中低速リニア、中国で続々 投資額1兆円規模


[日本経済新聞電子版2017年3月08日配信]

中国で時速100キロメートル前後で走る「中低速リニア鉄道」の建設ラッシュが始まった。インフラ建設大手の中国鉄建や鉄道車両世界最大手の中国中車などが推進し、湖南省で年内にも正式営業を開始する。北京市、広東省などの約10都市で建設計画が進み、総投資額は1兆円規模に達する見込みだ。地下鉄に比べて建設費が安く、騒音も小さい。中国政府は国内でリニア鉄道を新たな都市交通網として普及すると同時に、海外輸出もにらむ。

「すーっと動いてびっくりした」。湖南省長沙市の空港と高速鉄道の駅を結ぶリニア鉄道に乗車した上海市の会社員、謝来昇さんは笑顔を見せた。車輪が地上のレールなどと接触することがないため、速度をあげても振動は小さいままだ。

同リニアは中国鉄建や中国中車のグループ会社などが出資する湖南磁浮交通発展が開発し、2016年5月に試運転を始めた。全長約19キロメートルで投資額は43億元(約710億円)。設計最高速度は時速約100キロメートルだが、実際は70キロメートル程度で運行する。今年中に正式営業に乗り出す見通しだ。

中低速リニアの特徴が騒音の小ささだ。同社幹部は「車内の騒音レベルは小声で話す程度で会話に大声が必要ない。モノレールより騒音が小さく、近隣住民の理解も得られやすい」と胸を張る。

自動車の急増により渋滞問題が深刻化する中国で都市交通の整備は急務だ。都市部では地下鉄建設を進めてきたが、地下を掘る必要があるため建設費は1キロメートルあたり5億~8億元と高額になる。一方、リニアは地上の道路上に建設できるため、1キロメートルあたり2億~3億元で建設できるという。

湖南省長沙で試験運転を始めた時速70キロメートル程度で運行するリニア鉄道

中国が独自技術とする中低速リニアは磁石を使って車両を8ミリ浮かせ、前進する。10センチ浮かせる日本方式と異なり、強力な磁石や液体ヘリウムを使う必要がない。「建設費を地下鉄の半分から最大3分の1まで削減できる。鉄道敷設に必要な面積も小さい」と湖南磁浮交通発展幹部は言う。

こうした利点から、中国全土でリニア建設の計画が急拡大している。中国鉄建はリニア建設を加速するため、16年10月に全額出資の中鉄磁浮交通投資建設を設立。広東省清遠市政府と中低速リニアの建設で合意した。全長30キロメートルで投資規模は約100億元。18年末の開業を見込む。

旧鉄道省系の鉄道インフラ建設大手の中国中鉄は120億元をかけて、北京市郊外に全長20キロメートルのリニア建設を進める。年内の開業見通しだ。

中鉄は新疆ウイグル自治区ウルムチ市や、四川省成都市と徳陽市の間でもリニア建設を構想する。中鉄磁浮交通投資建設は「技術を磨き、安全性の確保とコスト低減を進めて、国内各地で実績を積んでいく」と意気込む。

車両メーカーも増産に向けて動きだした。中低速リニアの車両開発や製造を手掛けるのは、中国中車のグループ会社だ。長沙のリニア向けには中車傘下の湖南省の製造子会社が、北京のリニア向けには傘下の河北省の製造子会社が供給する。中国全土のリニア建設計画の具体化に伴い、車両の生産能力を拡大していく方針だ。

<参考:NeoMag通信2013年10月号>

本記事による中国のリニアモーターカーは以下の参考資料の中の“常電導リニア”の技術範疇と推測されます。

*磁気浮上式リニアモーターカー

磁気浮上式リニアモーターカー(磁気浮上式鉄道)とは、磁力の反発・吸引力により浮上し、リニアモーターで駆動する移動車両の総称です。推進にはリニアモーターが用いられ、高速化が可能です。

実用車両では車両側に超電導電磁石、軌道側に通常の電導磁石を使う“超電導リニア”(リニア中央新幹線)と、車両側、軌道側共に通常の電磁石と一部永久磁石を使う“常電導リニア”(ドイツ・トランスラピッド、上海・トランスラピッドなど)があります。その他、読者の皆様が特に関心があると思われます永久磁石を主体とした“永久磁石式リニア”があります。しかしながら、この永久磁石式リニアは、まだ実験小型車両、アトラクション車両などに限って利用されているだけのようです。

これらの磁気浮上式リニアモーターカーは、浮上にも駆動にも磁気を使うので、原理や設備の面から相性が良いのですが、駆動だけでなく浮上 にも新技術を用いるため、技術的ハードルが高く、また浮上式車両であっても、停車・低速時や緊急時のために車輪を装備していることが多いのが特徴です。

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