希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

種類によって変わる磁石の特徴とその用途について

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磁石のお話-画像002001

磁石は成り立ちによって「フェライト磁石」「ネオジム磁石」「サマリウムコバルト磁石」「アルニコ磁石」の4つに分けることが可能です。近年はフェライト磁石とネオジム磁石が主流ですが、サマリウムコバルト磁石とアルニコ磁石も一定の需要があり、それぞれの特性に合った分野で活用されています。ここでは磁石の種類と特徴、用途について紹介します。

■フェライト磁石

・汎用性の高い粉末磁石

フェライト磁石は汎用性が高く、現在最も主流の磁石です。磁気特性が安定しているため幅広い用途で使用されています。粉末状の原材料を成型し焼き固めて(焼結)生産されますが、酸化鉄が主成分のため安価に製造することが可能です。酸化鉄により、黒っぽい色をしています。また軽量な磁石で形も変えやすく、ゴム磁石やマグネットシートなど、さまざまな形状に対応できることが特徴です。磁力はそこまで高くありませんが、錆にも強いため使用場所を選ばず、使い勝手の良い磁石といえるでしょう。

 

・フェライトは2種類に分けられる

フェライトは、ハードフェライトとソフトフェライトに分けることができます。ハードフェライトに特徴的なのは、強い磁界を加えることで永久磁石になる点です。またさまざまな形で製造できるため、スピーカーやヘッドフォンにも利用されます。ソフトフェライトは、磁界に近付いている間だけ磁石になる性質から、テレビやゲーム機、パソコンなどに用いられることが多いです。両方とも電気抵抗は高く、磁気特性に優れていることから、電子機器に広く用いられます。

 

■ネオジム磁石

・希土類を使用した非常に高い磁力をもつ磁石

ネオジム磁石は、希土類であるネオジムを主な原料としてつくられた磁石です。ほかにも鉄やホウ素が用いられています。特徴は高い磁力で、現在存在している磁石の中でも特に強力です。機械的な強度は高いのですが、錆に弱いため、市場に出回っているものの多くはメッキ加工が施されています。また温度によって磁力が変化しやすい性質をもっており、高温時の使用は注意が必要です。小さくても充分な磁力があることから、それまで主流だったフェライト磁石とともにスタンダードな磁石として扱われています。

 

・高い磁力は近年の工業製品に欠かせない

高い磁力をもつネオジム磁石の登場は、工業製品の性能向上に大きな影響を与えました。スマートフォンやハードディスク、産業ロボットなど最新のテクノロジーを活かした精密機器には、小さくても強力なネオジム磁石が欠かせません。また工業製品だけでなく、衣服や生活用品など多様な分野で活用されていることも特徴です。最近ではネオジム磁石のもつ磁力が、腰痛や肩こりに対して効果が期待できるとされ、医療器具としても注目を集めています。しかし磁力が高すぎることから、医療用具の製造、販売には許可が必要とされるケースが大半です。

 

■サマリウムコバルト磁石

・高温にも耐えられる強い磁石

サマリウムコバルト磁石はネオジム磁石と同じ希土類を含んだ磁石ですが、素材にサマリウムとコバルトを使用しています。その特徴は、ネオジム磁石に次ぐ高い磁力。また熱に強く、ネオジム磁石に比べて2倍以上もの耐熱温度と5倍以上の熱安定性を誇ります。そのため、高温の中でも高磁力が求められる分野のセンサーや精密な電子機器向けなどに使用される磁石です。また錆にくい性質を活かして、医療機器のセンサー部分に使用されることもあります。

 

・欠けやすいので注意が必要

サマリウムコバルト磁石はネオジム磁石より脆く欠けやすいという弱点も。使用できる範囲に制限はありますが、熱に対する安定性や高い磁力は、この磁石の大きな長所です。

 

■アルニコ磁石

・減磁しやすいが強度に優れた磁石

アルニコ磁石は鉄とアルミ、そのほかコバルトやニッケルを原料に製造される磁石です。製造方法は鋳造のほかにも、焼き固める方法があります。温度に対する影響が少なく、強度が高いことも特徴です。しかし外部の磁場に影響されやすく、形状にも制約があります。比較的古い種類の磁石であるため、現在主流のフェライト磁石やネオジム磁石と比べると活用用途は多くありません。

 

・計器類を中心に今でも高い需要がある

アルニコ磁石は、高温に強く強度があるため非常に安定した磁石です。そのため、メーターや計器類を中心に活用されています。現在では、アルニコ磁石よりも小型で強力なネオジム磁石が普及していますが、安定性の高い特性から、未だに需要は残っています。長く使われてきた磁石なので、安定した性能が求められる機器の素材として今後しばらくは活用されてゆくでしょう。

 

■電磁石

・電気が流れている時だけ磁石の効果をもつ

上にあげた4つに磁石は永久磁石と呼ばれ、自ら磁気を発することが可能です。一方、電磁石は永久磁石と違い、電気が流れている間だけ磁石の性質をもちます。コイルを巻いた鉄心に電流が流れることで磁石に変わるため、自分の思うタイミングで磁石にすることが可能です。また電流の流れを変えるだけで磁力が反転し、制御をするのも簡単。さらに電流の大きさとコイルの巻き数で磁力を強くできることから、設備次第では永久磁石よりも強力な磁力が得られます。強力な磁力が制御可能となり、身近なものではリニアモーターカーとして使用されている方法です。