希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

磁石にはどんな形状があるの

文字の大きさ :

磁石のお話-画像013001

磁石の形と言えば、U字型やI字型のものを思い浮かべる方も多いでしょう。実際の磁石の形状は多彩で、用途や役割、設置場所などによっても最適な形が異なります。ここでは磁石の代表的な形状や特性、選定時の注意点について紹介します。

 

■磁石にはさまざまな形状がある

工業製品としての磁石には、使用目的や用途によってさまざまな形状・大きさのラインナップがあります。具体的にどのようなタイプがあるのでしょうか、また形によって何が違うのでしょうか。

 

・基本の形は丸や角

磁石は非常に硬いため、基本的に高硬度の研磨剤による研削加工で少しずつ形を整えます。そのため「丸型」や「角型」など単純な形状が基本です。ほかにも円柱状や四角柱のタイプがあります。丸型の場合、磁力が平面横軸に均等に行き渡ります。一方で角型の場合は、それぞれの角の部分で磁力が交差することが特徴です。

 

丸型・角型よりも複雑な形状にしたい場合は、ワイヤーカットや放電加工によって細かな成形を行うこともあります。また、ネオジム磁石やサマリウムコバルト磁石は、ダイヤモンドの刃を使用してブロック状の磁石から切断・加工を行う方法が一般的です。原材料プラスチックを混合したプラスチック磁石は、成型時に金型を使用するため、複雑な形状に仕上げることが可能できます。

 

・磁石の高さで性能が変化する

接触面積が同じ磁石の場合、磁石の高さが大きくなるほど磁力も強くなります。なぜなら、磁石の高さが「磁束密度」に大きく関わってくるためです。

 

磁束密度とは、磁石の単位面積に存在する磁力線の束数のことです。磁力そのものの強さを表し、Gauss(ガウス)やTesla(テスラ)という単位で表します。磁化方向に対し、高いほど磁束密度も高くなります。多くの磁石は高さ方向に着磁しているため、高さに比例して磁力も強力に。接触面積は限られているけど大きな磁力が欲しいとう場合、高さを考慮すると良いでしょう。

 

・接触する面積が広いと磁力が強まる

同じ磁性原料から作られた磁石であれば、吸着力は対象への接触面積が広いほど強くなる傾向です。つまり大きいほど磁力が強くなると考えて良いでしょう。高さに制限がある場合は、広い面積を確保することでも磁力が強くなるため、磁石の接触面積をどのくらいに設定するかは重要です。

 

・磁石の主な形状

ここではさまざまな用途に使われる、代表的な磁石の形状について紹介します。

・丸型…円形や円柱型とも呼ばれる、最もスタンダードなタイプです。高さや長さの設定が広く行えます。

・丸型(皿穴付き)…薄い円柱型に、ネジ取り付け用の皿穴が開いているタイプです。

・角型…四角柱タイプで、正方形や長方形などがあります。こちらも高さや長さが選べます。

・角型(皿穴付き)…薄い角型に、1~2個のネジ取り付け用皿穴が開いている形状です。

・リング型…リング状になっており、小型のものはスピーカーやヘッドフォンなどにも使用されます。

・ボール型…球状の形です。携帯電話のバイブレーターや各種制御モーターなどに使用されます。

・セグメント型…C型とも呼ばれます。湾曲した扇形の磁石で、モーター類によく用いられます。

そのほかにも、中央が膨らんだドーム型や台形型、U字型といったさまざまな形状があります。

 

・用途に合わせた形状も存在する

磁石と一口に言っても、吸着や発電などその用途はさまざまです。そのため、用途に応じて磁石の形状を考慮する必要があります。

 

たとえばキャビネットの扉や、電気ポットの電源コードを単純に接続する用途があります。このような吸着目的の場合、角型磁石が多く用いられます。また永久磁石を使って発電を行う場合や、整電機材と組み合わせて使用する磁石には、セグメント型の形状が多いでしょう。ほかにも、電気エネルギーを力学エネルギーに変換する際や、電気を空気振動に変換して音楽を表現するヘッドフォンには、リング型の磁石が使用されます。

 

■磁石の形状を選ぶときの注意点

実際に磁石の形状を選定するときや、用途に合わせた磁石を作る際はどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

 

・実際に使用する際の向きに注意

磁力は目に見えません。そのため磁石の完成時に吸着する方向がわかりにくく、現場でトラブルが多発することは珍しくありません。このようなトラブルを防ぐためにも、設計段階でどの方向に向けて吸着するのかしっかり確認することが大切です。

 

角型の磁石の場合はサイコロ状の正方形なので、着磁方向が非常にわかりにくくなっています。この場合は全ての面の大きさを変えることで解消されます。一番大きい面に向けてくっつくようにすれば、着磁方向がわかりやすくなるため、使用時のトラブルを防ぐことができるでしょう。

 

・形状によって最適な素材が異なる

磁石の原材料にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。なかには割れやすいものや加工の難しい素材もあるため、希望の形状に対応できるのかあらかじめ確認しておくことが望ましいです。

 

金属の磁性材料のみを焼き固めて作る焼結磁石は、丸型や角型・リング型といった単純な形状が基本です。三角形や切欠きと呼ばれるL字型、段付きと呼ばれる二段構えのような複雑な形状にしようとすると、割れや欠ける恐れがあります。そのため制作自体が困難な場合や、加工できたとしてもコストや納期が大幅に増加するケースが多いです。

 

これらの複雑な形状は、プラスチックやゴムを混ぜ込んだボンド磁石ですと作成が安易です。そのため、希望の形に合わせた原料の選定も考慮しておくと良いでしょう。また、あまりに薄い板状の磁石は製造時に破損しやすい可能性があります。穴を開けたい場合も穴の径や穴部外径の厚みなどによって加工の難易度が異なるため、注意が必要です。

 

磁石にはさまざまな形状があるため、用途や素材に合わせて選定することが望ましいです。磁石を設計する際や購入する際は、使用目的や設置場所に合わせて最適なものを選びましょう。