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磁石・磁気の用語辞典(用語解説)
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【磁気モノポール】

「単一の磁荷のみを持つもののことである。2015年現在に至るまで素粒子としては発見されておらず、現在では、宇宙のインフレーションの名残として生み出されたと仮定されるものの一つである。現在でも磁気単極子の素粒子を観測する試みがスーパーカミオカンデなどで続けられている。もちろん、単極の永久磁石は現在のところ存在しないし、製造することはできない。」

磁石にはN極、S極の二つの磁極が必ず存在し、この組み合わせを磁気双極子という。N極のみ、およびS極のみを持つ磁石、磁気単極子(モノポール)は2015年現在まで観測されていない。例えば両端がそれぞれN極とS極になっている棒磁石があったとして、これを真ん中で二つに折ったとしても、同じく両端がそれぞれN極とS極になっている棒磁石が二つできるだけの事であり、N極とS極のみを単純に取り出す事はできない。電磁石を考えれば、この事は容易に理解できる。電磁石は電流を流したコイルであり、これを二つに分割しても、巻き数が半分になった電磁石が二つ生まれるだけである。永久磁石についても、それを構成する物質の原子が電磁石と同じ働きをしているものであり、原理としては同じである。マクスウェルの方程式により代表される古典電磁気学はこの前提のもとに構成されている。

その一方で、電気については、プラスとマイナスの二つが存在し、これらは単独で取り出す事が可能である。これは電気の根元がプラスの陽子とマイナスの電子に由来しているからである。そして、古典電磁気学は電気と磁気の関係について対称であり、この関係を逆にする事が可能である。普通は、コイルを流れる電気によって磁力を発生する、言い換えれば円周上を周回する電子の運動によって磁界が生じる。これを、磁気単極子が円周上を周回する事によって電界が生じるというモデルに置き換える事ができるのである。つまり、マクスウエルの方程式は磁気単極子の存在を許すように容易に改変できる。さらに1931年にディラックは量子力学でも磁気単極子を考えることが可能であり、しかもそれが可能になるための条件から磁荷の最小単位が定まることを示して磁気単極子が一躍注目を浴びた。