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磁石の仕組みと応用して利用しているものとは?

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マグネットや方位磁針などに使われている磁石。私たちの身回りのものには、磁石を使っているものが多くありますが、一体どのような仕組みをしているのでしょうか。N極とS極がある理由から、身近な磁石を応用したものまで、おおまかに磁石の仕組みについてご紹介しましょう。

■磁石の仕組み

・磁石のN極とS極は「磁力の流れ」で決まる

磁石にあるN極とS極。そもそもどうして、この2つの極が生まれるのかというと、磁石がおびている「磁力」に流れがあることが理由です。棒磁石の上に紙を置き、その上に砂鉄をかける実験を小学生のころに行った方もいるかもしれません。

 

この実験では、N極とS極の間に円のような模様ができますが、これが磁力線です。磁力線は、磁石の力が働いている向きを表し、始まりがN極、終わりがS極です。入り口と出口だと考えるとわかりやすいでしょう。

 

・小さくなっても二つの極が存在する

磁石には必ずN極とS極がペアになっていて、N極だけ、S極だけの磁石は、存在しないと言われています。その理由は、磁石は、小さな磁石が集まって構成されている「分子磁石」によってできているためです。

 

分子磁石は、分子そのものが1つの磁石と言われています。磁石を半分に切ったときを考えてみましょう。

これは、分子磁石の集まりを半分にしていますが、両方の極を持った分子の集まりであることは変わりません。すなわち、磁石はどれほど小さくしても両極を持つことになり、単極だけの磁石は存在しないのです。

 

■磁石のよく知られた性質と種類

・「N極」と「S極」は引かれあい同じ極は反発する

磁石のよく知られている性質は、「違う極同士だとくっつき、同じ極同士だと反発する」というもの。これは、磁力線が持つ、磁力の流れが原因です。同じ磁力の流れを作れれば結合し、そうでなければ互いに離れようとしてしまいます。そのため、磁石を半分に切るのと逆に、2つの磁石を極があるようにくっつけると、1つの磁石であるかのように機能するというわけです。

 

また、地球も大きな磁石と呼ばれており、方位磁石のN極は北を、S極は南を指します。磁石は異なる極にひかれあいますから、北極にはS極、南極にはN極があると考えられているのです。

 

・磁石には「永久磁石」と「電磁石」の二種類がある

磁石には、永久磁石と電磁石の2つの種類があります。永久磁石とは、常に磁石としての機能を持つものを指します。磁石のN極やS極などの磁極が決まっている、磁石の強さ(磁力)も変化しません。

 

一方で電磁石は、変化しない永久磁石とは逆の性質を持っています。電磁石は、電流が流れているときだけ磁石として機能します。電流の向きが変わると磁極も変わり、電流が強くなると磁力も強くなるのです。

 

また、鉄やニッケル以外の金属をほぼ引き付けない点は、どちらの磁石も共通しています。

 

・磁石と鉄がくっつく理由

磁石は、磁石の違う極同士でくっつくだけでなく、鉄ともくっつきます。クリップや砂鉄を付けて遊んだことがある方もいらっしゃるでしょう。そもそも磁石と鉄はなぜくっつくのでしょうか? それには鉄の原子の動きが大きく関係しています。

 

鉄は強磁性体と呼ばれており、原子自身も磁石の力を持っていると考えられています。しかし、磁極の向きがバラバラのため、鉄全体として磁力は打ち消されており、磁石にはなっていません。それが、電流や他の永久磁石を近づけ外から磁力の影響下におくことで、鉄に含まれる磁石分子も、その磁界と同じ方向へ極がそろうようになるのです。つまり、近づけた磁石と一体化したような状態。これが、鉄が磁石とくっつく理由です。

 

■磁石の仕組みを応用して使う

マグネットや方位磁針といったよく知られたもの以外にも、私たちの身のまわりに磁石の仕組みを利用したものは、多く存在しています。ここでは、磁石の仕組みを応用しているものをご紹介します。

 

・マイクロ波を発生させるマグネトロン

「マグネトロン」は真空管の一種で、磁石による磁界を発生させて作られています。真空管の中心に線状の陰極(フィラメント)があり、その外側を囲むように円筒状の陽極とコイルが巻かれているのが特徴。陰極に電流を流すと、軸方向に磁界が発生する仕組みを持ちます。

 

こうして、真空管に磁界を発生させると、電子にはローレンツ力という力が働きますが、陰極から放出された電子は陽極に届くことができず、円筒内で振動しながらぐるぐると回ってしまいます。この状態を作りだすのが、マグネトロンの目的。電子の振動と電圧をかけるタイミングを合わせることで、熱を生み出す元となるマイクロ波が発生させられるからです。

 

・どんなに重いものでも磁石の力で浮かせてしまう「マイスナー効果」

磁石の反発しあう力を使えば、ある程度の重量があってもものを空中に浮かせられますが、磁力よりも重いものである場合は、磁場を避けるようにして動いてしまいます。ところが、電流が永遠に流れ続ける状態である「超電導」で現れる「マイスナー効果」の影響下ではこの限りではありません。

 

マイスナー効果とは、超電導体となっている物体を、磁力が発生している磁場の中へ置くと、超電導体へ影響しなければならない磁場をすべて外に押し出してしまうという現象のこと。この状態になると、超電導体のどんな物質もまるで、反発する磁石の面のようになって離れようとするため、磁石同士の反発力では浮かすことができない重い物質でも浮かすことができるようになります。

 

■磁石の仕組みを活用したもの

上で説明した、「マグネトロン」と「マイスナー効果」はいずれも、磁石を特別な使い方をすることで得られる力や現象を応用しているものです。こうした現象自体は説明してもわかりづらいですが、じつは身近なところで利用がされています。

 

・電子レンジ

電子レンジは、マグネトロンによるマイクロ波によって、火を使うことなく、物を温める装置です。マグネトロンの力で電子レンジのなかでマイクロ波の振動を起こし、これと食べ物の中にある水分を振動させて、そのエネルギーで温めています。

 

ちなみに、電子レンジに用いられるのは、磁石の中でも「フェライト磁石」と呼ばれるもので、電子にローレンツ力を与えてマイクロ波を発生させるための磁界を与えている永久磁石です。このフェライト磁石を使うことにより電子レンジは小型となり、家庭でも使えるようになって飛躍的に普及してゆきました。

 

・磁石で動くリニアモーターカー

リニアモーターカーは、超電導を使った電磁石(超電導磁石)とコイルによって「マイスナー効果」を用いて動いています。車両の超電導磁石は、N極とS極を交互に配置され、地上のコイルに電流を流すことで、極同士の引き合う力と反発する力によって前に進む仕組みです。

 

超電導磁石が高速で通過すると、両サイドの壁に取り付けられたコイルに電気が流れます。ここで「マイスナー効果」が起き、電磁石となったコイルと車両の反発により非常に重量のある、リニアモーターカーの車両も浮遊することができるのです。