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地球温暖化と温室効果ガスの検証(6)<二酸化炭素・CO2の働き>

[二酸化炭素・CO2の働き-1]生命を生み育んだCO2

それでは一体CO2はどのような性質をもつ気体なのか? 地球の歴史に対してどのような影響を与えてきたのか? あやふやなコンピュータ予想でしかない未来はさておき、少なくとも18世紀から現在までは、人類と生物圏に大きな恵みを与えてくれました。

なお、温暖化関係のテレビ番組やニュースでは、汚い煙を吐く発電所や工場の煙突とか、白っぽい排ガスを出すクルマの後尾をよく予告ふうに流します。メディアは「CO2=悪」のイメージを伝えたいのでしょうが、CO2は目に見えない気体なのですから、明らかに印象操作です。

ここで、CO2がもつ性質のうち、本項に関連するデータを次表にまとめました。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200801

次図のように、太陽エネルギーを使ってCO2から有機物をつくる光合成生物は35億年ほど前に生まれたといいます。この光合成のしくみは、地球環境を一新する最高のプレゼントでした。その後、あらゆる生物が、CO2のおかげで進化と繁栄をつづけてきました。

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[二酸化炭素・CO2の働き-2]人間は植物に寄生している

ご飯やパンのような穀類のほか、野菜や果物も光合成の直接産物です。豚肉や牛肉は、植物の成分(光合成産物)を食べて育った動物の組織にほかなりません。大魚は小魚や動物プランクトンを食べるが、小魚は(貝類も)海藻や植物プランクトンを食べて育ちますから、水中でもほんとうの生産者は植物しかいません。酒やジュースも植物の成分からつくります。つまり食卓に乗るもののうち、光合成(CO2)と縁がないのはほぼ水と食塩しかありません。

人間を含めた動物は、生存に必要な物質の一部しか自分でつくれないため、植物が自分用につくった物質とか、植物を食べて育った動物の組織から物質を奪って生きています。いわば植物に寄生する存在だといえます。

さらにいえば、そんな人間がつくる高層ビルや街路も、クルマが走る現代社会も、植物のおかげで生まれました。根元をたどればCO2のおかげだといえます。体重の約23%を占め、60キログラムの人なら約14キログラムにのぼる体内の炭素Cも、もとは大気中のCO2でした。

いまの暮らしと産業に欠かせない化石資源(石炭、石油、天然ガス)も、2~3億年前の地球に栄えた植物が、大気中の濃いCO2を光合成活動で固定してくれた直接・間接の産物だとわかります。そんなふうに、あらゆる人間活動は植物に支えられています。

植物の光合成活動は、年に4000億トン以上のCO2を大気から吸います。大気中にある総量(3兆トン超。前表)の七分の一ですから、植物は10~20年で大気中のCO2を総入れ替えしています。

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[二酸化炭素・CO2の働き-3]植物のCO2不足の苦難の時代

過去およそ5.5億年で大気中のCO2濃度がどう変わってきたかを、次図に示しました。推定には、葉の化石に残る気孔の観察がよく使われます。葉の裏側に多い気孔は、光合成原料のCO2を取り込むほか、体の水分が外へ出ていく「蒸散」の経路にもなります。

私たちと同じく植物にも水の確保は死活問題ですから、気孔はできるだけ開きたくありません。大気中のCO2が濃いほど、CO2を取り込みやすくなるので、気孔の数や開口部の面積を減らせます。図のデータは、植物化石の気孔を調べた推定値です。むろん推定値にはかなりの誤差があって、たとえば2億年前の約800ppmは「500~2000ppm」、4億年前の約3000ppmは「1000~6000ppm」の幅をもつと推定されますが、いまの濃度(約400ppm)よりだいぶ高かったのは間違いありません。

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身近な植物たちは、4~5億年前にたまたま上陸した緑藻が、いまよりずっと高いCO2濃度のもとで進化・分化しながら栄えた生物の子孫だといわれています。直近の1億年(前図の右端あたり)に注目すると、その期間ずっと植物は、CO2の減少という「環境悪化」に耐えてきました。

ですから過去200年間に及ぶCO2濃度の上昇は、植物にとって願ってもない恵みだったのです。植物にとっての恵みは、もちろん生態系と人間社会にとっての恵みにもなります。何かいままでに起き、これから起きそうかを考えてみましょう。

[二酸化炭素・CO2の働き-4]CO2の増加と植物の生育

濃いCO2のもとで育てた植物は、塩分の多い土や養分が少ない土にも、高温や日照不足にも強く、低温や酸化ストレスにもよく耐え、昆虫の食害も受けにくいのです。CO2濃度を上げた場合、栽培条件が良好なときより、厳しいときのほうが生育量の増加率が高くなっています。

さらに、CO2濃度を300ppmだけ上げた場合の生育量増加は、温度が高いほど大きい。米国の農業博士アイドソが調べた42例の試験結果によれば、低温の10℃だと効果もあまりみえませんが、38℃では生育量がほぼ2倍になったということです。

地球温暖化が進むと植物の生育地が寒いほう(北半球なら高緯度)に動くというコンピュータ予想はありますが、高温で育ちやすくなるなら、植物が「引っ越す」理由はありません。CO2濃度が上がれば気孔の面積が減るため、高温で起きやすい乾燥化にもよく耐えます。

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このところ農産物の収量は全世界で増えつづけている。国連食糧農業機関が2017年12月に発表した世界の穀物生産量と消費量、備蓄量(2007~2017年)を次図左に示します。

また、インドの穀物生産量は次図右のように変わってきました。1951~2014年の60年余りで、総人口が約3.8億から12.5億へと3.3倍になった一方、穀物生産量は約5倍にも増えています。

増収の要因としては、むろん農耕技術や肥料・農薬の進歩が大きいわけですが。前表の栽培試験結果を見れば、少しずつ上がる気温と、快調に増えるCO2も何割かは好影響を与えているはずです。

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農業に及ぼすCO2の恵みをまとめる形で、米国ミシガン州立大学のウィットワーが1995年の本にこう書いています。

「耕地や水、エネルギー、鉱物、養分といった天然資源の枯渇が心配な現在、大気にじわじわ増えるCO2は、植物を元気にして食糧生産を増やす貴重な天然資源だといえよう。タナボタの恵みだともいってよい。しかもその恵みは、途上国・先進国を問わず享受できる。」

[二酸化炭素・CO2の働き-5]地球の植生

産業革命の開始から現在まで、大気にCO2が増えるおかげで、地球の植生(森林と草地)は重さがほぼ倍増したといいます。ここ数十年、熱帯雨林も加速度的に増えています。

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北京大学の朱再春ほか31名(8か国・24機関)が『ネイチャー・クライメート・チェンジ』誌に発表した。1982~2012年の33年間にわたる観測の結果は次のようでした。

1. 33年間に地球全体で植物の量は10%ほど増えた

2.植生がある場所のうち25~50%で緑が増えた(減った場所は4%だけ)。サハラ砂漠の南部(サヘル地域)やシベリア、アマゾン流域の緑化がとくに激しい。

3.緑が増えた場所の総面積(1800万平方キロメートル)は米国本土の2倍を超す。

4.緑を増やした要因のうち、大気に増えるCO2がほぼ7割と推定される。

これらは、マスメディアや環境保護団体の「地球の緑の危機」騒ぎとは正反対の事実だということです。農産物のみならず地球上の緑に対して、私たちが化石燃料を燃やして大気に出すCO2は、お返しに計り知れない恵みをくれていることになります。

次回は、「二酸化炭素・CO2の働き」の続きとして、“温室効果”、“大気汚染の誤解”などについて、の話となります。

<参考・引用資料>

「地球温暖化狂騒曲・社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正(著)、丸善出版

「二酸化炭素は本当に地球温暖化の原因か?」ブログ 井上雅夫

「地球温暖化 ほぼすべての質問に答えます!」明日香壽川、岩波書店

「不都合な真実 」アル・ゴア(著)、枝廣 淳子(訳)、 実業之日本社文庫

「地球温暖化の不都合な真実」マーク・モラノ(著)、渡邊 正(訳)、日本評論社

「地球温暖化・CO2犯人説は世紀の大ウソ」丸山茂徳、戎崎俊一、川島博之ほか、宝島社

「科学者の9割は『地球温暖化』CO2犯人説はウソだと知っている」丸山茂徳、宝島社

「気象庁」ホームページ/ 各種データ・資料

「日本の気候の長期変動と都市化」2010年度日本気象学会賞受賞記念講演 藤部文昭

「論文:地球温暖化の太陽活動原因説」松田卓也、あすとろん第3号(NPO花山星空ネットワーク)、「RealCrazyClimate」ホームページ