グラフェンを使ったフレキシブルな極薄の有機ELディスプレイの開発に成功


[Gigazine2017年4月12日配信]

炭素原子が平面に広がる特殊構造を持つ素材「グラフェン」を使って、極薄の有機ELパネルの製造に韓国の研究チームが成功しました。極薄ディスプレイが実用化すれば、スマートフォンなどの電子機器だけでなく、広告などさまざまな分野への活用が期待されています。

Korea first to use graphene to make OLED panel
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20170411000715

韓国のElectronics and Telecommunications Research Institute(ETRI)とHanwhaの共同研究チームが、グラフェンを活用することでとてつもなく薄い有機ELディスプレイの製造に成功しました。グラフェンは高い熱伝導率を持ち、何よりも原子1個分の厚みしか持たないという分子構造から、ディスプレイの厚みを激薄に変えられる材料として期待されていますが、研究チームが制作した有機ELディスプレイの電極の厚みは5ナノメートル以下だとのこと。ちなみに髪の毛の厚さは細いものでも6万ナノメートル(0.06mm)なので、ETRI・Hanwhaの共同研究チームが作った電極のとてつもない薄さがよく分かります。

研究チームは、従来、有機ELディスプレイ用の電極で使われていたインジウム・スズ酸化物の代わりにグラフェンを使うことに成功。グラフェンを使うことで、劇的な薄さ・軽さと共に粘さももたせることができ、自由に曲げられる柔軟性を確保することに成功したとのこと。すでに、370mm×470mmサイズの有機ELディスプレイパネルの製造に成功しています。

フレキシブルなスマートデバイスの開発に応用できるように、有機EL基板上に特定の形状のグラフェンベースの透明電極をパターニングするプロセスも研究チームは開発済みとのこと。ETRIのチ・ナムソン氏は「グラフェンを有機ELディスプレイ用パネル材料に使うことに世界で初めて成功したことには意味があります」と述べ、安価なディスプレイパネルを製造する中国メーカーとの有機ELディスプレイ市場での競争が激化すると予想される中で、技術的優位性から付加価値の高い有機ELディスプレイの製造が期待できるとの見解を明らかにしています。

韓国のLGが2017年1月に行われたConsumer Electronics Showで曲げられる有機ELディスプレイを展示したように、極限まで薄いディスプレイにはスマートフォンなどのモバイル端末や、壁掛け電子ポスターなどの電子機器での応用が期待されています。

電子機器だけでなく、極限まで薄い有機ELディスプレイは生地に応用することも可能で、TPOに応じて色を変えられる衣服の開発も期待されており、さらには衣服に広告を表示する「歩く広告塔」などへの応用も考案されています。

5ナノメートル未満という極薄の有機ELディスプレイ用電極の開発に成功したETRIとHanwhaは、5年以内に柔軟に曲げられるフレキシブル有機ELディスプレイパネルの製品化を目指しています。

Category: その他, 技術, 有機エレクトロニクス, 開発. Bookmark the permalink.