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地球の科学と自然災害(4)<火山−その2>
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前号では火山噴火とはどのような自然現象なのか、また、火山ができる要因は何なのか、火山ができる場所は地球科学上どのような環境にあるのか、さらに現在の日本列島近傍の火山群などについて勉強しました。今月は火山噴火における様々な現象やその理由、噴火による噴出物の種類やそれによる災害と自然環境に与える影響などについて調べてみました。
[火山-4]火山噴出物
火山噴出物(Volcanic product)とは、火山活動の際に、地表に噴出した物質全ての総称です。マントルや地殻下部で形成されたマグマの上昇から始まって噴火に至るまでの現象(火山活動)で、マグマやその通り道となった地層に由来する様々な物質の大半は、溶岩や火山砕屑物の形で噴火時に放出されます。しかし、火山噴出物の地表への放出は、必ずしも噴火することを必要としません。火山ガスや温泉など噴火を伴わない噴出物などはこれにあたります。
火山噴出物を解析することにより、噴火の予知も可能です。例えば、火山ガスの噴出状態の変化や温泉の水温変化は、噴火と関連性があり、その観測データが実際に噴火予知に生かされています。
<火山噴出物の分類>
火山から噴出する物質には以下のものがあります。
◇気体状態で噴出するもの
 *火山ガス
 *火砕流
◇液体状態で噴出するもの
 *溶岩
 *熱水泉/温泉(火山性のものに限る)
◇固体状態で噴出するもの
 *火山砕屑物(「火砕物」と略されることが多い。火山灰、火山礫、火山岩塊など)
■火山ガス
火山ガス(Volcanic gas)は、火山の火口や噴気口から出る成分(火山噴出物)のうち、気体のものをいいます。火山ガスを多く含むガスを火山性ガスと言うこともあります。
主成分は水蒸気、二酸化炭素でほかに二酸化硫黄(亜硫酸ガス)も含まれる。通常は少量の水素ガス、一酸化炭素、硫化水素、塩化水素が含まれます。火山によってはフッ化水素や四フッ化ケイ素、メタンガス、アンモニア、硫化カルボニル、ヘリウム、ラドン、水銀蒸気などが含まれることもあります。毒性をもつ成分や酸欠により、動植物の生命に大きな危害を及ぼすことがあります。また、熱により周辺の生態に大きな影響があることもしばしばです。吸った動物や人間が、その場で死亡することも珍しくありません。また、中毒に気づかず、手遅れとなり死亡することも時々あります。
噴火はしなくても、恒常的あるいは間歇的に火山ガスのみを噴出する火山も多く、温度は数百℃以上であることが多いようです。空気よりも密度が高いのでくぼ地にたまりやすい傾向があります。
<日本国内における火山ガスの災害>
◇1986年 - 1997年: 阿蘇山・中岳第一火口(熊本県)にて、観光客が7名(発生件数6件)死亡。
◇1997年7月12日: 青森県の八甲田山山麓にて、凹地に滞留していたガスにまかれ、訓練中の自衛隊員3名が死亡。
◇1997年9月15日: 福島県の安達太良山の火口付近にて、登山客4名が死亡。安達太良山火山ガス遭難事故を参照。
◇2000年8月10日 - : 三宅島・雄山(東京都)にて、火山活動により大量の火山ガスが放出、全島民が避難した(2005年2月より、順次帰島が開始される)。なお、現在も火山ガスの放出が続いており、山頂周辺が立ち入り禁止区域となっている。
◇2005年12月29日: 秋田県泥湯温泉近郊の駐車場で、雪でできた窪地に滞留した火山ガスにまかれ観光に来ていた一家4名が死亡。
◇2010年6月20日: 八甲田山近くにある酸ヶ湯温泉で、タケノコ採りに来ていた女子中学生がガスにまかれ死亡。1997年に自衛隊員が死亡した場所は、南西に約7km離れた地点にある。
■火砕流
火砕流(Pyroclastic flow、火山砕屑流)とは、火山現象で生じる土砂移動現象のひとつで、特に火山活動に直接由来する「火山砕屑物の流れ」で、気体と固体粒子からなる空気よりもやや重い密度流です。「熱雲」、「軽石流」、「岩屑なだれ」を含めて「高温のマグマの細かい破片が気体と混合して流れ下る現象」の総称をいいます。
多くの場合、マグマ由来の本質物を含む数百度以上の高温のものを指します。ただし水蒸気爆発で発生するような本質物を含まない火災を誘発するほど高温でない密度流も火砕流と呼ばれることがあります。最近では、温度や本質物の有無を定義から取り払い、火砕流と火砕サージなどを重力流の一種とみなして、火砕物密度流(Pyroclastic density current)とすることも多いようです。
 
マグマ噴火に伴う火砕流は、高温の火山ガスと混合一体化しているため地面との摩擦が少なく、流れ下るスピードは100km/時を超えることもあり、一気に遠くまで流れ下ります。またガス成分が多い場合は比重が小さいため海面上を滑走することもあります。
<日本国内における主な火砕流の災害>
◇火砕流が九州の半分を覆った9万年前の阿蘇4噴火や、九州南部のシラス台地を形成した2.9万年前の姶良カルデラの噴火(入戸火砕流)は、噴出物の量でミノアを一桁上回る大きな噴火でした。7,000年前の鹿児島沖で発生した鬼界カルデラの噴火では、火砕流が海上を渡って本土まで到達しました。
◇北海道駒ヶ岳は1640年、浅間山は1783年、有珠山は1822年に大きな火砕流災害を起こしました。
◇1990年〜1995年の長崎県・雲仙岳の 噴火。1991年5月に粘性の高いデイサイト質の溶岩が普賢岳地獄跡火口から噴出して溶岩ドームを形成、500℃以上の溶岩が主に普賢岳東側の水無川流域 に崩落することにより、谷沿いに火砕流が頻発しました。火砕流とそれに伴う熱風(火砕サージ)により森林、家屋、農耕地などが広範囲にわたって破壊・焼失し、 死者・行方不明者は計44名におよびました。この死者の多くは6月3日の 火砕流によって発生した火砕サージに飲み込まれたもので、「定点」と呼ばれた山と火砕流を正面から望める地点に集結していた報道関係者および地元の消防団員が主でした。この噴火が日本で火砕流の知名度が向上するきっかけとなりました。地質学上の調査で推定される現象でしかなかった火砕流が、鮮明な映像として世界中に公開されました。
◇2000年から続く三宅島の噴火。2000年8月29日に、火砕流状の噴煙が海岸線まで流下しているのが確認されました。その後の調査で低温の火砕流である事が確認され、更なる火砕流の発生が懸念された事で全島避難が行われました。
◇他にも火砕流による堆積物(火砕流堆積物)は世界各地で発見されています。日本でも浅間山、十勝岳のほか北海道駒ヶ岳、新潟焼山など活発な火山の周囲で小規模なもの、阿蘇山のほか十和田カルデラ、支笏カルデラなどカルデラの周囲で数十kmも流れた大規模なものが確認されています。最近では2014年の口永良部島噴火、木曽御嶽山噴火があります。
<海外における火砕流による歴史上の大きな災害>
◇エーゲ海サントリーニ島のミノア噴火。紀元前1400〜1600年頃、ミノア文化の中心地クレタ島から少し離れたサントリーニ島が大爆発しました。古代都市アクロティリ遺跡などの発掘調査によれば、まず大量の軽石が降下し(厚さ50cm)次に大規模な火砕流 が発生して約50mの厚さに堆積し、その後島のほとんどが陥没しカルデラを形成しました。この災害の言い伝えが、高度な文明を持った島国が地震と大洪水により 一昼夜で海に没した『アトランティス伝説』になったのではないかと言われています。
◇紀元後79年8月24日に発生したヴェスヴィオ火山による古代ローマの都市ポンペイの埋没は、小プリニウスが書いた文献や後年の発掘調査から、高温の火砕サージとそれに続く火砕流によるとみられています。ポンペイとその周辺は9時間に及ぶ噴火により約6mの火砕 流堆積物(軽石および火山灰)に覆われ、市民約2000人が死亡したと考えられています。
◇1902年5月8日に西インド諸島のフランス領マルティニーク島のプレー火山が爆発、発生した火砕流はわずか2分あまりで麓のサンピエール市を全滅させました(死者32,000人)。この時サンピエール市内で助かったのは翌日に刑執行を控え地下牢につながれていた死刑囚と地下倉庫に隠れていた靴屋、洞窟で遊んでいた少女の3人だけだったといわれています。
◇1982年3月29日から4月4日にかけてメキシコのエルチチョン山が大噴火。火砕流が火口の周囲8キロの範囲まで流下しました(死者2,000人〜17,000人以上)。
◇1985年11月13日に南米コロンビアのネバド・デル・ルイス火山で発生した火砕流(死者21,500人)は、高温の火山噴出物が大量の積雪を融解させ、火砕流起源の土石流(ラハール)とされています。→1926年5月24日の十勝岳噴火による富良野・美瑛の泥流被害も同様の経緯でした。
*なお、ミノア噴火が大規模火砕流、ポンペイを襲ったのが中規模火砕流、プレー火山の例は小規模火砕流に分類されます。
■溶岩
溶岩(Lava)は、火山噴火時に火口から吹き出たマグマを起源とする物質のうち、流体として流れ出た溶融物質と、それが固まってできた岩石です。
一般に噴出前のマグマは水を主成分とする揮発成分を大量に含んでいるため、減圧作用により発泡することが多のです。この揮発成分は常時少しずつマグマから分離し火山ガスとして放出されていますが、噴火の際には一気に大量のガスが抜け出て噴火時の爆発や高く上る噴煙を形成します。火口から流出する溶岩流にも揮発成分が含まれていて、地上に出た際の圧力低下によって徐々にガスが分離するため多数の気孔や気泡を含んでいることが一般的です。しかし、マグマの噴出が高水圧のかかる深海底で起きる場合や、溶岩湖を形成したりした場合にはこの限りではありません。
溶岩の粘性は、その温度や成分によって著しく異なります。温度が高いほど粘性が小さく、冷えると固化します。また成分的にはマグマ中のケイ酸成分(二酸化ケイ素)の量が多いほど粘性は大きくなります。日本を含む太平洋周辺の火山の溶岩は二酸化ケイ素成分の少ないものから順に、玄武岩→安山岩→デイサイト→流紋岩 で、後になるほど粘性が高くなります。
ハワイの火山のような玄武岩質溶岩は粘性が低く流動性が高いので、溶岩流が火口から10km以上流れることもあります。昭和新山は粘性が大きく流動性に乏しいデイサイト質溶岩であり、地上に出た溶岩は流出することなくその場に盛り上がって溶岩ドームを形成しました。ごつごつした外観の溶岩ドームを形成した雲仙普賢岳の噴火も、デイサイト質溶岩です。
■溶岩流
溶岩流(Lava flow)とは、火山の噴火に伴って、地下のマグマが液状の溶岩として地表に出現し、低地へ流出する状況、およびその結果、地表に残された特徴的な地形などをいいます。なお、マグマが水中に出現した場合は、急冷されて枕状溶岩ハイアロクラスタイトとなります。
<実際の溶岩流の例>
 ◇焼山の賽の河原
 ◇浅間山の鬼押し出し溶岩
 ◇桜島の大正溶岩、昭和溶岩
 ◇岩手山の焼走り熔岩流
 ◇伊豆大島の1986年噴火
 ◇ハワイ島・キラウエア火山の溶岩流
 ◇アイスランドのヘイマエイ島、スルツェイ島 - アイスランドは日本よりも活発な火山地帯で、今まで何もなかった場所で突然噴火が起こっています。このヘイマエイ島での溶岩流の場合、ポンプ車で海水をかけて溶岩を冷やして固めることに成功し、被害を限定的にとどめる ことに成功しました
 ◇イタリア・エトナ火山の溶岩流 - 歴史的に何度も大きな溶岩流が記録されています。
■熱水泉/温泉
熱水泉(Hot Spring)は、泉のうち、特に高温の熱水が湧出する泉を指す言葉です。熱水泉から出る水は基本的に地球内部の地熱によって加熱されます。一般に、地中の岩石の温度は深度とともに上昇し、深度に伴った温度上昇率は地温勾配といいます。水が地殻の充分深いところまで浸透すれば熱い岩と接触して加熱されますが、火山地帯以外の熱水泉の水はこのようにして熱されています。例えばイエローストーン国立公園のような火山帯では水はマグマと触れて加熱されます。マグマ付近の温度勾配が高いところでは、水は沸騰するか過熱となるほどに熱されることがあります。水がかなりの高温で蒸気圧が高まり地面から高く噴出すれば間欠泉と呼ばれ、蒸気として地表に到達するだけならば噴気孔と呼ばれます。そして泥や粘土が混じっていれば泥水泉(Mudpot マッドポット)と呼ばれます。ここで注意すべきことは火山帯の熱水泉の温度が多くの場合沸点かそれに近いということです。
誤って、もしくは故意に熱水泉に入り、深刻な火傷を負ったり死に至る場合もあります。熱水泉と冷たい湧水が混ざった結果、温泉となることがありますが地熱地帯から外れている場合もあります。例としてジョージア州のウォームスプリングスが挙げられます。
■火山砕屑物
火山砕屑物(かざんさいせつぶつ: Pyroclastic material)とは、火山から噴出された固形物のうち、溶岩以外のものの総称です。火砕物(かさいぶつ)、とも呼ばれています。溶岩を含めないという点で、火山噴出物とは異なります。火山砕屑物が固まった岩石を火山砕屑岩といいます。火砕流以外にもこの火山砕屑岩で大きな災害になることがあります。最近では2014年9月27日の御嶽山噴火により58名もの犠牲者が出ましたが、多くは火山砕屑岩(噴石)によるものといわれています。
火山砕屑物大別して2種類のものがあります。
◇融けていたマグマの破片であったり古い岩石の破片であったりするもの。
 *火山岩塊(Volcanic block) - 粒径64mm以上で、溶岩のように連続していないもの。
 *火山礫(Lapilli) - 粒径64〜2mm。
 *火山灰(Volcanic ash) - 粒径2mm以下。
◇融けていたマグマがちぎれたり粉砕されたりしてばらばらになったもの。
 *軽石(Pumice) - 淡色。
 *スコリア(Scoria) - 暗色。
 *火山弾(Volcanic bomb)
以上、今月は噴火による火山噴出物の種類や災害について、過去の事例などをもとに調べてきました。次回は大都市近郊で火山噴火が起きたらどのような災害が起きるか、特に富士山の噴火が起きた場合のシミュレーションを中心に勉強してみたいと思います。
<参考・引用資料>
「本当にわかる地球科学」 鎌田浩毅 監修・著、西本昌司 著 日本実業出版社
「なぜ起こる巨大地震のメカニズム」 木村政昭 監修 編集工房SUPERNOVA 編著 技術評論社
「パーフェクト図解・地震と火山」 鎌田浩毅 監修 学研
「産業技術総合研究所・地質調査総合センター」 ホームページ
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