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地球温暖化と温室効果ガスの検証(7)<二酸化炭素・CO2の働き(続き)>

[二酸化炭素・CO2の働き-6]温室効果ガスとしてのCO2

地球の大気にはCO2などの温室効果ガスと呼ばれる気体がわずかに含まれています。これらの気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。

この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めます。これを温室効果と呼びます。

温室効果が無い場合の地球の表面の温度は氷点下19℃と見積もられていますが、温室効果のために現在の世界の平均気温はおよそ14℃となっています。

大気中の温室効果ガスが増えると温室効果が強まり、地球の表面の気温が高くなります。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200901

マスメディアの報道によれば、地球温暖化に最も影響がある温室効果ガスはCO2ということになっています。ところが、実際は、地球温暖化に最も影響がある温室効果ガスは水蒸気です。水蒸気(気体)はCO2以上に地球の温度を上昇させるのです。ただし、水蒸気が水滴や氷の粒になれば雲となり、雲は地球の気温を低下させるように作用します。

CO2原因説肯定派の主張は・・・・「“20世紀後半から起きている温暖化は、温室効果ガス、とくにCO2が主な原因”という議論は、数学の定理のように厳密に証明されたものではなく、科学の議論の大部分と同様、さまざまな現象の原因に関する説明、あるいは仮説であることは確かだ。ただし、ほぼすべての研究者の間でコンセンサス(合意)がある仮説でもある。」・・・ということのようです。

 

ところが、CO2原因説懐疑派によると、「ほぼすべての科学者のコンセンサスはない」と主張しています。その根拠は、例えば、2008年5月25日から29日にわたり、地球惑星科学連合学会(地球に関する科学者共同体47学会が共催する国内最大の学会)で「地球温暖化の真相」と題するシンポジウムが開催されました。その時に、過去50年の地球の温暖化が人為起源なのか、自然起源なのか、さらに21世紀はIPCCが主張する一方的温暖化なのか、寒冷化なのか、そのアンケートを取ろうとしました。

シンポジウムで行われたアンケートによれば、「21世紀が一方的温暖化である」と主張する科学者は10人に1人しかいなかったのです。一般的にはたった1割の科学者が主張することを政治家のような科学の素人が信用するのは異常な事態です。たった1割に過ぎない科学者の暴走を許してしまった科学者共同体の社会的責任は肯定派、懐疑派を問わず大きいのです。

またそのアンケートで10人のうち2人は「21世紀は寒冷化の時代である」と予測しています。そして、21世紀の気候予測について、残りの7人は「わからない」と考えていました。

 

以上の事例より、「ほぼすべての研究者の間でコンセンサス(合意)がある」は、「ほぼすべてのCO2原因説肯定派の研究者の間でコンセンサス(合意)がある」の意味であることがわかります。これは当然のことであり、二酸化炭素原因説が正しいとする根拠にはなりえません。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200902

肯定派は、「二酸化炭素よりも水蒸気や太陽活動のほうが大きいのでは?」という質問に対しては、「水蒸気は、確かに最大の温室効果を持つガスだが、濃度も温室効果の大きさも自然のバランスで決まっていて、人間が直接影響を与えることは困難だ。一方、急速に濃度が増加していて、全体のバランスを壊そうとしているのがCO2だ。ただし、CO2濃度の上昇による温度の上昇が結果として水蒸気濃度の上昇を招くことによって、さらなる温度の上昇につながる。」・・・と回答しています。このように、CO2原因説肯定派でも、「水蒸気は、確かに最大の温室効果を持つガス」であることを認めています。

一方、CO2原因説懐疑派による論文では次のように記載されています。「水蒸気は最も強力な温室効果ガスであり、その濃度が増えれば、地球の気温を高めるように働く一方で、雲になれば太陽光の反射率を高めて気温を下げるようにも機能する。そのため、水蒸気の影響を定量的に評価することは非常に難しく、今後の地球温暖化を予測するためのシミュレーションモデルはまだできていないのだ。」

[二酸化炭素・CO2の働き-7]CO2の増加は気温上昇と対応していない

すでに、4月号の“[世界の気温変化とCO2の増加-2]ホッケースティック曲線への疑義”でも関連のお話をしていますが、ここでもう一度1900年以降の大気中のCO2の増加と気温上昇の関係をおさらいしてみましょう。

IPCCが使用するさまざまな資料では、CO2の増加と気温上昇が1対1の対応関係にあるようなグラフが明示されています。確かに大気中のCO2は20世紀以降急激に増加していることは事実です。しかし、実際はCO2の増加と気温の上昇は1対1には対応していないのです。

例えば次図のグラフでも、CO2の排出量と気温の上昇が必ずしも1対1ではないことがわかります。

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この気温とCO2排出量グラフを、20世紀初頭から現在までを3つのステージに分けて比べてみますと、世界の気温上昇とCO2量との間に決定的な因果関係があるとは言えないことがわかります。

 

<第Iステージ>CO2排出がほとんどなくても気温が上っている年代

前図の20世紀前半の第Iステージがこの年代にあたります。近代工業が大きく発展する前で、グラフが示していますように、まだCO2排出が少ない年代となります。ところが、この年代は近代のホッケースティック曲線と同じくらいの気温上昇がみられます。この年代での気温上昇がCO2原因だとはとても思えません。

 

<第IIステージ>CO2排出が急激に増加しても気温が上っていない年代

1940~1980年は、ホッケースティック曲線のほぼ平らな部分です。第二次世界大戦が始まり、近代工業が急速に発展してCO2の排出量も急増した第IIステージの年代です。しかしながら、地球上の気温は上昇どころか若干下降しています。CO2が急増しているのに、なぜ気温は上昇しないのでしょうか?

 

<第IIIステージ>CO2排出がさらに増加して気温も上っている年代

IPCCやゴアが提唱しているホッケースティック曲線の重要部分です。近年のこの年代に限っていえば、確かにCO2の排出量増加と気温の上昇は大きく関係しているように見えます。

 

以上でおわかりのように、近年の第?ステージの限られた年代のデータだけを取り上げた“温室効果ガス・CO2による地球の危機”論は、年代を拡大した検証を始めると急速に説得力が乏しくなります。

さらに、次図は4月号でも掲載しましたが、気象庁が公開している世界の年平均気温偏差です。このデータは地表付近と海面水温の平均を基準値(1981年~2010年の30年平均値)からの偏差を示したものです。ご覧のように、0.74℃/100年で1℃以下の偏差ですが、一貫して上昇しています。このことも、1940年以降からのCO2排出量の急増とは強い相関があるとは言えないでしょう。

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[二酸化炭素・CO2の働き-8]なぜCO2が標的にされるのか

そもそも、気候変動は常に起こっています。いろんな周期で、100年、1000年といった周期から1万年、10万年、それこそ何億年という長期のサイクルまであります。

当然、そういった気候変動に人間がついていけなくなる可能性はありますが、ゆっくりとした変動であれば現代の人間は対応してゆくことができるでしょう。ですから、少しでも自然変動の姿を明らかにしていって、その対策をとってゆくほうが賢明です。CO2を減らしても気候変動は絶対に変わらないとすれば、そんなことに無駄なお金をかけるより、その資金を使って人間が自然変動に対応できるような長期的な研究開発や方策に重点投資すべきでしょう。

本当はただ、CO2は「わかりやすい」から大きく取り上げられているだけのようです。CO2が増えたから温室効果によって気温が上昇して・・・という単純なストーリーでCO2を悪者にしてそれをどうにかすれば何もかも解決するという話にしたほうがわかりやすいというだけです。

もちろん、CO2を減らすのも「エネルギー節約」という意味なら良いかもしれません。省エネの指標にするという意味なら。それを否定する人はいません。ただ、それも程度問題です。

また、CO2が悪者にされている理由のひとつとして「大気汚染」の問題があります。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200905

たとえば、中国やアメリカなどは火力発電で大量に排出されるSOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)による大気汚染によって、何万、何十万という死者が出ているといわれています。しかし、単に[大気を汚染しているから火力発電をやめろ]と言っても行政や企業は簡単には動きません。ですが、全世界的に「地球環境のためにCO2排出量を削減しないといけないから火力を減らせ」と言うと、決してCO2は大気汚染をする有毒ガスではないにもかかわらず通用するわけです。

つまり、CO2を減らさずとも最新技術の火力発電のように、SOxやNOx、PM2.5 などの大気汚染を解決すればそれで十分という話のはずですが、「とにかくCO2を減らせ」という風潮になって経済活動を妨げたり、無駄に莫大な予算を使ったりして自分たちの首を絞めるようなことになっています。

では、どうやって世の中を変えていくべきかという部分では、グレタ・トゥーンベリや彼女を利用している組織のように「人々の感情に訴える」という方法は効果的だと思います。しかし、気候変動の問題が科学の範躊ではなく感情的な話になってしまっていると、科学とは無縁の正義感とそれを利用しようとして群がる人々に支えられて、ただの一つの仮説があたかも「真実」のように独り歩きをして、「政策」まで動かしてしまう危険な状況になっています。

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科学としてCO2の影響を研究するのは当然です。しかし、今のところ、CO2要因説も他説もすべて「仮説」でしかありません。したがって、それらを現実の政策に結びつけてしまうのはあまりに危険で乱暴です。現時点では「地球温暖化」問題に対しては、政策と科学は分けておいたほうがよさそうです。

[二酸化炭素・CO2の働き-9]CO2の働き・地球温暖化の中間まとめ

ここで、先月までの各章および今月の各項で取り上げましたCO2の働きや地球温暖化の推移を検証した結果をまとめてみました。

  • 20世紀以降(1900年以降)の地球温暖化は事実であるが、その程度は世界平均で1℃程度であり、測定点の都市バイアスや海面温度を考慮すると1℃を下回る。
  • 地球温暖化の証拠の中にはマスメディアによって、データ以上に誇張された現象や科学的裏付けのない興味本位の記事、報告も多数含まれていて、結果的に感情論を煽っていることになる。
  • 1万年前からの極地の氷の分析などにより、地球の気温は上昇下降のサイクルを繰り返しながら寒冷化に向かっているという論文、学説も多い。したがって、20世紀以降の温暖化は、それ以前のミニ寒冷化後の揺り戻しに過ぎないのではないか。
  • 確かにCO2も増加していて、直近の年代(40年間)だけをみるとCO2が温暖化の要因のようにみえるが、年代を拡大すれば、CO2が要因だとする根拠は薄くなる。ましてや、古代からの地球気温の変動サイクルが事実とすれば、CO2量の解析からはCO2要因説は説明し難い。
  • CO2は大気汚染ガスではなく、植物にとって、言い換えれば人類にとって有用なガスである。現在のわずか400ppmの濃度が数倍になっても有害にはなりえない。SOx、NOx、PM2.5などによる大気汚染と混同してはならない。
  • 温室効果の最も大きいガスは水蒸気であり、直接のCO2の効果はその数分の一といわれている。
    それらの温室効果ガス関連を含めての地球温暖化に対する説は、大まかに以下のようになる。
    *CO2により気温が上昇して水蒸気発生を増加させ、さらに気温を上げる・・・CO2要因説
    *太陽活動、宇宙線などの何らかの原因で水蒸気が増加して気温が上昇・・・・・水蒸気要因説
    *温室効果ガスの議論とは別に(3)の気候変動サイクル中のミニ寒冷化の戻り ・・CO2懐疑説
  • 一つの仮説を背景にCO2に特化した温暖化対策は無駄かもしれず、むしろ危険性をはらんでいるともいえる。したがって「現在の地球温暖化傾向」が未来の人類にとって致命的な脅威なのか、CO2以外の対策が必要なのか、あるいは自然にまかせても心配ないのかは、太陽活動、宇宙線、地殻変動、地磁気変動などの関連も科学的に幅広く検証し、それらの研究にも世界、国家レベルで目を向ける必要がある。

次回からは、「気候変動の原因」について、CO2以外の様々な角度からの研究について調べてみたいと思います。

<参考・引用資料>

「地球温暖化狂騒曲・社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正(著)、丸善出版

「二酸化炭素は本当に地球温暖化の原因か?」ブログ 井上雅夫

「地球温暖化 ほぼすべての質問に答えます!」明日香壽川、岩波書店

「不都合な真実 」アル・ゴア(著)、枝廣 淳子(訳)、 実業之日本社文庫

「地球温暖化の不都合な真実」マーク・モラノ(著)、渡邊 正(訳)、日本評論社

「地球温暖化・CO2犯人説は世紀の大ウソ」丸山茂徳、戎崎俊一、川島博之ほか、宝島社

「科学者の9割は『地球温暖化』CO2犯人説はウソだと知っている」丸山茂徳、宝島社

「気象庁」ホームページ/ 各種データ・資料

「日本の気候の長期変動と都市化」2010年度日本気象学会賞受賞記念講演 藤部文昭

「論文:地球温暖化の太陽活動原因説」松田卓也、あすとろん第3号(NPO花山星空ネットワーク)、「RealCrazyClimate」ホームページ

「ココが知りたい地球温暖化・・Q9水蒸気の温室効果」地球環境研究センターホームページ