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エネルギー資源の現状と将来(11)<非在来型化石燃料(4)−その2>
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先月号では非在来型化石燃料として、液体系ではオイルサンド、オリノコヘビーオイル、シェールオイルなどがあり、また気体系ではタイトサンドガス、シェールガス、コールベッドメタン(CBM)、メタンハイドレートなどがあることを勉強しました。今月はこれらの中でも最近盛んに話題になっていますシェールガスについてもう少し詳しく調べてみました。
(4-4) 化石燃料資源としてのオイルシェール
シェール革命として有名になったシェールガスやシェールオイルは、地下にある頁岩(けつがん)(シェール)と呼ばれる泥岩の中に含まれている天然ガスや原油のことでした。前回でもお話をしましたが、オイルシェールは、シェールとオイルの2つの単語をひっくり返しただけなのですが、意味は全く異なります。オイルシェールは、油母頁岩とも呼ばれる、石油・天然ガスに分解する前のケロジェン(固体高分子有機物)を多く含む泥岩を言います。ケロジェンから石油・天然ガスが生成されるには長い年月をかけて地中深い場所で熱作用を受ける必要がありますが、それが十分でないとケロジェンの状態で残ります。すなわちオイルシェールは未成熟な原油資源ということができます。
十分な量のケロジェンを含むオイルシェールの製油には乾留という化学工学的な手法が用いられます。乾留とは450℃から500℃の炉の中で固体有機物を無酸素状態で熱することを言い、ケロジェンが熱分解を起こして油分が蒸発して出てきます。これを冷却して集めたものが粗油です。
オイルシェールの一部は露天掘りが可能ですが、こうした露天掘りによるオイルシェール製油はコストがかかるため、1900年後半に従来型の石油が安い費用で大量生産されるようになるとほとんどが停止しました。
しかしここ数年来の原油価格の高騰によって再び見直しが始まりました。例えば世界最大の埋蔵量が残存すると考えられている米国では、シェル社がコロラド州の地下300メートル以深にあるオイルシェールを対象にICP(In-situ Conversion Process)法と呼ばれる一種の電気加熱法で地層内回収の実験を継続しています。
2015年1 月の現時点では一時的な原油安の影響で生産量が落ち始めていますが、製造工程の一貫化や地層内回収技術の進展によって大幅なコスト削減ができれば、シェールガスやシェールオイルが含まれるオイルシェールが次世代の化石燃料資源として再び注目されることになる筈です。
(4-5)産業構造の変化をもたらすシェールガス
2006 年頃、北米でシェールガス開発ブームが起こりました。そしてこのブームは、「シェールガス革命」という言葉まで生み出し、ひとつの大きな産業構造の変革を引き起こしつつあります。最近では、中国、豪州、インド、欧州にも波及し、探査や生産パイロットテストを計画していると言われています。IEA(国際エネルギー機関)や国際石油開発情報コンサルタントのIHS-CERA社では、「シェールガス革命がもし本物なら、地球環境により優しい化石燃料である天然ガスの可採埋蔵量が現在の47年から100年近くまで大幅に増加し、21世紀のこれからはガス黄金時代が到来する」と言っています。 この10年間で、米国の天然ガス総生産量のうち非在来型ガスの占める割合は、29%から60%に激増。特にシェールガスの生産量シェアは、10年前の3%から2010年には24%と約8倍に増えたのです。
シェールガスの年間生産量は2010年の5.33Tcf(兆立方フィート)から2011 年には7.60Tcfと43%も急増しています。ちなみに日本の年間ガス消費量は約3.53Tcf(約1000億立方メートル)であるので、米国のシェールガス生産量は今や日本の消費量の1.5倍〜2.2倍の規模に膨れたのです。これは驚くべき量です。
米国シェールガス開発の緒は1981 年に発見されたテキサス州フォートワース市に近いバーネットシェール構造です。パイオニア格のこのバーネットシェールを追うように2006年頃から米国内では次々に開発が行われ、シェールガス生産量を大きく伸ばしてきたのです。
(4-6)シェールガスを実用可能にした技術
シェールガスの生産における技術的ブレイクスルーの端緒を作ったのは、テキサスの“クレイジーおじさん”と呼ばれたジョージーミッチェル氏が有名です。彼は90年代後半に水平掘り仕上げとフラクチャリング(水圧破砕)技術を使い硬いバーネットシェール層で、地道に試掘と現場実証試験を繰り返し、資金を使い果したそうです。そこで2001年、デボン社にミッチェルエナジー社を買収してもらい、自分はデボン社の大株主となり経営に参画しながら同社の技術発展に大きく貢献しました。
その中で1000 メートル以上の長距離水平坑井仕上げ技術多段式ハイドロフラクチャリングマイグロサイズミックモニタリング技術などの革新技術が実用化されました。2007〜08年には油価高騰の追い風が吹き、エクソンモービル社などの石油メジャーまでがシェールガス開発に参入、米国、カナダのシェールガス開発がブームとなり増産が加速したのです。
2010年になるとペンシルバニア州に24 万平方キロメートルと日本の本州より広いマーセラスシーェール堆積盆の開発が活況を呈し、同時にテキサス州南郎のイ−グルフォードシェールでも多量のLPG分やコンデンセートなどの天然ガス液が随伴生産されるウェットガス井の生産が盛んになりました。2007年以降のシェールガスの急激な増産は油価高騰がトリガーとなったのは明白なのです。
ところが2011 年から米国ヘンリーハブガス価格は、百万Btu(英国熱量単位)当たり4ドルを割り、年末には3ドル台に暴落してしまいます。シェールガスの開発生産コストは4〜6ドル程度と言われているので、ガス価格が4ドル以下に低迷してはドライシェールガス井は軒並みにコスト割れで停止せざるを得ず、シェールガス増産に懸念が囁かれ始めました。そのため、2011年央以降は、高値推移の油を求めてシェールガス開発で培った新技術を使いタイトオイルやシェールオイルを目がけ開発対象地域をシフトしていますが、直近では大幅な原油安の影響を受けて開発のスピードは落ちているようです。原油価格が戻ればまたシェールオイルの開発が活発になるでしょう。
(4-7)シェールガスの埋蔵量
シェールガスが登場する前の在来型の化石燃料の寿命は、残り数十年と言われていました。しかし、シェールガスの登場で在来型と非在来型を合わせた化石燃料の寿命は、一気に数百年単位まで伸びました。一説によると在来型と非在来型を合わせた化石燃料の寿命は、三百年〜四百年になるとの見方も出ています。これは今まで、掘削が不可能と思われていた地下二千メートル〜三千メートルのシェール層に存在するシェールガスの掘削が可能になったからです。それでは、その埋蔵量と埋蔵分布はどうなっているのでしょうか。
シェールガスは世界中に埋蔵されていると考えられています。勿論、在来型の油田やガス田の周辺にもシェールガスは埋蔵されていますが、今まで全く油田やガス田に縁が無かった地域や国に膨大な埋蔵量が確認されていることも特筆されることです。そこで、アメリカのエネルギー省が2011年に出した推定値を見てみましょう。尚、エネルギー省の推定値調査には、ロシアと中東地域は含まれていません。ロシアは在来型の天然ガスの産出国として知られシェールガスの開発予定がありません。また、埋蔵量の調査も行っていません。中東地域も在来型の原油の一大生産地であることは言うまでも無いことです。
まず、シェールガスの埋蔵量で特徴的なのは、世界の1位と2 位の経済大国であるアメリカと中国の埋蔵量が際立っていることです。推定値によりますと中国が36兆立方メートルでトップの埋蔵量を誇り、アメリカが24兆立方メートルで続いています。そして、3位アルゼンチン22兆立方メートル、以下、メキシコ19兆立方メートル、南アフリカ14兆立方メートル、オーストラリア11兆立方メートル、カナダ11兆立方メートルと続きます。そして、リビア、アルジェリア、ブラジル、ポーランド、フランスが5兆立方メートルから10兆立方メートルの推定値となっています。
(4-8)シェールガス開発の問題点
シェールガス井では生産レートの減退が在来型ガス井より著しく急激で、会社としては販売ガス量を一定量に保つために次々に新しい生産井を掘り増さなければなりません。だから1基地から10本以上の生産井を必要とします。井戸の水圧破砕作業では1000メートル以上の長い水平坑を奥から約125メートル区間で孔を開け、フラックイング流体を毎分70バレルで高速レート圧入して岩石を破砕します。次のステージは手前に30メートルほど離してパッカーで密閉してから同じ作業を10区間ほど繰り返します。ハイドロリックフラック流体の93.4%は清水ですが、これに6.1%分をプロッパントと呼ぶ微細な砂(人口破砕したフラクチャー割れ目に入り込み支えとなり空間を保持する役目)を混ぜたゲル状液体にいろいろな化学薬剤やポリマーを微少含有率で調合してあります。だからもしこの液体が地上に漏れると重度の環境汚染を起こしかねないのです。
高速で圧入する水の量は1坑井当たり井戸によって7000〜1万5000 キロリットルと大量なので水の確保も悩みの種となります。水源が近くにない掘削基地では200両ものタンクローリー車で遠くから連続に給水します。米国の現状ではその約35%を公営水道から、約65%を川や池や貯水池の決められた地点から給水していますが、特にペンシルバニア州の公営水道の供給量にも限界が近づいているようです。今後、水圧破砕に要する大量の圧入水の確保と割れ目に埋め込むサイズの揃った高級な砂不足が開発のネックとなりそうです。
次回は、最近日本近海で相次いで発見されているメタンハイドレートの話題を中心に進めたいと思っています。
<参考・引用資料>
「トコトンやさしい非在来型化石燃料の本」日刊工業新聞社
JOGMECホームページ
フリー百科事典「ウィキペディア」
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