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エネルギー資源の現状と将来(12)<非在来型化石燃料(4)−その3>
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今月は非在来型化石燃料として将来が期待されるメタンハイドレートについて調査してみました。最近、新聞やTVニュースなどで時々取り上げられているこのエネルギー資源はどのようなものでしょうか。特に日本にとって重要な資源となるかもしれない根拠は何でしょうか。
(4-9) 燃える氷・メタンハイドレートとは何か
メダンハイドレートとは、氷状になった水分子の間にメタン分子が入り込んでシャーベット状の物質になったものです。ちょうど次図に示すように水分子でできた旅の中にメタン分子が1つずつ入り込んだ構造をしています。見た目は、白く氷のようで冷たいのですが、炎を出して燃焼します。
メタンハイドレートの分子構造
メタンハイドレートは石油と同じ化石燃料で、その生成メカニズムも、石油と似ています。陸上や海底で動植物が堆積し、またプランクトンや藻類の遺骸が沈降し、これらが分解されメタンガスを発生させます。ところが、大陸棚近辺は強い海流があり、これらの有機物は自然と流されます。そして、日本はユーラシア大陸の縁にあり、すぐそばには大陸棚の境界に沿って海の谷間があります。沈降した有機物はそこに集められ、大量に泥などと一緒に堆積していきます。
メタンハイドレートには生成される条件があります。おおよそ温度が0℃で26気圧以上、10℃では76気圧以上で水分子の中に入り込みます。水の中では、深度が10m増すごとに1気圧高くなるので、26気圧では、260mの深さになります。また、低緯度海域で水温が10℃以下になるのは、水深1000m以下です。つまり、およそ500mから1500m程度の水深が、メタンハイドレートの生成に適しているといえます。日本は深海に囲まれているので、まさにこの条件にちょうど良い海洋を持っていることになります。
さて、このメタンハイドレートですが、せっかく海底に炭素を固定化しているのに、それを地上に持ち出してエネルギーとして燃焼させることは、二酸化炭素が発生するので、地球温暖化抑止には効果がありません。ただし、石油や石炭に比べると二酸化炭素の発生量は少なくてすみます。また、海底の温度変動が発生すればメタンガスとなって大気中に出てくるので、天然ガスと同等かそれ以上に環境への影響は少ないと考えることができそうです。
地球上のメタンと二酸化炭素の循環
(4-10)メタンハイドレートの採掘方法
メタンハイドレートは、一体どれくらい海底に眠っているのでしょうか。メタンハイドレートが存在する条件は「低温で高圧」であるので、深い海底か陸上では永久凍土層に存在する可能性があります。わが国周辺の海域では、メタンハイドレートの存在条件に合致するちょうど良い海底があるために多くの存在が確認されていて、その量は10兆立方メートルのメタンハイドレートと推定されています。これは天然ガス換算で約100年分に相当します。
また、メタンハイドレートの探索も続けられています。カスピ海やバイカル湖などでもメタンハイドレートの存在が確認されています。陸上でも、シベリヤやアラスカの永久凍土層、カナダのマッケンジーデルタの永久凍土層内にも存在していることが確認されています。
さて、メタンハイドレートの採掘方法ですが、大変困難な技術となります。石油のように噴出しているわけではないので、汲み上げる必要があります。しかし、メタンハイドレートは氷状のかごに入っているので、汲み上げるには同時に大量の水も一緒に汲み上げることとなり、深海からの水のくみ上げはコスト的に見合わないという問題があります。
現在検討が進められているのは、加熱法(熱水循環法)減圧法インヒビター圧入法の3つです。加熱法は、二重構造の管を海底に差し込み内管から熱水を注入して循環させます。これによりメタンハイドレートはメタンガスになって放出され、これを回収します。
減圧法はパイプ内を減圧し、同様にメタンハイドレートから放出されるメタンガスを回収します。
インヒビター圧入法は、メタンハイドレートの安定条件を変化させる物質(インタヒビタ士を送り込み、メタンハイドレートから放出されるメタンガスを回収します。いずれの方法もコスト的には厳しいものがあり、さらなる技術開発が求められています。
メタンハイドレートの採掘方法
(4-11)メタンハイドレート・商業生産への挑戦
「MH21研究コンソーシアム」のフェーズ1(2001〜2008年度)において、MH探査を担当したJOGMECの資源量評価グループは日本周辺海域で過去に計測した地震探査データを細かく分析し次図のようなMH賦存状況図を公表しました。
その中で最も期待される「東部南海トラフ(東海沖〜熊野灘)」を対象域に地質、電検、坑井データに基づくMH濃集帯を抽出し原始資源量の算定方法を完成し、国際学会に発表し評価を得ました。その対象域の原始資源量はメタンガス換算約40兆立方フィート(日本のLNG輸入量の約11年分の規模)と言われます。
確かにMHは日本周辺海域に広く分布して原始資源量は膨大のようですが、回収率は極めて小さいのかもしれません。しかしながら未だ最適な生産手法・革新的な回収システムが実証されていません。
1000メートルの深海で海底仕上げのガス生産基地1基あたりの商業生産レートは少なくとも日産100万立方メートル程度のガス生産量が欲しいところでしょう。
これを実現できる革新的生産手法が発明できるか?出砂障害を完全に防ぎ、海底崩壊や地すべりを回避しながらMHの高レート生産操業を何年も続けられる新しい「海底資源開発工学」の誕生が待たれます。
日本周辺海域のメタンハイドレート分布予想
(4-12)世界のメタンハイドレートの分布・資源量
1988年にノルウェーのクヴェンボルデンが国際深海掘削計画等の調査データを基に地球上のメタンハイドレートの分布場所を詳しく報告し、世界の海域の原始資源量を1万7600兆立方メートルと報告しました。その後、彼はさらなる調査結果を追加して、1998年には陸域も含めた世界全体の原始資源量を2万1000兆立方メートルと発表しました。おそらくこの報告が今のところ一番信頼できる評価と見なされています。
世界のメタンハイドレートの分布予想
参考比較として、私たちが現在地球上で利用している在来型天然ガス田の世界全体の究極可採資源量は約458兆立方メートル(1万6200兆cf)の規模です。人類が地球上で過去150年間に消費した天然ガスの累計量は120兆立方メートル、そして原油は約1860億キロリットル(熱量等価の天然ガス量に換算すると180兆立方メートル)程度でした。2010年末に残存する天然ガスの確認埋蔵量は188兆立方メートル弱に過ぎません。メタンハイドレートの2万1000兆立方メートルがいかに大きな数値かお分かりになるでしょう。
それにしてもメタンハイドレート資源は在来型天然ガスと比較して、莫大な原始資源量のポテンシャルが期待できることは確かと言えましょう。課題はあるものの夢の挑戦の意義があるようです。
<参考・引用資料>
「トコトンやさしい非在来型化石燃料の本」日刊工業新聞社
「トコトンやさしい海底資源の本」日刊工業新聞社
JOGMECホームページ
フリー百科事典「ウィキペディア」
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