希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

地球の科学と自然災害(2)<地震−その2>
文字の大きさ :
先月からの新たな大テーマ「地球の科学と自然災害」はまず小テーマ「地震」についてからスタートしました。前回の内容をおさらいしますと、まず「地球科学」はひとつの学問体系というよりは地球に関する様々な学問分野の総称であり、地質学・鉱物学・地球物理学・地球化学などに細分化され、研究対象も分野によって大気圏・表層環境・生命圏・地球内部・太陽系など多様であることを知りました。次に「地震」については揺れの強さは表すのが「震度」で、地震の規模、エネルギーを表すのが「マグニチュード」であり、それぞれの数字の意味についても勉強いたしました。
そして、地震の原因は「断層運動」であり、海洋プレートと大陸プレートが直接関係する断層運動が海溝型巨大地震を引き起こし、プレートから離れた場所でプレートが割れてできた断層が内陸型地震を引き起こすことが分かりました。
今月はこのプレート運動についてさらに詳細に調べてみようと思います。
[地震-5]プレートテクニクスと古地磁気
■3タイプのプレート境界
プレート境界は、日本列島のように一方が他方の下に沈み込んでいるばかりではなく、3タイプ(発散、収束、すれ違い)のプレート境界があります。(次図)。
<発散境界>
発散境界では、プレートが生まれて両側に広がっています。プレート同士が離れてできた隙間を埋めるように、地下深部からマグマが湧き出して新しいプレートがつくられているのです。横に引っ張られる力がかかっている場(引張応力場)なので、正断層ができやすく、海洋底にある山脈「海嶺」がこれにあたります。
<収束境界>
収束境界では、プレート同士がぶつかり合っています。海洋のプレートが大陸プレートの下に沈み込む場合は沈み込み帯と呼ばれています。海洋プレートの沈み込みのところに深い溝のような地形、すなわち海溝ができます。日本列島は典型的な沈み込み帯といえます。
大陸プレート同士がもろにぶつかり合う場合は衝突帯と呼ばれます。衝突地点では、横方向につぶれながら上に盛り上がって山脈ができます。代表的なのはヒマラヤ山脈です。収束境界では、プレート同士の押し合いによって、圧縮力がかかっている場(圧縮応力場)となっているので、逆断層や横ずれ断層が生じやすいのです。
<すれ違い境界>
すれ違い境界では、プレート同士が横ずれしており、摩擦で歪みが溜まりやすいといえます。トランスフォーム断層とも呼ばれ、地上で見られる例として、北米西海岸のサンアンドレアス断層が有名です。つまり、プレート境界では、力(ストレス)がかかって歪みが溜まりやすいために地震などの現象が起こりやすいわけです。
このように、地殻変動をプレート運動によって統一的に説明しようとする理論をプレートテクトニクスといい、いまや地球科学の根幹をなしているといっても過言ではありません。
 
■プレートテクトニクスの誕生と発展
プレートテクトニクスの理論が生まれるきっかけとなったのは、1912年にアルフレッドーウェゲナー(1880−1930)が提唱した大陸移動説です。彼は、大西洋をはさんだ南北アメリカ両大陸とヨーロッパーアフリカ両大陸の海岸線の形が似ていることに気づき、かつて大陸は1つだったと考えました。そして、その大陸をパングアと呼びました。
しかし、海岸線の形が似ているという根拠だけで、大陸が移動したなどという主張が信じてもらえるはずもなかったのです。そこで、ほかの根拠として挙げたのは、先人たちが露頭観察を積み重ねてまとめていた地質構造や岩石・化石の分布でした。これでまるでホールケーキを切って離したかのように、大西洋を隔てた両岸の地質構造までもがぴたりと合うということを示しました。
たとえば、化石の分布です。古生代ペルム紀のメソサウルスや裸子植物グロッソプテリス、中生代三畳紀前期の原始的な単弓類(哺乳類の祖先にあたる四肢動物のグループ)キノグナトゥスやリストロサウルスの分布域は、見事につながります(前図参照)。つまり、中生代のはじめまでは、これらの大陸は陸続きであり、次第に分離・移動して、現在の大陸の分布になったと考えられるわけです。
しかし、ウェゲナーは、大陸移動の原動力を示すことができず、大陸移動説は忘れかけられていました。その後、第二次世界大戦から冷戦にかけての時代に、潜水艦の安全航行等の軍事上の目的から、海底地形が盛んに調べられました。おかげで、いわば海底山脈である海嶺や海底のくぼみである海溝といった海底の姿がわかってきました。
それとともに、海底堆積物や岩石について古地磁気の研究が進みました。海底の古地磁気の方向を色分けするとしま模様になり、中央海嶺の両側で対称であることがわかったのです。中央海嶺で新しくできた海洋底が、両側へ拡大した証拠となりました。これが海洋底拡大説です。
いまでは、移動しているのは地下約100kmまで続く「プレート」だと考えられています。プレートが移動するので、上にある海も島も大陸も一緒に移動するのです。「プレートテクトニクス」は、大陸移動説と海洋底拡大説を総括したものといえます。地震と火山活動などの成因をうまく説明できることから、1960年代終わりから広まり、日本では1980年代になってから広く受け入れられるようになりました。
 
■古地磁気による年代測定
<岩石は磁石の化石>
「地球は大きな磁石である」コンパスが北を指す理由として、この答えを導いたのは、イギリスのウィリアム・ギルバート(1544年-1603年)でした。地球の磁場(地磁気)は、様々な時間スケールで変化しており、その中でも最も劇的な変化は地磁気のN極とS極が入れ替わる地磁気の逆転と呼ばれる現象です。この地磁気の逆転はそれほど珍しい現象ではなく、過去1000万年を考えると、100万年に平均4〜5回の割合で起きています。しかし逆転のパターンは不規則であり、地磁気の成因と併せて研究が進められています。
ところでなぜ過去に地磁気の逆転が起きたということがわかるのでしょうか?それは岩石が磁石の化石(残留磁化)となって、当時の地磁気の方向を記録しているからです。磁石の化石ときくとなにか特別な岩石を思い浮かべるかもしれませんが、実際にはあらゆる岩石・道端に落ちている石ですら磁石の化石となっています。一般的に岩石は形成した時の外部磁場の方向に磁石となります。従って、仮に別の方法で岩石の年代がわかれば、その当時の地磁気の状態を復元することが可能になります。
例えば、岩石かできたときの磁極の方向を調べていくと、東北日本と西南日本の岩石が示す磁極の方向か異なる時代があります。その方向が一致するようにすると、当時の各地の位置関係が明らかとなります。こういったことを丹念に調べた結果、日本海の拡大や日本列島の折れ曲がりか明らかとなりました(前図)。
いまからおよそ1900〜1500万年前に日本海が拡大したことが明らかにされています。それまでは、日本列島は大陸の端に位置しており、東北日本弧西南日本弧はほぼ直線状の一続きの陸弧(大陸の端に連なる火山列)であったと考えられています。およそ1900〜1500万年前に日本海の拡大にともなって、西南日本弧は時計回りに大きく回転しましたが、東北日本弧は反対に反時計回りに回転しつつ、南に移動してきたと考えられています。
 
<古地磁気極移動曲線(APWP)>
また地磁気の状態を年代ごとに推定し、まとめたものに古地磁気極移動曲線(APWP)と呼ばれるものがあります。このAPWPは,各大陸・地域で異なり、その結果、大陸移動などの議論が可能となります。年代測定ではAPWPを時計の文字盤として、年代未知の試料から得た残留磁化の方向を時計の針と考え、年代を推定します。
このAPWPを用いた年代推定法は放射年代測定法の適応が困難な試料にも使用することができます。例えばオーストラリア、クイーンズランド州の北西に位置する世界規模のCentury亜鉛-鉛鉱床は、現在まで確度の高い年代値は報告されておらず、鉱床の形成メカニズムは議論が続いています。鉱床の残留磁化の方向と安定性を検討した結果、鉱床形成時の安定な磁化を獲得していることがわかり、その方向から、約15億5800万年前という年代を求めることができました(次図)。
■富士山を押し上げた日本列島付近のプレート
日本周辺は、どのようなプレートから成り立っているのでしょうか。
研究の初期のころは、ユーラシアプレートとされ、ヨーロッパから日本までずっと続いており、ソ連や中国を含んで大西洋側まで広がっているとされていました。ただ最近、東日本は北米プレートの一部であるとされています。「オホーツクプレート」という考え方も提案されています。
前図で見ると、プレート境界は日本海溝から枝分かれして、相模トラフとなっています。これは、相模湾に入ってくる海底の溝状になった部分のことを指しています。「卜ラフ」というのは、細長い海底のへこみで、「舟状海盆」ともいいます。相模トラフは、伊豆半島の北のある地点で、日本列島に上陸します。そのあと、相模トラフの延長した先端は富士山をぐるりと回り込んで駿河湾に出て、駿河湾から南海トラフに続き、そのまま南西諸島の琉球海溝に抜けていきます。
伊豆・小笠原諸島(このあたりの海底には、伊豆・小笠原海溝があります)から西側は、もともとフィリピン海と呼ばれている海ですが、ここはフィリピン海プレートとして区別されています。このように見ていくと、関東周辺では東側沖には太平洋プレートがあって、東日本の下に潜り込んでいます。相模湾付近では、フィリピン海プレートと北米プレートの境界があります。
フィリピン海プレートの噴き出し口は、ずっと南方のマリアナトラフに1つありますが、北部の伊豆海嶺にはありません。そのため、フィリピン海プレートの北部は、太平洋プレートに押されて北米プレートにぶつかっている、ということになります。
富士山は、ユーラシアプレート、フィリピン海プレート、北米プレートという3つのプレートの会合点(3重会合点=トリプルージャンクション−ただし、日本海溝の3重会合点は前図のとおりですが、富士山付近の場所は特定されていない)に近く、しかもフィリピン海プレートは常に太平洋側から太平洋プレートによる圧力を受け続けています。このようなプレートどうしによる押し合いへし合いのため、富士山が日本一高い山になったといっても過言ではないのです。
 
■プレートが動くスピード
プレートはどのくらいの速さで動いているのでしょうか。
中央海嶺でプレートがつくられて移動しているなら、中央海嶺から離れるほど海洋底の年代は古くなるはずです。このことを確かめるために、南大西洋の海底10地点でボーリングが行なわれ、海洋底に積もっていた堆積物中の微化石(浮遊性有孔虫)によって、各地点の海洋底ができた年代が調べられました。
その結果、中央海嶺の軸から200kmの地点が約1000万年前で、同じく中央海嶺の軸から80kmの地点が約4000万年前であることがわかりました。つまり、約600km離れた地点間の年代差は約3000万年あり、毎年約2cmで移動してきたと証明されたのです。
今日では、地球上の2点間距離を正確に測定できるようになっているので、毎年どのくらい距離が変化しているか調べることができます。現在、ハワイは日本に向かって年6.5cmほどの速さで近づいてきていることがわかっています。
このスピードのままなら、1億年で6500kmとなり、日本に到達してしまう計算です。ちょうど爪が伸びるくらいの速さですら、じっと見ていても伸びているようには感じられませんが、気がつくと伸びていたということになります。
プレート運動が引き起こす現象は、人間にとっては非常にゆっくりとしたものです。しかし、百万億年単位という途方もなく長い時間をかけて、途方もなく大きな現象を引き起こします。空間的にも、時間的にもスケールが大きいのです。
 
次回は「地震と火山」ついて調べる予定ですのでご期待ください。
<参考・引用資料>
「本当にわかる地球科学」 鎌田浩毅 監修・著、西本昌司 著 日本実業出版社
「なぜ起こる巨大地震のメカニズム」 木村政昭 監修 編集工房SUPERNOVA 編著 技術評論社
「産業技術総合研究所・地質調査総合センター」 ホームページ
「富山大学理学部」 ホームページ
フリー百科事典「ウィキペディア」
2016年6月号へ NeoMag通信バックナンバー目次へ  2016年8月号へ 
製品カタログ
製品安全データシート
ネオジム磁石製品情報
サマコバ磁石製品情報
フェライト磁石製品情報
減磁曲線集
お問い合わせ メールアドレス