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エネルギー資源の現状と将来(10)<非在来型化石燃料(4)−その1>
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過去9回にわたり、化石燃料として(1)石炭、(2)石油、(3)天然ガスについてお話をしてまいりました。これらは在来型化石燃料と呼ばれているもので、現在まで大いに利用されてきている資源になります。ところが近年、非在来型化石燃料と呼ばれる資源が脚光を浴び始め、人類にとって活用できる化石燃料の選択肢が増えてきています。そこで、今月から何回かにわたり、この非在来型化石燃料について勉強してみたいと思います。
(4-1) 在来型と非在来型化石燃料の違い
これまで石油や天然ガスなどの化石燃料は、中東の砂漠など、それが埋蔵されている場所で掘削すれば、地下の圧力により自ら吹き出ました。したがって、簡単に低コストで化石燃料は採れたわけです。このように容易に安いコストで採れた化石燃料が「在来型」と呼ばれる所以です。つまり、在来型化石燃料を定義すると、
■今日の汎用技術で採り出せる
■採掘コストが市場価格とバランスし、経済性がある
ということになります。
ところが、石油はあまりにも便利な燃料なので世界各地で急激に大量消費をしたため、今までのように低コストで取れる化石燃料は少なくなり需要に追いつかなくなったのです。そこで、この在来型石油資源が枯渇しはじめた後に代替として期待されたのが非在来型石油および非在来型ガス資源というわけです。在来型に対して非在来型を定義すると、
■今ある汎用的な技術では掘り出せない
■革新的新技術の開発が求められる
■在来型と比較するとコストが高くつき、市場性、経済性に課題がある
ということになります。つまり、エネルギー資源としてはそこに発見されているものの“実際に使うことは簡単ではないもの”ということになります。
実はこの非在来型の化石燃料は、米国、旧ソ連、カナダ、ベネズエラ、オーストラリア、中国、インド等で昔から膨大な原始資源量(In Place)が確認されていました。しかし採掘方法が実用化されておらず、コストも極めて高いことから非在来型資源として商業化は諦められてきたのです。
特に1990年代に地球環境保護運動が盛んになると重質油や超重質油のように、石油製品を抽出した後に大量の残淡油が出、地球環境を阻害するようなものは商業化がごく一部の地域に限られていました。
(4-2)非在来型化石燃料が注目され始めた理由
前項で触れたように、非在来型化石燃料は、20世紀末の原油価格では市場性がなく、なかなか汎用のエネルギーとして使うには課題の多いモノでした。しかしながら、在来型化石燃料の将来の枯渇の心配と1986年以来の14年間20ドル/バレルのレベルに低迷していた原油価格が1999年の春先より徐々に上昇し始め、前述したカナダやベネズエラの超重質油の開発に手をつける企業が出始めてきたのです。
特に2003年以降、原油価格が30ドルを越え、価格急騰の時代に入ると、世界中で非在来型石油・天然ガス資源の開発が注目され始めました。つまり、これまでの在来型化石燃料の価格が上昇することで、非在来型化石燃料との価格差が少なくなり、これらの次世代エネルギーが市場性をもち始めたのです。21世紀は非在来型資源時代と言えるのです。
21世紀初頭に入り、新たな技術の革新がこれに拍車をかけました。例えば今、非在来型の中で最も注目されているシェールガスは、1キロメートル以上の平坑井仕上げとハイドロフラクチャリング(多段式圧破砕法)という新技術が大量のガスを産出可能したため、安いコストでガスを取り出せるようになりました。昔は掘ってもガスが噴き出さなかったシェールガスを包含する頁岩(けつがん)に650気圧以上の高圧力をかけて微細な割れ目を造るという高等技術です。
タイトサンドガス(詳細後述)は、4000〜6000メートルの深いタイトな砂の中に圧縮されているもので、ここにも水圧破砕をかけて採り出すというチャレンジが、米国政府の税の一部免除と、事業に補助金をつけたことで実現しました。
さらにコールベッドメタン(詳細後述)などは、これまでは石炭採掘の時にでてくる副次的なもので、メタンガス爆発のもとにもなるので資源とは考えられていませんでしたが、見直されてきています。
(4-2)非在来型石油資源(液体)
非在来型石油資源は、次の4種類に大別されます。在来型石油とはAPI比重が22.3より軽く、粘性が100cpより小さい油を一般に指しています。
 
(1)オイルサンド
オイルサンドあるいはタールサンドと呼ばれる天然ビチューメンは、地下数100メートルの鉱床内の温度、圧力で半固体状の硫黄分に富んだ炭化水素資源です。天然ビチューメンはいったん熟成した原油が地殻変動で地表近くに露出して軽質や中質の炭化水素成分が揮発し抜けてしまった残りの半固体状残淡油のようなもので、鉱床はカナダのアルバータ州に大量に分布しています。
石油危機を契機に1980年代後半、革新的な地層内回収技術であるSAGD(Steam Associated Gravity Drainage)法が開発され、同技術を適用した商業開発事業が次々と計画されたのです。
(2)オリノコヘビーオイル
ベネズエラで一部商業生産が行われているオリノコタールは深度が180〜900メートルの貯留層内で粘度が100〜1万cp、密度がAPI20度(0.934g/cm3)であるため地下での流動性はありますが、地表に高レートで生産するためには熱水やスチームで温める必要があります。超重質油(Extra Heavy Oil)と呼ばれ、南米に偏在しています。
特に、ベネズエラのオリノコ川北部流域に広がるオリノコベルトには世界最大規模の超重質油(オリノコタール)があり、その原始鉱量は約1.2兆バレルと言われています。
(3)シェールオイルやタイトオイル
シェールガス井の中には、地表に生産するとメタン のみならずエタン、プロパン、ブタンに加えペンタン以上のコンデンセートなどの天然ガス液(NGL)を多量に産出するウエットガス井戸が地域によって数多く発見されました。これをシェール隋伴オイルと呼びます。なお、シェールとは頁岩のことです。
また、ノースダコダ州のバッケンシェール地区では夕イトオイルと呼ばれる新たな軽質原油増産が続き、今や日量80万バレルを生産する巨大産油地帯となり、米国産の原油生産量を急増させる要因となりました。
この地帯の油は孔隙率・浸透率は極めて小さい堆積地層(頁岩層=シェール層、シルト岩層、砂岩層、炭酸塩岩層等)に閉じ込められていた残留原油です。原油そのものの質は軽質〜中質油で良質高価です。貯留層は緻密で在来型油田と比べると油の生産性がほとんどなかったので、シェールガス採掘と同様に水平坑井仕上げフラクチャリングを併用して採収します。シェールオイルとタイトオイルを厳密に区別して統計計上するケースは少ないようです。
(4)オイルシェール
石炭に似た固体の岩石、オイルシェールは藻類等の根源物質を含む泥岩や頁岩が比較的浅い地下に埋没し、ケロジェンや中・軽質油にまで熟成する前の未熟成の油分を含む油母頁岩です。オイルシェールとは、シェールオイルやシェールガスに熟成される約100〜180℃に達しない比較的浅い地殻でバクテリアの力で有機物の高分子化が進み、これが無機物と混ざり合うことによって生じたものです。石炭同様に採掘して熱乾留プラントに通すことによりまったく硫黄分を含まない合成原油が回収されます。経済限界のオイルシェールの含油率(乾留時に回収される油分の割合)は、開発対象の限界約10ガロン/トン(37.8リットル/トン)以上と言われます。
(4-3)非在来型ガス資源(ガス体)
天然ガスは世界中の様々な地層中に存在しています。例えば、在来型天然ガスは地下の孔隙率や浸透率が大きい通常ガス田や油田の原油に溶けています。この他に、非在来型天然ガスがあります。下図は天然ガスの中で在来型と非在来型の地下の分布状況を示したものです。
(1)タイトサンドガス
数千メートルの地殻深部の固く締まった砂岩層に埋蔵する天然ガスで米国では石油危機後の80年代に入り税金控除などの支援で生産を開始しました。
(2)シェールガス
米国東部アパラチア堆積盆の下部に分布する頁岩層(Devonian Shale)は固い岩盤のため生産対象ではなかったのですが、2005年以降の油価高騰下に、水平坑仕上とフラッキング技術の進歩により驚異的な生産が可能となりました。
(3)コールベッドメタン(CBM)
石炭形成過程において生成されたメタンガスが地下の石炭層の割れ目にメタン分子状で吸着して存在します。米国では1986年ごろから商業生産がおこなわれています。近年ではカナダ、アルゼンチン、オーストラリア、中国、インド、ロシア、ウクライナ、英国等で事業化実証テストの動きがあります。
(4)地圧水溶性ガス
地殻深部の異常高圧層の地層水に溶解したメタンガスで、高圧下のガス量は地表の体積となると膨大となります。
(5)メタンハイドレート
次世代のガス資源として期待されているもので、メタン分子と水分子からなるクラスター状の固体物質で深海底堆積層中や永久凍土地帯の土質堆積物中に広範に分布しています。日本近海では静岡から和歌山、高知へ広がる南海卜ラフに相当量賦存しています。
以上の非在来型ガス資源の中では、タイトサンドガス、コールベッドメタン、シェールガスは近年の原油価格の急騰下で各種の新技術の採用が許され、増産され、米国では既に商業生産が行われています。また、メタンハイドレートは日本近海でも確認されていて、まだ実用化にはいたっていませんが、日本にとって将来に大きな夢を持てる資源となりそうです。
――― シェールオイル、オイルシェール、シェールガスの違いについて ―――
まず、シェールオイルとオイルシェールの違いです が、同じ様な意味で使われているケースも散見します。 しかし、シェールオイルとオイルシェールは全く別の物です。オイルシェールを水圧破砕しても油にはならないからです。オイルシェールから油を回収するには、掘削→破砕→乾留という工程が必要なのです。もともと、オイルシェールの見た目は岩石で、石油の元となる炭化水素の高分子有機化合物である固体を10%程度含む頁岩(けつがん)を意味します。従って、シェール層を高圧水流で破砕し人工的に無数のひび割れを作ってその隙間からシェール層内に封じ込まれている石油と天然ガスを掘削する訳ですが、取れた石油をシェールオイルと呼び取れた天然ガスをシェールガスと呼んでいます。
次回からは、非在来型化石燃料についての話題を取り上げたいと思います。
<参考・引用資料>
「トコトンやさしい非在来型化石燃料の本」日刊工業新聞社
JOGMECホームページ
フリー百科事典「ウィキペディア」
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