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地球の科学と自然災害(6)<台風−その1>
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本シリーズの過去5回については、地震、火山についてお話をしてきました。今月からは数回にわたり「台風」、「竜巻」などの“風”に関する大規模な自然現象について、地球科学から見たその発生メカニズムや観測・予測技術、および過去の災害事例、今後の防災の取り組みなどについて勉強して行きたいと思います。
[台風-1] 台風とは (気象庁)
台風とは、熱帯の海の上で生まれた低気圧です。その熱帯低気圧のうち、最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s以上のものを「台風」と呼びます。また、国際的な取り決めによって、日本の台風とは異なり、最大風速(1分間平均)が33m/s以上のものを「タイフーン」と呼びます。
台風の仲間である大型の熱帯低気圧は世界の色々なところで生まれています。 これらはどこに存在するかによって名前が変わり、強い(最大風速33m/s以上)勢力をもった台風が東経180度より東に進んだ場合は「ハリケーン」と呼ばれます。
また、最大風速が17m/s〜25m/s未満のものは、トロピカル・ストーム、25m/s〜33m/s未満のものは、シビア・トロピカル・ストームと呼びます。
[台風-2] 台風の番号と名前 (気象庁)
日本では、気象庁が、毎年1月1日以降、台風が発生した順に台風番号を付けていて、最も早く発生した台風を第1号としています。その年をいう必要がある場合には、平成○年台風第○号などといいます。なお、一度発生した台風の勢力が衰えて「熱帯低気圧」になった後で、再び発達して台風になった場合は、同じ番号を付けます。
■名前のついた台風
特に災害の大きかったものについては上陸地点などの名前を付けて呼ぶこともあります。(伊勢湾台風など)戦後、気象庁によって命名された台風は以下の8つです。
台風は2000年からアジア名が使用されています。これは、米国とアジア各国で構成された台風委員会が定めたもので、国外では広く使用されています。平成12年の台風第1号にカンボジアで「象」を意味する「ダムレイ」の名前が付けられ、以後発生順にあらかじめ用意された140個の名前を順番に用いて、140番目の「サオラー」まで使用されると最初の「ダムレイ」に戻ります。なお、ハリケーンが東経180度線を越えて台風になった場合は、ハリケーンの名前をそのまま継続して使用します。
台風のアジア名
[台風-3]台風の発生メカニズム (図解-台風の科学、気象庁)
台風はそのほとんどが、積乱雲が次々と発生する赤道近くの熱帯の海洋上で発生します。積乱雲とは、強い上昇気流で発達する背の高い雲で、日本では夏季によく見られます。最初はまとまりのなかった積乱雲群が、クラウドクラスターと呼ばれる数十〜数百キロメートルの広がりを持った積乱雲の集合体となり、やがて風が渦を巻くようになって台風へと成長します。
発生した台風は、暖かい海面からの水蒸気をエネルギー源として、渦巻き状の大気の流れを強化します。台風の発達期から最盛期にかけては、台風の中心部に“眼”が出現し、その眼を取り囲むように“アイウォール(眼の壁雲)”と呼ばれる、強い上昇気流をともなう背の高い降水雲が形成されます。さらにその外側には、“スパイラルレインバンド”と呼ばれるらせん状の降雨帯が複数形成されます。
[台風-4] 台風と温帯低気圧の違い (図解-台風の科学、気象庁)
両者の最も本質的な違いは発生のメカニズムで、エネルギーの源にあります。温帯低気圧は、低緯度と高緯度との間に生じる気温の差(温度傾度)をエネルギー源とする大気現象です。これに対して台風は、大気中に存在する水蒸気が保有する“潜熱”をエネルギー源とする大気現象です。潜熱とは、物質の相(気体、液体、固体)が変化するときに放出されたり、吸収されたりする熱のことです。台風に関しては、気体の水蒸気が凝結して液体の水になるときに放出される熱が重要となります。
エネルギー源のほかにも、温帯低気圧が冷気と暖気の境である前線をともなうのに対し、台風には前線がなく、雲や風速、降雨の分布は台風中心に対してほぼ対称で、等圧線の形もほぼ円形であるという特徴を持っています。また、温帯低気圧は高さ方向に大きく傾いた構造となっているのに対して、台風はほぼ直立しています。さらに、温帯低気圧は風速が最大となる領域(最大強風域)が対流圏界面近くにあるのに対して、台風の最大強風域は海面近くにあります。
[台風-5] 台風の発生数
次図は北西太平洋における台風の発生数と日本列島に近づいた、あるいは上陸した台風の数です。この統計資料によると、1951年から2016年までの平均をとると年問で26個の台風が発生していることがわかります。年ごとに見るとばらつきは大きく、例えば1967年のように39個の台風が発生する年もあれば、2010年のように14個しか発生しない年もあります。
この中で本年、2016年の台風は発生、接近数の割に上陸数が多くなっていて、上陸数は2004年を除くと過去最多タイとなっています。また、2016年は東北、北海道に上陸し、大きな災害をもたらしている点が特徴的で、近年、日本の東側での高気圧停滞、あるいは海面水温上昇が影響しているともいわれています。しかしながら、統計全体を見ると、発生数や日本列島に直接影響した台風の数が近年になるにつれ増加しているとは必ずしも言えません。
なお、月ごとに見ると8月が最も多く平均で5.6個発生し、逆に2月が最も少なく0.2個しか発生していません。7月から10月の発生数が全体のほぼ70%を占めています。
[台風-6] 台風強度の上昇
[台風-7] 台風の一生 (図解-台風の科学)
次図は、気象衛星ひまわりによる衛星画像(可視画像)で見た台風の一生です。
発生期は、台風の中心は不明瞭ですが、台風の特徴である渦巻き状の雲の構造はすでに見られます。渦巻きの中心部は低気圧となっています。台風の発生は、「熱帯低気圧が徐々に勢力を増し、最大風速が17.2メートル(34ノット)以上になった時点」と定義されています。したがってこの時点ですでに最大風速が17.2メートル以上の風が吹いていることになります。
発達期は、暖かい海面からの水蒸気を子不ルギー源として渦巻き状の大気の流れを強化します。結果として、最大風速の強化、台風中心気圧の低下、さらに強風域の拡大が見られます。また台風の特徴である眼も次第に明瞭になります。
最盛期は、中心気圧が最も下がり、最大風速が最も強い期間です。最盛期には眼も明瞭になり、眼を取り囲むように形成されるアイウォールも顕在化します。
衰弱期は、熱帯域よりも冷たい海面水温や陸地の影響を受けて台風の勢力が弱まります。また衰弱期は、偏西風など中緯度帯の大気の流れの影響を受けて、次第に台風の構造が維持できなくなります。眼も不鮮明となり、台風の中心を特定するのが困難な状況になることもしばしばあります。ただし衰弱期とはいえ、台風は大量の水蒸気や雨雲を保有しており、風についても強風、局地的には突風が吹く恐れがあり、防災上気を抜くことはできません。
 
今月は以上ですが、次回は台風の進路がどのような地球科学的なメカニズムで変化してゆくのか、なぜ台風が反時計回りに渦を巻くのかなど、皆さんが日頃疑問に思っている現象について詳細に調べてみる予定です。
<参考・引用資料>
「気象庁」ホームページ
「図解-台風の科学」 上野 充、山口宗彦 著 講談社(BLUE BACKS)
「気象学の新潮流 台風の正体」 筆保弘徳、伊藤耕介、山口宗彦 著 朝倉書店
「社会実績データ図録」ホームページ
「ウィキペディア」フリー百科事典
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