可逆温度変化(
Reversible Temperature Exchange)
可逆減磁(Reversible Flux Loss)
可逆温度係数(
Reversible Temperature Coefficient)
「可逆温度変化(可逆減磁)は温度が上昇して磁力が低下しても、元の温度に戻ると磁力が戻る変化のこと。可逆温度係数は可逆温度変化において温度に対して磁力が低下する割合を示す。通常%/℃で1℃あたりの変化を%で表す。」
着磁済みの磁石は周囲の温度が変化すると、熱エネルギーの関係で磁気特性が変化する。元の温度に戻ると磁気特性も同じ値に戻る変化を、“可逆温度変化“といい、温度が戻っても磁気特性が戻らない変化を”
不可逆温度変化“と呼ぶ。
ネオジム磁石、
フェライト磁石共に温度が上昇すると”可逆温度係数“にしたがって
飽和磁化Js、
残留磁束密度Brは減少する。一方、ネオジム磁石の
Hcj、
Hcbは温度が上昇すると減少し、
フェライト磁石のHcj、Hcbは温度が低下すると減少する。
可逆温度変化(可逆減磁)、不可逆温度変化(
不可逆減磁)については、特にHcjの温度係数に注意する必要がある。
また、磁石形状による
パーミアンス係数も重要なファクターになるので、
減磁曲線と
パーミアンス係数の関係を十分理解した上で、磁石の選定、
磁気回路の設計を行う必要がある。
次図において、磁石形状によるパーミアンス係数上の
動作点が20℃でa点の場合、ネオジム磁石は120℃で、フェライト磁石は-60℃でそれぞれb点に移行する。この場合、b点はまだB-H曲線の直線上にあるから、温度が20℃に戻れば、動作点はa点に戻りBは回復する。このような変化を可逆温度変化(可逆減磁)と呼ぶ。