希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

磁石の原理について知ろう

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磁石の製品を使用するときは、磁石がどのような原理で吸着、反発を起こすのかを知っておくことが大切です。磁石の基本的な原理を知っておけば、製品に応用することもできます。そのため、幅広い用途に用いることが可能です。ここでは磁石の原理や性質などについて紹介します。

 

■磁石がつく理由は磁極によるもの

磁石の基本的な特性は2通りです。鉄もしくは磁石同士が吸着、反発し合うものと、固定されない状態では磁極が南北を指すことがあげられます。磁石にはS極とN極と呼ばれる2つの磁極があり、異なる磁極では吸着し合い、同じ磁極では反発することが特徴です。

 

鉄が磁石に吸着する仕組みを紹介しましょう。鉄は磁区を形成していますが、磁極の方向がさまざまであるため、本来持つ磁力を打ち消し合っています。しかし磁石を近づけることで、永久磁石の原子の磁極が同じ方向に向くため、磁石に吸着するようになるのです。

 

■磁力は電子が原子核の周りを回転することで生まれる

原子核は磁力が発生する仕組みとして重要なポイントです。原子核の周りには電子の回転が発生することで、上向きもしくは下向きの方向で常に運動しています。磁力はこの回転運動によって生じるのです。

 

別の言い方をすれば、電磁石ではコイルの中を電流が流れると(=電子が流れると)、磁力が発生しますが、同じように、原子の中の電子が回転すると磁力が発生するのです。

 

鉄や磁石は、回転の向きが同数でないことで磁力を維持しています。しかし、磁界に影響されない物質は、同じ向きの回転が同数存在するため、お互いの回転を打ち消します。そのため磁力を持ちません。

 

■磁石を切っても磁力は残る

もし磁石を切断したとしても断面には磁力が存在します。この現象は、何度磁石を切っても同じように生じるのです。磁石の内部にある原子は、S極とN極双方の方向がお互いに打ち消し合う状態で保たれています。これが切り取られて新たな断面ができると、打ち消す磁極の方向がないため、いずれかの磁極の特性を持つことになるのです。

 

■永久磁石の原理

永久磁石とは、周囲の環境に左右されずに一定の磁力を保つ磁石のことです。ここでは永久磁石がどのような原理を持つのか説明します。

 

・永久磁石は外部からの影響で簡単には磁極の向きが変わらない磁石

磁石や鉄が磁力を持つ前の状態は、原子同士の磁区が互いの磁力を打ち消し合っています。この際に外部の磁界と触れることで原子の磁極が同じ方向きます。その結果、磁区が壊れ磁力が発生するのです。

 

この原理は外部の影響によって磁力が変化するため、非常に不安定です。永久磁石は原子の磁区が壊れた後、磁界を遠ざけても再度磁区を形成しないように他の原子を混在させています。そのため、磁極の向きを固定させることが可能です。また、磁力が一定に保たれることで、安定した磁力を持ちます。

 

・永久磁石の種類

1.合金磁石

鉄を主な原料とし、さまざまな金属を混ぜ込んで合金とした磁石です。鉄以外の金属はアルミニウムやニッケル、クロムやコバルトなど用いられます。この磁石は強力な磁力を持つ反面、安定性に若干欠けます。

 

2.フェライト磁石

主成分に酸化鉄(フェライト)を用いた磁石です。磁力は弱いものの、腐食に強く耐摩耗性にも優れています。安定した磁力を持つことから、磁気回路やカラーマグネット、ステッカーなど幅広い用途に使用されています。

 

3.希土類磁石

一般的にランタノイドに分類される元素(希土類元素)に、鉄やコバルトを加えて製造されます。硬くて欠けやすい特性がありますが、磁力は非常に強いことから精密機器や車のモーターなどに使用されます。

 

・地球は永久磁石ではない

磁石のS極とN極が自然に南と北に向く現象からわかるように、地球も磁力を持っています。その仕組みは、地球の中心にある内核と、その周囲で金属が対流を起こしている外核の動きによるものです。対流によって電磁誘導が発生し、電磁石と同じ原理で地球は磁力(地磁気)を持ちます。

 

この地磁気が発生する仕組みをダイナモ理論と呼びます。そのため、永久磁石のように金属の原子が一定方向で固定されているものではありません。また、地磁気についてはまだ解明されていない部分も多くあるため、今後ダイナモ理論が変化する可能性も考えられます。

 

■電磁石の原理

・電気と磁気は大きく関係している

電気を流すことによって、その周囲に磁力が発生することは、1820年にエルスレッド氏によって発見されました。その後はアンペール氏によって電流と磁力の関係性が研究されています。その結果、電流が大きくなるほど磁力の強さが伴うことが判明したのです。

 

・電磁石の仕組み

電磁石は電流を流したときにのみ磁力が生じるため、電流が流れなくなると磁力が消失します。電流の向きを変えることでS極とN極の向きが変わることが特徴です。また、電流の大きさやコイル巻き数で磁力が変化します。このような性質は、ピンポイントで強力な磁力が必要なときに役立ちます。

 

磁石の原理は数多くの研究者によって解明されてきました。電気との関係も密接で、磁石の原理を応用した製品は、私たちの生活を当たり前のように支えています。製品に使用する際には、この磁石の原理をぜひ覚えておいてください。