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エネルギー資源の現状と将来(23)<再生可能エネルギー(6)-その6>

今月は再生可能エネルギーとして「水力発電」を取り上げました。日本の水力発電の大規模開発はすでに限界に達していますが、世界的にみればまだまだ利用余地は大きく残っています。また、日本では近年小規模水力発電が見直されていて、新たな再生可能エネルギーの活用方法として今後の全国的な普及に期待が寄せられています。

(6-8)水力発電

[1]水力発電の原理

すでにお分かりになっているとは思いますが、もう一度水力発電の原理を確認してみましょう。水のポテンシャルエネルギー(重力による位置エネルギー)を変換して電気エネルギーとして取り出す、すなわち発電する方法が水力発電です。高いところにある水はポテンシャルエネルギーをもっています。低いところへ移動するときにそのポテンシャルエネルギーを自分自身の運動エネルギーに換えて速度を速くします。速度を速めた水は羽根車にぶつかり、その直線的な運動を羽根車の回転運動に変換します。水の運動エネルギーを水車の回転の運動エネルギーに換えたわけです。あとはその回転の運動エネルギーを利用して、発電機を回し、電磁誘導によって電気エネルギーに換えて取り出すのです。

ポテンシャルエネルギーを失った、低いところにある水は、再び太陽光によって温められて水蒸気として蒸発します。水はH2Oという化学式で表され、その密度は15℃、1気圧で0.76g/cm3であり、同じ状態の空気の密度1.21g/cm3よりも小さく、軽いために上昇します。大気中を上昇している間に冷たくなり、水蒸気は再び上空で凝縮し水となり、再び雨となって地表に落ちてきますが、そのときにポテンシャルエネルギーをもっているのです。このように、水力発電で得られる電気エネルギーの大元は太陽光エネルギーであり、いつまでもなくならないのです。

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[2]水力発電の種類

自然エネルギーを利用している水力発電は、電力需要への変化に対応しにくい発電方式ですが、現在では水をせき止める方法だけではなく、汲み上げる等の方法も行うなど、さまざまな水の利用方法を行い、電力需要の変化にも対応しています。

■流れ込み式(自流式)水力発電

川の水をそのまま発電所に引き込んで発電する方法です。豊水期や渇水期など水量変化にともない、発電できる電気の量も変わります。

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水を貯めることができないので、豊水期には全ての水を利用することができず、反対に渇水期には発電量が少なくなるという問題点がありますが、比較的建設コストが抑えられるというメリットもあります。そのため、アフリカなど海外の一部では発電方法の主流として位置づけられています。日本も国際貢献の一環としてこれらの国々に対し、技術供与や建設を行っています。

■調整池・貯水池式水力発電

調整池に水を貯水することで水量を調節し、発電する方法です。1日分あるいは1週間分程度の発電用水を調整池に溜めて、発電量を調整することができます。

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そのため、短期間の天候の変化(晴れや雨)、電力需要の変化に対応でき、流れ込み式水力発電所よりも効率的な発電が可能です。

一方貯水池方式では河川をダムでせき止め、ダムに溜まった水を発電用に用いるものです。雪どけや梅雨、台風などの豊水期に貯水し、渇水期に放流して発電する方法です。構造物から見た場合、ダム式、ダム水路式がこの方法です。

河川の水を完全にせき止めるため、水の流れを自在にコントロールできます。そのため、四季のある日本でも年間を通じて安定した発電が可能となっています。放水路から流される水は河川に戻され、最終的に海に注ぎます。

しかしこのタイプの水力発電所も流れ込み式水力発電所と同様に、河川が短い日本では建設する場所が少ないのが現状です。

また、ダムを建設することによる周辺地域の水没や環境変化など、多くの地域住民協力がなくてはつくることができず、水力発電所の中ではもっとも環境負荷が大きいものとなっています。

日本では、昼間の電力消費量が夜間の2倍に達することもあります。しかし電気は蓄えることができません。そこで、昼間の電力需要を補うためにこのような発電方式が取り入れられています。

■揚水式水力発電

発電所の上部と下部に大きな池(調整池)をつくり、昼間の電力需要の多いときは上の調整池から下の調整池に水を落として発電し、発電につかった水は下部の調整池に貯めておきます。

電気は蓄えることが難しいエネルギーですが、昼は水の位置エネルギーを使って電気を起こし、夜は電気を使って水の位置エネルギーを蓄える、ということから、大きな意味での「蓄電施設」と考えることもできます。

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電力の消費が多い昼間は、図の左上にある池から右下の池に向かって水が流れ落ち、中央の水力発電所で発電を行います。夜間は余剰電力を使って右下の池に溜まった水を左上の池に汲み上げます。揚水式発電所は一般に、発電所本体が地中に設置されており、その全容を見る機会はほとんどありません。

[3]水力発電の長所

水力発電のメリット・長所を箇条書きにしてまとめてみました。なんといっても最大の強みは水という再生可能なエネルギーを使っているという点です。エネルギー資源に恵まれているとは言い難い日本でも、水という資源にはとても恵まれています。その他、二酸化炭素を排出しないので環境にも優しいということができます。また、水力発電のエネルギー変換効率は非常に高く、80%にも達します。つまり、水のもつポテンシャルエネルギーの80%を電気エネルギーに変換できるわけです。この効率は再生可能エネルギーだけでなく、全ての発電設備の中で際立っています。

(イ)エネルギー効率が高い

(ロ)再生可能エネルギーを利用しているので、外部からの影響を受けにくい発電時に地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しない

(ハ)酸性雨や光化学スモッグなどといった大気汚染の原因となる酸化物を排出しない

(ニ)山が多く、起伏の大きい日本に向いていると言える

(ホ)揚水式発電なら電力需要の大きい時間帯に発電を集中させることができる

(ヘ)超小型水力発電所なら用水路や小川などでも発電できる

[4]水力発電の短所

今度は逆にデメリット・短所を箇条書きにしてまとめてみました。メリットの項目で環境に優しいと書きましたが、それは発電開始後の話です。実は発電所を作る際に森林など自然環境を破壊してしまうという問題点があります。また、ダム建設にかかる費用なども問題視されることがあります。

(イ)多くの場合、ダムを造る必要があり、周辺地域の自然環境を破壊する

(ロ)長年使い続けているとダムの底に土砂が溜まってしまい、発電量が減る

(ハ)現在、日本国内で新たな大型ダムを造るのは困難

(ニ)雨が降る量によって発電量が左右されてしまう可能性がある

[5]小水力発電

日本は海に囲まれています。国土の70%は山地で国土面積が狭いこともあって、短く急流で落差が大きい河川がたくさんあります。水力発電による出力は水車を流れる流水量と落差に比例します。日本では流水量の大きな河川は限られていますが、落差の大きな河川はたくさんあるため、ダムを造らない小水力発電に適しています。日本の年間降水量は全国平均で1700ミリと世界平均880ミリの約2倍あり、なんと世界第6位です。

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それでは、小水力発電の規模はどのように定義したら良いでしょうか。日本の電力業界では、従来から「10,000kW以下」を小水力としてきました。

一方、日本の法律では、1,000kW以下と1,000kWを超える水力が明確に区分されています。1,000kW以下の水力発電は、新エネルギー法の施行令改正(2008年4月施行)により、「新エネルギー」に認定されています。RPS法では、1,000kW以下の水力発電は、RPS法の対象となっています。

以上の法律上の区分や、今後の水力開発の在り方などを踏まえれば、これからは「1,000kW以下」を「小水力」として扱うことがよさそうです。

■小水力発電の魅力

基本的に小水力は環境配慮型です。発電方式の分類では、「流れ込み式」、または「水路式」となります。大規模ダム(貯水池式)、中規模ダム(調整池式)ではなく、河川の水を貯めること無く、そのまま利用する発電方式です。一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道など、現在無駄に捨てられているエネルギーを有効利用します。

現在、国内市場は、ほとんどありません。これまでは、大中型中心の水力市場で、小水力の市場はありませんでした。現在、やっと芽が出て、育ち始めている段階です。近い将来、大きな市場の延びが期待できます。小水力技術は小水力独自の技術であり、ネオジム磁石を使った高効率小型発電機など、小水力独自の技術開発、育成、拡大が進んでいます。

さらに、小水力開発は、地域密着型が多く、地域の、地域による、地域のための開発です。地元のコンサルタント、地元の施工業者、地元業者による保守管理などで、地域の活性化、地域の雇用促進にも有効です。したがって、小水力の事業主体のほとんどが、地方自治体、土地改良区、NPO、民間、個人です。これまでの電力会社主体の開発とは異なり、多様な事業主体が実施しています。

■小水力発電の可能な環境(全国小水力利用推進協議会J-WatERホームページより)

基本的に落差と流量のあるところであれば、場所は問いません。例えば以下のような場所が小水力発電の可能性を持っています。

(イ)一般河川

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(ロ)砂防ダム、治山ダム

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(ハ)農業用水路

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(ニ)下水処理施設

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(ホ)ビルの循環水、工業用水

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以上で水力発電についての調査・勉強は終了です。中でも、小水力発電が今後の日本での再生可能エネルギーとして拡大して行きそうな状況であることがお分かりになったと思います。

次回は「バイオマスエネルギー」について調べてみる予定です。

<参考・引用資料>

「トコトンやさしい再生可能エネルギーの本」太田健一郎 監修、石原顕光 著 日刊工業新聞社

「なっとく再生可能エネルギー」資源エネルギー庁ホームページ

「水力発電のしくみ」 電気事業連合会ホームページ

「小水力発電とは」 全国小水力利用推進協議会J-WatERホームページ