥とともに地下数百メートルから数キロヘ埋没します。
その後、気が遠くなるほどの長い年月をかけて、地下の圧力と地温の影響を受け、石炭へと変化します。だから、石炭は化石燃料と呼ばれるわけです。今、石炭が地表に現れているのは、石炭形成後の地殻変動が原因です。今も地下深部には、多くの石炭が埋まっていると考えられています。
石炭ができるときの地温は、百℃程度以下です。植物中にあった樹脂も残っており、琥珀として石炭中に見られます。また、高い地圧で押されていたので、木炭と違い肉眼や顕微鏡で観察できる隙間が無くなっています。
石炭が形成された地質時代は、地球上に樹木が繁茂し始めたデボン紀(約4億年前ころ)以後です。∃−ロッパやアメリカ東部の石炭層は、石炭紀(約3億年前ころ)に形成されました。石炭が多く含まれる地層の時代だから石炭紀と呼ばれるようになりました。しかし、世界中には他の地質時代の石炭も多く分布します。
日本の石炭の多くは、若い地質時代の古第三紀(約5000万年前)に形成されました。しかし地温が高いため、高品質の石炭が形成されました。
(1-3) 石炭の埋蔵量と分布
石炭の確認可採埋蔵量は第20回世界エネルギー会議(2007年)によると、世界全体で8470億トン(内渥青炭/無煙炭約4304億トン)であり、日本は3.55億トン(涯青炭/無煙炭)です。この外に推定・予想埋蔵量が約2 兆9600億トン(内日本約134億トン)あるとされています。確認可採埋蔵量から見た涯青炭/無煙炭に限ってみると、ロシアを筆頭として米国・中国が3大石炭資源保有国であり、これら3国で全世界の57%強を占めます。
(1-4) 石炭の世界生産量
2007年の生産量は全世界で年間約64億トン(亜涯青炭・褐炭を除く)であり、中国25億トン、米国10億トン、インド4.8億トン、豪州3.9 億トンであり、この4カ国で70%を占めます。これらのうち自国内消費を除いて輸出に回されるのは生産量の13%強である7.9億トンです。石炭は自国消費が多く、国際商品として貿易できる量は少ない資源です。実際に輸出余力があるのは豪州、インドネシア、南アフリカ、ロシアそしてコロンビアの5カ国程度で、輸出能力を持つ国が少ないため、石炭市場のリスクは低いものではありません。
日本の国内生産量はごくわずかであり、輸入が99.3%を占めてその輸入量は1.85億トン(2012年)となっています。輸入先はオーストラリア(62.0%)、インドネシア(19.5%)、ロシア(6.7%)、カナダ(5.3%)、米国(3.4%)、その他(3.1%)となっています。
<参考・引用資料>
「トコトンやさしい石炭の本」 日刊工業新聞社
フリー百科事典「ウィキペディア」
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