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地球の科学と自然災害(7)<台風−その2>
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先月の“台風−その1”では、台風の定義、発生メカニズム、台風の発生数、台風の発達から衰弱までの一生などについて勉強しました。今月は台風の進路や渦の状態を決定する地球科学的なメカニズムについて調べてみました。
例えば“台風の進路は何によって決まるのか?・・・”、“台風がなぜ反時計回りに渦を巻くのか?・・・”という疑問を多くの読者の皆さんが持たれていることと思います。普段はなかなか具体的に調べることはないこのような疑問を今回は解決してみることとしました。
[台風-8] 台風のコース
台風は熱帯の海上で1年中発生しています。冬から春先にかけては低緯度地方で発生し、西に進んでフィリピン方面に向かいますが、夏になると発生する緯度が高くなります。
台風は、太平洋高気圧の周りを吹く上空の風(主に貿易風、偏西風)に流されて進みます。7〜8月は、高気圧が日本列島を覆うので、台風は列島を大回りして朝鮮半島や大陸に向かうことが多くなります。8月は、台風の発生数は年間で一番多い月ですが、台風を流す上空の風が弱いので、台風は複雑な進路をとりがちです。停滞したりすることもよくあります。
9月になると、太平洋高気圧は東に後退するので、台風は南海上から放物線を描くように日本付近を通ることが多くなります。このとき、日本付近に停滞している秋雨前線の活動を活発にして大雨を降らせることがあります。過去に日本に大きな災害をもたらした室戸台風(1934年)、伊勢湾台風(1959年)などの多くの台風は、おおむねこの経路をとって日本に来襲しました。
10月以降は、太平洋高気圧はさらに弱まって東海上に後退するので、日本列島から遠ざかって北東に進むことが多くなります。
[台風-9] 台風のコースを決定する要因(台風雑学-Web、山賀進のWeb site、ほか)
前項で見ました台風の種々のコースはどのような地球科学的な要因で決定されるのでしょうか?実はその要因・要素は数多く存在し、且つ複雑に影響し合っています。以下その主な要因について考えてみることにしましょう。
(1)赤道から北極への対流
地球のエネルギー収支をみると、赤道付近で熱の供給過剰、極地方で放出過剰となっています。そこで、熱が余っている赤道付近から、熱が足りない極地方へと熱が移動します。それを担う一つが大気ということになります。もし地球が自転していないとすれば、それは単純に赤道で上昇して極で下降する大気の対流となります。地上では極地方から赤道に向かって吹く風、すなわち北半球では北風、南半球では南風となります。しかしながら、地球の自転による力により単純な対流にはなりません。但し、このうち北半球の赤道付近上空での北向きの流れが、最初に台風を動かす基本の流れとなります。
(2)貿易風と偏西風
“貿易風”は、赤道付近北側の上空を「東から西へ」流れる風。“偏西風”は、太平洋の上空を「西から東に」流れる風。このふたつの強い風が、海水の動きや台風の進路に大きな影響を与えています。
偏西風は、暖かい空気と冷たい空気の境目を流れる性質があります。その偏西風が、ときどき南北に蛇行すると高気圧や低気圧が動かなくなります。高気圧や低気圧が動かないということは、同じ天気が続くということです。このため長期間雨が降り続けたり、晴れて高温の日が続いて干ばつが起きます。貿易風は、エルニーニョ現象やラニャーニャ現象を起こす原因になっています。
■初め南の方で:
台風は赤道の北側(赤道上ではない)で発生します。赤道の北側では中緯度高圧帯から低緯度の赤道付近に吹き込む風があり、この風は後でお話をするコリオリの力により吹き出しからみて右側に曲げられている北東の貿易風となっています。このため、台風自身が北上しようとしますので差し引き「西〜北西」へ向かいます。
■沖縄あたりなどで:
その付近では大陸に近いため貿易風が弱まり(大陸上は、地上摩擦のため貿易風が吹きません。基本の北向きの流れで台風は北行します。
■沖縄より北の中緯度で:
中緯度の上空は、中緯度高圧帯から高緯度低圧帯に吹き込む風があり、この風はやはり後でお話をするコリオリの力により右側に曲げられている南西の偏西風となっています。偏西風(西風)が強いので、それが基本の北行に加わり、台風は北東向きに進みます。対流の北向きの流れは、この偏西風に乗り換えた場所が転向点と呼ばれます。 偏西風(ジェット気流)はこのなぜか日本の上空にあることが多くて日本を狙ったように来ます。ジェット気流は早いので、 北に進路を変えた途端にスピードが上がります。
(3)太平洋高気圧
もう一つ台風の進路に影響を与えるのが太平洋高気圧です。風は回りに全く風がない状態ではかなりゆっくり北上する程度の推進力(移動する力)しか持っていません。よって、台風が移動しているのは、 台風自体に移動する力があるわけではなく、周りを取り囲む風にのって移動しているのです。
台風は南海上で発生しますが、南海上の最も大きな風の流れが太平洋高気圧を取り囲む風なのです。(というより太平洋高気圧が作る風自体と言ってもいいかもしれません。)台風に比べると太平洋高気圧はかなり大きく、したがって小さな台風は大規模な太平洋高気圧がつくる風に流されてしまい、太平洋高気圧の淵を回るように移動します。
以上のように台風のコースは上空で赤道付近から北へ向かう対流やコリオリの力が作用する貿易風、偏西風、ジェット気流、あるいは太平洋高気圧などの要素が複雑に影響し合って決まって行きます。
[台風-10]コリオリの力 (コリオリの力Hi-HO、図解-台風の科学(講談社)、ほか)
コリオリのカは、地球上を動くあらゆる物体に対して働いています。宇宙空間に地球が浮かんでいると考えたとき、宇宙から見れば力が働いていないにもかかわらず、地球上にいる人からは動いているように見える見かけ上の力で、地球の自転によって引き起こされます。この力が貿易風や偏西風の風向きを決め、しいては台風の進路を左右します。また、台風の反時計回りの渦の要因ともなっています。
まずはそれぞれ等速で同じ向きに並んで走っている電車でキャッチボールをした例を考えましょう。電車Aの中央にはAさんが、電車Bの中央にはBさんが乗っていて、この二人にキャッチボールをしてもらいます。
■まず、両電車が同じ速さで並走しているときです。
Aさんが投げたボールは電車内にあったボールなので、電車の進行方向に速さを持ったまま電車Bをめざします。両電車は同じ速さなので並んで走っています。ボールはまっすぐBさんに届きます。
■速さが違う場合はどうでしょう。
Aさんがなげたボールは、電車Bが速いため、ボールはBさんより遅れた位置に届きます。(ボールの進行方向より右にそれる)
■Bさんが投げたボールはどうなるでしょう。
電車Aが遅いため、ボールはAさんより進行方向前の方に届きます。(ボールの進行方向より右にそれる)
電車AよりBが速い場合、ボールはAさんが投げてもBさんが投げても進行方向に対して右にずれて届きます。Aさん、Bさんにとっては、ボールが“右にそれるように力を受けている”ように感じるでしょう。北半球ではこれと同様の現象が起こります。
※電車Aより電車Bが遅い場合は、逆に左へそれる力がはたらくように見えます。(南半球でのコリオリ力がこれになります)
さらに回転系で考えてみましょう。次図はコリオリのカを円板上のボールの動きで解説した図です。今、反時計回りに回転する円板上に皆さんがいるとしましょう。ここで、(1)円板の円周上Aから中心Bに向けてボールを投げたとします。回転する円板の外から見た場合、ボールはまっすぐ進んでいくのがわかります。ところが、円板は回転しているので、点Aは高速度ですから、ボールはBより進んだ右寄りの点Cに到達することになります。
これを回転する円板の上から観察すると、ボールの動きはどのように見えるでしょうか。直線のように投げようとしたつもりが、実際は曲線のように右側に曲がっていくように見えます。一方、円板の中心付近Aから円周上Bにボールを投げると、円周近くになるにつれ速いスピードで動いていますから点Bは速く回転方向に移動してしまい、見かけの到達位置はBより遅れたCになってしまいます。
結果としてどちらも右方向に曲げる力が働くことになります。このようなボールの軌跡を曲げる力をコリオリのカと呼びます。
なお、上図の円板は地球の北半球を北極の上から眺めたことと同じになります。
したがって、(1)図は赤道付近から極方向にボールを投げた場合=緯度の低い場所から緯度の高い場所にボールを投げた場合、(2)図は極方向から赤道方向にボールを投げた場合=緯度の高い場所から緯度の低い場所にボールを投げた場合にあたります。
コリオリカは、地球の自転に起因する力ですが、このように自転の影響が緯度ごとに異なるため、コリオリカの大きさも緯度ごとに変化します。コリオリカは高緯度ほど大きくなり、極で最大となります。一方、赤道上ではコリオリカはゼロとなります。
図では円板を反時計回りに回転させました。これは北半球での地球の自転を考慮したからです。つまり北半球では、コリオリカは移動する向きに対して右側に曲げようとする力として働きます。この力が北半球の貿易風や偏西風の風向を決定しているのです。
南半球で働くコリオリカを調べるためには、円板を時計回りに回転させればOKです。これは、南半球から見ると、地球の自転の方向が北半球とは逆になるからです。結果として南半球では、北半球とは逆にボールを左側に曲げようとするコリオリカが働きます。
[台風-11]台風の風が反時計回りに吹く理由
台風の特徴といえば「渦巻き状の風の流れ」が連想されますが、その説明に欠かせないのがやはりコリオリのカです。台風にともなう風が北半球では反時計回りに、南半球では時計回りに吹いているのは、コリオリのカのなせるわざです。
では、なぜ台風にともなう風が北半球では反時計回りに吹くのでしょうか。空気は気圧の高いところから低いところへ向かおうとする性質があります。したがって、ほかに何も力が働いていなければ、風は低気圧(台風)の中心に向かって吹くことになります。しかし、北半球ではコリオリカが右向きの力として働くので、台風の中心に向かう風の流れは台風の外周の南からでも北からでも右側に曲げられます。つまり、こうして台風中心に向かおうとするあらゆる風の流れが右側に曲げられることで、結果的に全体として反時計回りに回転する風の流れができるのです。
以上、台風の進路を決定する要素、台風の反時計回りの渦巻きの要因の疑問は解けましたでしょうか?これらについては地球科学の進歩によりかなり解明されつつありますが、まだまだ謎の部分も多いようです。次回は最先端の台風予報について勉強してみたいと思います。
<参考・引用資料>
「気象庁」ホームページ
「図解-台風の科学」 上野 充、山口宗彦 著 講談社(BLUE BACKS)
「気象学の新潮流 台風の正体」 筆保弘徳、伊藤耕介、山口宗彦 著 朝倉書店
「台風雑学-Web」、「山賀進のWeb site」、「コリオリの力Hi-HO Web」
「ウィキペディア」フリー百科事典
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