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エネルギー資源の現状と将来(17)<原子力エネルギー(5)−その5>
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今月は原子力エネルギー編の最終として、「放射性廃棄物」および「放射線被ばく」について取り上げてみました。原子力発電を中心とした原子力エネルギーは、人類にとって大きな魅力あるエネルギー源と考えられていますが、一方では安定性、安全性に対して、将来に渡っての確固たる技術の裏付けがないのも事実です。今月は原子力発電に関して最も問題になっている上記二つの課題を調べてみました。
(5-15) 放射性廃棄物
原子炉にはいろいろな問題があります。その最大のものは放射性廃棄物とその始末でしょう。別名、核分裂廃棄物、核のゴミなどとも呼ばれています。原子炉は核分裂反応を利用したものであり、放射性廃棄物の生成はつきもので、なくすることは原理的に不可能です。
放射性廃棄物は多くの種類の原子核であり、その質量数や配分は今まで勉強してきたとおりです。廃棄物としての原子核は分裂反応でできたばかりのものであり、高エネルギーの不安定状態です。そのため、各種の放射線を放出して安定な状態になろうとします。つまり、放射性廃棄物はたんに不用品というにとどまらず、高い放射能をもった非常に危険な物質なのです。しかも、その放射能が半減するまでの半減期は、長いものでは数百年から数千年になります。このような廃棄物の一種には、プルトニウムも含まれています。
放射性廃棄物は放射性の物質を含んだ廃棄物ということになるわけですから、α線やβ線などの放射線がでているということを意味します。また、この放射線の作用で放射性廃棄物は多かれ少なかれ発熱しています。
放射性廃棄物は、この発熱への対処を必要とするかどうかで「高レベル放射性廃棄物」「低レベル放射性廃棄物」に分けられています。そして「低レベル」か「高レベル」かによって処理・処分方法も異なってきます。ちなみに、低レベル放射性廃棄物としては原子力関連の施設から出るものだけでなく病院の放射線科からでるものもあります。そして高レベル放射性廃棄物は、ほとんどが使用済核燃料の再処理で分離された核分裂生成物やアクチノイド元素(原子番号が89から103までの重い元素)となっています。
(5-16) 廃棄物処理の方法
放射性廃棄物の具体的な処理・処分方法は次のようになっています。
低レベル放射性廃棄物は体積を小さくするような処理(圧縮などによる減容)を行った後、セメントやアスファルトなどを用いて固体とし、ドラム缶などに詰められた後で処分することになっています。
一方、高レベル放射性廃棄物の処理については、現在のところ特殊なガラスを用いて固体とする方法が一般的です。その後、ステンレス製の容器(キャニスターと呼ばれる)などで多重に防護した容器に入れ、最終的には地殻が安定しているような土地で、深い地下に処分します。
例えば地下に数百mの穴を掘って投棄する、太平洋の海底のプレートが沈み込む境界に投棄して、プレート移動とともにマグマの中に入れてしまう、果てはロケットで太陽に撃ち込むなど、少々マンガチックなアイデアまでいろいろありますが、今後真剣に考えないといけない問題です。
また、原子炉そのものの廃棄も問題です。原子炉の中には放射性物質がたくさん入っています。不要になったからといって、ただちに取り壊すことはできません。放射能がなくなるまで、長い期間の監視と保管が重要となります。建設から廃棄までの費用を含めると、原子力発電は意外と高価なものにつきそうです・・・とは言っても将来のエネルギー源として、またエネルギー源の多様化のためには簡単に捨て去ることはできないのではないでしょうか。過去の歴史と同様、不可能を可能にしてきたわれわれ人類は、いずれ原子力を安全に使いこなす技術を完全に習得できるかもしれません。
(5-17) 放射線被ばく
■自然放射線
私達は日常生活でも放射線を被ばくしています。その発生原因は次の3種類です。
(1) まず宇宙から大気を突き破って地面に到達する放射線があります。高山や高い高度を飛ぶジェット機では、地面の何倍もの被ばく量になります。たとえば、海面における放射能は、1時間あたり 0.03μSV〔マイクロシーベルト〕ですが、東京一札幌間の高々度(11000m)を飛ぶ飛行機の機内では1.1μSVと大幅に増加します。
(2) 次に土壌や岩石中に含まれるウラン(U)、トリウム(Th)などによる放射線です。放射性物質を多く含む花南岩が多い関西、中部、四国は全国平均よりも高い値となります
(3)最後は食物から取り込む放射線です。米、ホウレンソウ、ワカメ、魚、牛肉などはカリウム(K)を多く含んでおり、このカリウムは健康に欠かせない栄養素ではありますが、カリウムの中にカリウム40という放射性物質が含まれており、食物から摂取されて体内に留まります。
 
自然放射線は、以上の3つの組み合わせからなりますが、住んでいる地域、高度、建物が木造か鉄筋かによっても異なってきます。特に鉄筋コンクリートには放射性物質が含まれており、木造よりも若干高くなります。また地下街は宇宙線が遮られる反面、土壌からの放射線を受けやすいのです。食物分を除いた自然放射能の実測値は(単位は1年間あたりのmSV〔ミリシーベルト〕)、木造住宅0.6、鉄筋6F建て住宅0.9、首都圏地下街0.7、首都圏ビジネス街1.1などとなっています。これに、食物分の年間約0.24mSvを加えると、全自然放射能は、年間約0.8〜1.3mSvになります。
■外部被ばく内部被ばく
放射線被ばくには、体の外にある放射線源から放射線を浴びる外部ひばく(単位はシーベルト[SV]/時)と、体の内に放射性物質で汚染されたものを飲み込んだり、空気を吸ったことによる放射線被ばくの内部被ばくがあります。
外部被ばくは、モニタリングにより空間線量率を測定することにより被ばく線量が分かり、内部被ばくは、環境、水、農作物等の食品から体内に取り込まれる事により生じるので、その元になる放射性物質の量(単位はベクレル[Bq])から被ばくの程度が分かります。
外部被ばくの場合は、放射線量が多い場所から離れることで被ばくは減少します。一般的に、被ばは距離の二乗に反比例すると言われています。
健康診断で行われる×線撮影は外部被ばくです。しかし内部被ばくの場合は、放射性同位体が体内にとどまることで長期間にわたって多量の放射線を浴びる恐れがあり、さらに放射性同位体によっては特定の器官や組織に集まる傾向があります。そのため被ばくとして問題になるのは外部被ばくよりもむしろ内部被ばくだと言われています。
■被ばくの防護
まず外部被ばくを低減(防護)するためには、2つの方法がとられます。1つは、放射線を適切な材料を用いて遮蔽することで、もう1つは、放射線を発している場所(物体)からできるだけ遠くに離れることです。放射線も粒子であることを考えれば、放射線を発している場所から離れるほど、粒子は拡散するため、放射線の量が減少することは理解できます。
内部被ばくに関しては、体内に放射性同位体を取り込まないようにすることが必要です。体内に取り込まれる経路としては、呼吸や食事だけでなく皮膚からということもあります。そのため内部被ばくを低減するには、放射性同位体を通さないフィルター付きのマスクやゴーグルだけでなく、皮膚の露出をできるだけ最小限にとどめる必要があります。
■放射線の単位
放射線被ばくの対策、被ばく量の健康への影響を考える際に、ベクレルやシーベルトなどの放射線の単位がどのようなものか知っておく必要があります。次図に各単位の違いが表わされていますので良く覚えておいてください。
■放射線量と健康被害
自然界から受ける放射線量は、世界平均では年間2.4ミリシーベルト[mSV]になります。被ばくはその形態により、全身に放射線を浴びる全身被ばくと、目(水晶体)、皮膚等の局所に浴びる局所被ばくに分かれます。放射線被ばくが100ミリシーベルト以下では、臨床症状は現れません。
100ミリシーベルト以上浴びると人体への健康被害が生じ、臨床症状が現れます。全身被ばくでは、500ミリシーベルトでリンパ球の減少、1000ミリシーベルトで悪心、おう吐などの臨床症状が現れ、7000ミリシーベルト以上では100%の人が死亡します。
局所被ばくでは、500〜2000ミリシーベルトで水晶体被ばくすると水晶体混濁、3000ミリシーベルトで皮膚被ばくすると脱毛。2500〜6000ミリシーベルトで生殖腺被ばくすると永久不妊などの臨床症状が現れます。
一般の人に対しては、全身被ばくで年間1ミリシーベルトを超えないこと、放射線従事者に対しては年間50ミリシーベルト以下、5年間で100ミリシーベルト、緊急作業の場合には100ミリシーベルトを超えないことが基準として定められています。この基準は、それを超えると健康影響があるという値ではなく、より安全側にとの考えから、より厳しい基準として定められています。
なお、放射線被ばくによる発癌影響については、原爆被爆者を対象とした疫学調査が続けられており、1000ミリシーベルトの被ばくで発癌リスクが5.5%高まるというデータがありますが、それ以下で発癌のリスクが高まるという証拠は得られていません。
以上、今月で「エネルギー資源の現状と将来」のシリーズとしての原子力エネルギー、原子力発電についてのお話は終了いたします。読者の皆様には原子力についての様々なご意見があろうかと思いますが、5回にわたったこのシリーズの中で初めて知ったこと、理解できたことを重ね合わせて再度色々な角度から「原子力」について考えてみてください。
なお、来月からは「再生エネルギー」について勉強してゆきたいと思います。
<参考・引用資料>
「知っておきたいエネルギーの基礎知識」 斉藤勝裕 著 サイエンス・アイ新書
「図解雑学 知っておきたい原子力発電」 竹田敏一 著 ナツメ社
「原子力発電がよくわかる本」 榎本聰明 著 オーム社
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