圧縮空気で風力発電の出力変動緩和 早稲田大など実証

[日本経済新聞電子版2017年4月22日配信]

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と早稲田大学、エネルギー総合工学研究所は2017年4月20日、風力発電の予測情報に基づく制御技術を用いた圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES:Compressed AirEnergy Storage)システムの実証試験を同日開始したと発表した。圧縮空気を利用して充放電することで、天候によって出力が変動する風力発電を電力系統上で安定的に利用できるようにする。

CAESシステム実証施設の外観(出所:NEDO)

風力と太陽光発電は、天候によって出力が大きく変動し、電力の安定供給に悪影響を及ぼすことがあるため、出力の予測技術や制御技術が必要になる。CAESシステムでは、電力系統に対する風力発電の出力変動を緩和する変動緩和制御と、事前に用意した発電計画と実際の発電量との差を極小化させる計画発電制御の2つの制御技術を開発した。

CAESシステムの構成模式図(出所:NEDO)
CAESシステム実証設備の概要図(出所:NEDO)

設備面では、風力発電から得た電力を使って圧縮機(モーター)で空気を圧縮して高圧状態で貯蔵。電力が必要な際に、貯蔵した圧縮空気で膨張機(発電機)を回転させて発電する。今回完成した設備では、オイルフリー式スクリュータイプの圧縮機と膨張機を採用し、設備を汎用機器で構成することで信頼性を高めた。圧縮時に発生する熱も貯蔵し、放電時に再利用することで充放電効率を向上させた。

静岡県賀茂郡河津町に設置し、東京電力ホールディングスの東伊豆風力発電所と接続して電力の変動を緩和させる実証実験を行う。CAESシステムの新しい制御技術と設備を実証することで、出力変動の大きい風力・太陽光発電を電力系統上で安定的に利用できる蓄電システムの制御技術を確立し、再生可能エネルギーの導入拡大を目指す。

(ライター 工藤宗介)

[日経テクノロジーオンライン 2017年4月21日掲載]

カテゴリー: 技術, 風力発電 | 圧縮空気で風力発電の出力変動緩和 早稲田大など実証 はコメントを受け付けていません。

氷河が溶けてたった4日で巨大な川が消滅したことが明らかに

[Gigagine2017年4月18日配信]

地球温暖化によって異常気象が起こることが懸念されていますが、氷河が溶けたことで、たった4日のうちに幅150メートルあった河川が干上がってしまうという現象がカナダで起こったことが分かりました。

Receding glacier causes immense Canadian river to vanish in four days | Science | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2017/apr/17/receding-glacier-causes-immense-canadian-river-to-vanish-in-four-days-climate-change

Retreating Yukon glacier makes river disappear – North – CBC News
http://www.cbc.ca/news/canada/north/slims-river-dries-yukon-kluane-glacier-1.3639472

消えてしまったのはカナダのスリムズバレーを流れるスリムズ川。スリムズバレーを北上するスリムズ川は、19キロメートル離れたクルエーン湖の水源になっていた川です。スリムズ川の水は、クルエーン湖、ユーコン川を経てベーリング海に流れ込んでいました。

Googleマップだとこのあたり。右上がクルエーン湖で、そこへ向けて左下から流れてきているのがスリムズ川です。

Yukon Geological Surveyのジェフ・ボンド氏は、2016年の春にスリムズ川が干上がっていることに気付きました。ボンド氏によるとスリムズ川の乾燥は、ここ350年間で初めて起こった現象だとのこと。

クルエーン湖の南の河口。スリムズ川が流れ込んでいた場所は、すっかり干上がっています。

イリノイ大学の地質学者ジェームズ・ベスト博士がスリムズ川の現地調査を行ったところ、それまでは小型のボートで渡っていた川は乾燥し、三角州だった地点は砂嵐が吹き上がるなど、信じられないほど劇的に景観が変化していたそうです。

ヘリコプターからの観察やドローンを使った観測によって分かったのは、スリムズバレーを北に流れるスリムズ川と南に流れるアルセック川のサイズの違い。従来は同等程度のサイズだった川は、アルセック川がスリムズ川の60倍から70倍の大きさに変化しているのが分かりました。データからは、スリムズ川の流れが2016年5月26日から29日にかけて急激に減少したことも分かり、従来、北上していたスリムズ川の流れは、アルセック川に変わり、南に向かい太平洋に流れていることが明らかになりました。

オレンジ色が従来の流れで、赤色が現在の流れ。

わずか数日のうちに河川が消滅するという急激な変化をもたらしたのは、地球温暖化にともなう氷河の後退だと考えられています。数百年間にわたってカスカウルス氷河から溶け出た水はスリムズ川、ユーコン川と流れてベーリング海に注がれていました。しかし、2016年の春に氷河が急激に溶けた時に、融解した水が氷河をきざみ、新しい水脈として支流のアルセック川に注ぎ込む水の流れが誕生したのが原因だと考えられています。

すでにクルエーン湖では乾燥した場所が出始めており、スリムズ川からの水の供給が絶たれたことで、水位が下がると予想されています。

スリムズバレーで見られたような氷河の融解が原因で河川の流れが変わる現象は「Stream capture」や「River piracy」と呼ばれ、一般的な自然現象として知られています。しかし、わずか4日の間に川の流れが劇的に変わるというような急激な変化は、一般的な自然変動ではなく、人間の活動が原因で生じる人為的な気候変動が原因だとのこと。ヒマラヤ山脈やアンデス山脈、アラスカなどでも氷河融解は起こり得るため、「スリムズ川の消滅」のような急激な環境変化は地球規模で起こり得ます。急激な変化はその地域の動植物や人間の生活環境に大きな影響を与える可能性があると指摘されています。

カテゴリー: その他 | 氷河が溶けてたった4日で巨大な川が消滅したことが明らかに はコメントを受け付けていません。

東大、磁石に直接電流を流すだけで単一磁区を作り出すことに成功

[マイナビニュース2017年4月18日配信]

東京大学(東大)は4月14日、室温で磁化を持たない多磁区状態にあるコバルト(Co)と白金(Pt)を接合させた試料において、試料に直接電流を流すだけで磁化を生じさせることに成功したと発表した。

同成果は、東京大学大学院工学系研究科 小山知弘助教、千葉大地准教授らの研究グループによるもので、4月11日付の英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

磁界ではなく電流を用いた磁化反転手法は、消費電力の小さい磁気メモリの書き込み手法としての応用が期待されているが、電流を流すことによる試料の発熱に伴い情報を担う磁化そのものが不安定化し、場合によっては多磁区化して保持されている情報が失われてしまう恐れがあるという課題がある。

近年、薄膜磁石/重金属の接合で生じるスピン軌道トルクを用いた場合、多磁区化を抑制できることがわかってきた。今回、同研究グループはこの特性を利用して、もともと多磁区状態が安定であるような磁石に電流を流すだけで単一磁区を作り出すことができるのではないかと考えた。

そこで、Coの膜厚を原子層レベルでコントロールすることにより、室温において正味の磁化を持たない多磁区状態で安定するCo/Pt構造を作製。スピン軌道トルクは、磁化を電流方向に傾けたときに有効に作用することが知られているため、今回の研究では、電流と平行方向に微弱な磁界を印加しておくことで磁化を傾けた。

これにより、電流がない状態では異常ホール抵抗がゼロの正味の磁化を持たない多磁区状態だが、試料に流す電流が大きくなるにつれて異常ホール抵抗が徐々に大きくなる様子が観測された。これは、電流により試料が磁化されていることを示している。また、電流がある一定値より大きいと異常ホール抵抗が一定になった。これは試料が完全に磁化された状態になっていることを意味している。

磁石を磁化させるためには、外部から磁界を加えるのが一般的な方法であるため、同研究グループは今回の成果について、電磁石などの広く一般的に用いられている磁気デバイスの動作原理を一新する可能性を秘めたものであると説明している。

Co/Pt試料に流す電流密度と規格化した異常ホール抵抗の関係。左上と右上の図は、多磁区状態および電流により単一磁区になっている状態を模式的に示したもの (出所:東京大学Webサイト)
カテゴリー: 技術, 磁石, 開発 | 東大、磁石に直接電流を流すだけで単一磁区を作り出すことに成功 はコメントを受け付けていません。

NASAが宇宙の彼方から不可解なほどに強力な謎のX線放射を検出

[Gigazine 2017年4月15日配信]

By NASA’s Marshall Space Flight Center

NASAのチャンドラX線観測衛星が75日間の観測作業を行っていたところ、地球から100億光年離れた位置にある観測エリアから、その銀河の全ての光量より1000倍も明るいX線が検知され、数時間後に消失するという不可解な現象が起こっていたことが報告されています。

Chandra Press Room :: Mysterious Cosmic Explosion Puzzles Astronomers :: 30 March 17
http://chandra.harvard.edu/press/17_releases/press_033017.html

A Mysterious Flash From a Faraway Galaxy – The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/03/31/science/x-ray-burst-outer-space.html

チャンドラX線観測衛星(チャンドラ)は、地球から90億光年~120億光年離れたエリアを撮影しており、その画像は「Chandra Deep Field-South(CDF-S)」と呼ばれています。チャンドラはCDF-S撮影の一環として75日間の観測作業を行っていたのですが、地球から100億光年先にある小さな銀河から、通常ではありえないほど強力なX線を検出しました。チャンドラは2014年にも同じポイントを観測していますが、この際には同様の光源は確認されていないとのこと。

発生源の小銀河すべての星の光量を合わせたものより1000倍も強いという不可解なX線照射は数時間続きましたが、1日後にはチャンドラの性能では検出できないほど小さくなったとのこと。研究者らはこの現象の解明に努めていますが、過去に類似する現象が検出されたことは一度もないそうです。研究者の1人であるチリ・カトリック大学のフランツ・バウアー教授は「まるでピースの足らないジグソーパズルを手にしたようなものです」と話しています。

説明のつく仮説としては、巨大な恒星がブラックホールに衝突、または中性子星という密度の高い恒星同士の衝突などで発生する「ガンマ線バースト」という現象の余光として発生したX線の可能性があるとのこと。

ただし、ガンマ線バーストの余光として検出されるX線は、今回検出されたX線より100倍強烈なものがほとんど。観測史上最弱のものだったか、想像以上に離れた場所から届いた可能性も考えられますが、原因の完全な解釈には至っていません。別の天文学者は、恒星がブラックホールによって四分五裂した時に発生する現象に似ていると指摘していますが、この場合は今回とは異なるスペクトルのX線が検出されるはずだそうです。

つまり、これまで観測されてきたどの宇宙現象とも一致しないという不思議な現象が観測されたことになり、バウアー教授も「残念ながら、説明のつく決定的な証拠はありません」と語っています。今回の現象の原因を明らかにするには、今のところ同じような現象をより多く観測するほかないということです。

カテゴリー: その他 | NASAが宇宙の彼方から不可解なほどに強力な謎のX線放射を検出 はコメントを受け付けていません。

太陽系外の地球型惑星で大気を初検出 – 地球外生命の探索に弾み

[マイナビニュース2017年4月14日配信]

マックス・プランク天文学研究所などの研究チームは、太陽系外の地球型惑星で初めて大気を検出したと発表した。地球外生命を探索していく上で重要な一歩と位置づける。研究論文は、天文学誌「The Astronomical Journal」に掲載された。

地球から39光年先にある地球型惑星「GJ 1132b」で大気の存在が確認された(出所:マックス・プランク天文学研究所)

今回、大気の存在が確認されたのはスーパーアース(巨大地球型惑星)に分類される「GJ 1132b」で、地球から39光年先、南半球の星座「ほ座」の方向にある赤色矮星「GJ 1132」の周りを公転している。スーパーアースは、地球の数倍程度の質量をもち、岩石や金属などの固体を主成分とする太陽系外の大型惑星。GJ 1132bは、スーパーアースのなかでは比較的小さく、質量は地球の1.6倍、半径は1.4倍で地球とほぼ同サイズの惑星であるという。

これまでに太陽系外惑星で大気の存在が確認された例はいくつかあるが、それらはすべて木星型の巨大ガス惑星か、地球の8倍以上の質量をもつ大型のスーパーアースだった。地球によく似たサイズの系外惑星で大気が検出されたのは今回が初めてのことで、地球外生命の研究にとって弾みになるとする。

惑星GJ 1132bが1.6日周期で恒星GJ 1132の前を横切るときに遮られる光の量を、欧州南天天文台(チリ)の口径2.2m望遠鏡を用いて調べた。遮られる光をもとにして、惑星のサイズを推定することができるが、7種類の異なる波長の光について同時に調べたところ、特定の赤外波長をもとにして割り出した惑星のサイズだけが、他の波長を使った推定値よりも大きくなることがわかった。研究チームは、この現象について、惑星の大気が同波長の赤外光を透過しない性質をもっているためであると説明し、惑星大気の存在証拠であると結論付けた。

現在、地球外生命の存在を見つけ出すために立てられている天文学上の方針は、惑星大気の化学組成を調べるという方法である。地球の場合でいえば、大気に含まれる多量の酸素が、生命の存在のしるしとなっている。このように大気の化学組成にある種のアンバランスが見つかれば、生命の存在によってそれを説明できる可能性が出てくる。

惑星GJ 1132bの大気組成モデルはいくつかの可能性が考えられる。そのうちの1つは、大気に多量の水分とメタンが含まれているというモデルであり、観測データをよく説明できるという。

今回観測対象となった星系の主星である赤色矮星は、恒星としてはもっとも普通で、よくある種類の天体である。赤色矮星はフレアや太陽風などの活動が活発であるため、周囲の惑星の大気はこうした活動によって吹き飛ばされてしまうのではないかとの予想もあった。GJ 1132bの観測データは、こうした予想への反証になるという意味もある。赤色矮星の数の多さを考えれば、赤色矮星系の地球型惑星に大気が存在するという今回のデータは、生命の予備条件となる環境が宇宙においてありふれたものであるという見方を支持しているといえる。

カテゴリー: その他 | 太陽系外の地球型惑星で大気を初検出 – 地球外生命の探索に弾み はコメントを受け付けていません。

グラフェンを使ったフレキシブルな極薄の有機ELディスプレイの開発に成功

[Gigazine2017年4月12日配信]

炭素原子が平面に広がる特殊構造を持つ素材「グラフェン」を使って、極薄の有機ELパネルの製造に韓国の研究チームが成功しました。極薄ディスプレイが実用化すれば、スマートフォンなどの電子機器だけでなく、広告などさまざまな分野への活用が期待されています。

Korea first to use graphene to make OLED panel
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20170411000715

韓国のElectronics and Telecommunications Research Institute(ETRI)とHanwhaの共同研究チームが、グラフェンを活用することでとてつもなく薄い有機ELディスプレイの製造に成功しました。グラフェンは高い熱伝導率を持ち、何よりも原子1個分の厚みしか持たないという分子構造から、ディスプレイの厚みを激薄に変えられる材料として期待されていますが、研究チームが制作した有機ELディスプレイの電極の厚みは5ナノメートル以下だとのこと。ちなみに髪の毛の厚さは細いものでも6万ナノメートル(0.06mm)なので、ETRI・Hanwhaの共同研究チームが作った電極のとてつもない薄さがよく分かります。

研究チームは、従来、有機ELディスプレイ用の電極で使われていたインジウム・スズ酸化物の代わりにグラフェンを使うことに成功。グラフェンを使うことで、劇的な薄さ・軽さと共に粘さももたせることができ、自由に曲げられる柔軟性を確保することに成功したとのこと。すでに、370mm×470mmサイズの有機ELディスプレイパネルの製造に成功しています。

フレキシブルなスマートデバイスの開発に応用できるように、有機EL基板上に特定の形状のグラフェンベースの透明電極をパターニングするプロセスも研究チームは開発済みとのこと。ETRIのチ・ナムソン氏は「グラフェンを有機ELディスプレイ用パネル材料に使うことに世界で初めて成功したことには意味があります」と述べ、安価なディスプレイパネルを製造する中国メーカーとの有機ELディスプレイ市場での競争が激化すると予想される中で、技術的優位性から付加価値の高い有機ELディスプレイの製造が期待できるとの見解を明らかにしています。

韓国のLGが2017年1月に行われたConsumer Electronics Showで曲げられる有機ELディスプレイを展示したように、極限まで薄いディスプレイにはスマートフォンなどのモバイル端末や、壁掛け電子ポスターなどの電子機器での応用が期待されています。

電子機器だけでなく、極限まで薄い有機ELディスプレイは生地に応用することも可能で、TPOに応じて色を変えられる衣服の開発も期待されており、さらには衣服に広告を表示する「歩く広告塔」などへの応用も考案されています。

5ナノメートル未満という極薄の有機ELディスプレイ用電極の開発に成功したETRIとHanwhaは、5年以内に柔軟に曲げられるフレキシブル有機ELディスプレイパネルの製品化を目指しています。

カテゴリー: その他, 技術, 有機エレクトロニクス, 開発 | グラフェンを使ったフレキシブルな極薄の有機ELディスプレイの開発に成功 はコメントを受け付けていません。

隕石中から太陽系最古の新鉱物が発見 原始太陽系への手がかりか

[@niftyニュース2017年4月13日配信]
ルービナイト(薄灰色の部分)の電子顕微鏡写真。(写真:東北大学発表資料より)

東北大学とカリフォルニア工科大学の共同研究グループは、隕石小片の中に含まれる太陽系最古の物質を分析する過程の中で、新種の天然鉱物を発見した。この鉱物は、著名な隕石学者アラン・E・ルービン博士の名にちなんでルービナイト(Rubinite)と命名された。この発見により、誕生直後の太陽系の様相について、新たな知見が導き出されることが期待される。

【こちらも】誕生直後の地球には栄養豊富な地殻が存在していた―東大

ルービナイトと同じ鉱物は、人工的に合成することは可能で、既に作られたこともあったらしい。だが、天然の状態で発見されたのはこれが初めてだという。

太陽系が誕生したのは、46億数千万年前である。その頃の太陽系星雲は、太陽を中心とした膨大な塵の集まりであった。それが、数千万年の歳月を経て凝集・集積し、微小な天体群となった。微小な天体群はさらに衝突・合体を繰り返し、いくつかの惑星となった。これが現在へと至る太陽系である。ちなみに、地球が誕生したのは46億年前とされている。

さて、問題は原始太陽系である。原始の太陽は、その高温によって星雲ガスから小さな固体物質を作り出した。これらの物質のうちには、揮発しにくい性質を持つものが多く含まれている。

これらの物質が、太陽系が進化する46億と数千万年の間にも溶融・分化を経ることなく残り、小惑星となったものが、稀に地球にやってくることがある。これをコンドライトという。ルービナイトが発見されたのもこのコンドライトのうちである。コンドライトは、太陽系最古の物質であるがゆえに、太陽系が誕生した直後の情報を記録している存在であり、太陽系の形成と進化の過程を理解するうえで、惑星科学という分野における重要な研究対象となっているのだ。

なお、ルービナイトは、この4月に出版される英国の学術雑誌Mineralogical Magazineに掲載されるNew Mineralsの中に加えられる。

カテゴリー: その他, 金属 | 隕石中から太陽系最古の新鉱物が発見 原始太陽系への手がかりか はコメントを受け付けていません。

地球内部のマントルまで掘り進めるプロジェクト

[Gigazine2017年4月10日配信]
地球深部探査船「ちきゅう」を使っていよいよ始動

世界初のライザー式科学掘削船「ちきゅう」で地球内部の「マントル」まで海底を掘り進めるべく、2017年9月に事前調査が行われることになりました。アポロ11号が持ち帰った月の岩石に匹敵する価値を持つと言われる地球内部のマントルの岩石を人類が初めて手にすることが期待されています。

Japan-led research group preparing to drill down to the mantle – The Japan News
http://the-japan-news.com/news/article/0003619423

まんとるプロジェクト<海洋掘削科学研究開発センター(ODS)<JAMSTEC
http://www.jamstec.go.jp/ods/j/mantle/

Japanese scientists want to be first to drill into the Earth’s mantle – CNN.com
http://edition.cnn.com/2017/04/07/asia/japan-drill-mantle/index.html

地殻と核(コア)の間にある地球内部の層「マントル」は、地球の体積の約8割を占め、硬度や水分量から地球誕生の過程を知る絶好の素材ですが、地球内部の奥深くにあるため、いまだに手にした人はいません。マントルに到達するには地面を深く掘っていく必要がありますが、地殻の厚さは地上よりも海中の方が薄いため海中を掘るのが技術的なハードルが低く、海底を掘り進むため深海掘削船が用いられます。

比較的地殻が薄い海底とは言え地殻の厚さは最低でも6キロメートルはあり、これを掘削船に搭載する金属のドリルで掘り進めていくという作業がマントル採掘プロジェクトでは行われます。マントル到達を目指すプロジェクトはアメリカの「モホール計画」として1950年代後半にスタートしましたが、技術的・金銭的な問題のため頓挫しました。モホール計画は、日本の海洋科学技術機構(JAMSTEC)が率いる海洋掘削科学研究開発センター(ODS)が主導する「21世紀モホール計画」が引き継ぐ形で国際プロジェクトとしてリスタートし、探査船「ちきゅう」によるマントル掘削計画「まんとるプロジェクト」が発足。ついに、2017年9月にハワイ沖で事前調査に着手する段階に到達したというわけです。

すでに掘り進める海底はハワイ沖、コスタリカ沖、メキシコ沖の太平洋にある3ポイントに候補が絞られているとのこと。水深4000メートル下の海底で、最もマントル到達の可能性の高い場所が選び出されることになります。

ODSによるとマントル到達までには「深い水域」「硬い岩石」「熱」の3つの大きな壁が立ちはだかるとのこと。海底下の岩石は非常に硬く、ドリルの刃がすぐに摩耗するため頻繁な交換が必要で、さらにマントル最上部は200度以上の高温であると予想されるため、この温度に耐えられるドリルの開発が必要となります。すでに海底を掘り進めるドリルを入れる軽くて耐久性の高いパイプの開発に成功しており、技術的には掘削は可能だと国際プロジェクトチームは考えています。

探査船「ちきゅう」は従来の船舶の3倍以上の掘削能力を誇ることから、人類初のマントルへの到達成功が期待されています。まずは2017年9月中旬にJAMSTECの深海調査船「かいれい」でハワイ北東の海域で約2週間調査が行われ、音波を使って地殻の厚さや温度を観測するとのこと。その後、地球深部探査船「ちきゅう」によるマントル到達プロジェクトは、2020年代初めに掘削がスタートする予定です。

カテゴリー: その他, 技術 | 地球内部のマントルまで掘り進めるプロジェクト はコメントを受け付けていません。

東大、道路からインホイールモータへの走行中ワイヤレス給電に成功

[マイナビニュース2017年4月05日配信]

東京大学は、同大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志准教授らの研究グループが、東洋電機製造、日本精工と共同で、道路からインホイールモータ(IWM)に直接、走行中給電できる「第2世代ワイヤレスインホイールモータ」を開発し、世界で初めて実車での走行に成功したことを発表した。

走行中給電を行う第2世代ワイヤレスIWM

世界初となる同技術は、クルマのホイール内部に駆動モータを配置するIWMタイプの電気自動車へ、道路に設置したコイルから「磁界共振結合方式」でワイヤレス給電するもの。

電気自動車の「従来のガソリン車などに比べ充電1回あたりの航続距離が短い」という課題をクリアするため、バッテリの搭載量は必要最小限にとどめ、足りない分のエネルギーを道路に設けたコイルから走行中にワイヤレスで送って補う「走行中給電」の実現に向け、世界的に多くの研究が行われている。これまで検討されてきた走行中給電の多くは、道路に設けたコイルから車体の底に装着した受電コイルに電力を送り、車載バッテリへ給電をするものであった。

今回、同研究グループが開発した「第2世代ワイヤレスIWM」は、道路のコイルから車体のコイルへ給電するのではなく、道路のコイルからIWMに直接、走行中ワイヤレス給電するもの。これにより、安全性、環境性、快適性に優れる電気自動車を実現するという。

走行中給電を行う第2世代ワイヤレスIWM

走行中給電では、道路のコイルとクルマの受電コイルの相対位置が走行状況によって変化する。「第2世代ワイヤレスIWM」では、送受電コイルの位置ずれに強い磁界共振結合による方式を採用し、車体に上下運動が生じても道路と受電コイルとの距離は一定に保たれるようになっている。

また、電気自動車は減速時のエネルギーを回収できるうえ、走行中給電が加わるとIWMではエネルギーの出し入れが頻繁に行われることから、IWMに蓄電デバイスを内蔵することで、安定的な動作と高効率化を可能となっている。蓄電デバイスには、大電力を扱うことができ、充放電回数が多くても劣化しにくいリチウムイオンキャパシタを採用している。

さらに、ワイヤレス給電を構成する変換器全てにSiCを採用したのに加え、モータの回転軸とホイールの回転軸をずらした新しい構造のオフセット軸減速機を内蔵したハブ軸受ユニットによって小型化を実現し、1輪あたりのモータ出力が12kW(4輪すべてに装着すると48kW)と、実験車両のベースである市販の電気自動車と同等の走行性能が得られるということだ(実験車両は前輪2輪のみ装着)。また、車載バッテリに走行中給電する方法と比べて1つの道路側コイルから送る電力は小さくできるので、道路側設備の簡易化にもつながるという。

走行中給電コース

なお、走行中給電は、高速道路において走行中給電で得たエネルギーのみで走行したり、車載バッテリを充電しながら走行したり、あるいは、市街地の信号のある交差点付近で給電してIWMにエネルギーを蓄え、発進時の加速エネルギーとして使うといった利用法が考えられる。ほかにも、路線バスや空港・工場といった決まったルートに走行中給電設備を設置して、このルートを走行する車両のバッテリ搭載量を大幅に減らすことも可能となる。同研究グループは、今回提案した走行中給電の新技術が、IWMの普及と実用化の大きな後押しとなり、究極の電気自動車としてクルマ社会の安全・安心や地球環境の保全に貢献することを期待しているということだ。

高効率動作を可能としたエネルギーマネジメント技術
走行中給電コース
カテゴリー: エネルギー, 技術, , 開発 | 東大、道路からインホイールモータへの走行中ワイヤレス給電に成功 はコメントを受け付けていません。

「ムーアの法則、いまだ健在」米インテルが主張

[日本経済新聞電子版2017年4月06日配信]

あらゆる電子機器に組み込まれている半導体の進化はなお続いており、当社は依然として半導体製造技術のリーダーだ――。半導体最大手の米インテルはこう強調した。

■「半導体の集積度は2年で倍増」の法則

半導体の集積度が2年で倍増することを示したグラフ

インテルは「ムーアの法則(同社のゴードン・ムーア名誉会長が1965年に予測した、半導体の集積度は2年で倍増するという法則)」に沿って事業を営んでいる。同社のステイシー・スミス上級副社長はサンフランシスコで開催されたイベントで、回路線幅が10ナノ(ナノは10億分の1)メートル(nm)の製造プロセスへの移行を発表。ムーアの法則は順調だと強調した。

スミス氏は「当社のトランジスタ1個あたりの製造コストはこれまでよりもやや速いペースで下がっている」と表明。「ムーアの法則は健在だ。当社はさらに大きなステップに踏み出しつつあり、業界を3年リードしている」と語った。

半導体業界はこの数十年間、ムーアの法則と共に歩んできた。この進化により、かつては1部屋全体分のコンピューターを駆使していた演算能力が、スマートフォン(スマホ)1台で可能になった。あらゆる産業が半導体産業と同じような進歩を遂げていたら、1ガロンのガソリンで太陽まで行き、1平方キロメートルの土地で世界の全人口を養い、光の速さの300倍で移動できただろう、とスミス氏は話す。

米半導体大手クアルコムは先に、韓国サムスン電子が生み出した10nmのプロセスを新製品「スナップドラゴン835」に採用することを明らかにした。だが、インテルは自社こそが世界最先端の半導体製造技術を持ち、競合他社よりも1世代先を進んでいると固く信じている。

1nmには結晶格子にシリコン原子を4個しか配置できない。10nmのプロセスでは、回路は10nmしか離れていない。ちなみに、ウイルスの大きさは約100nmだ。

米インテルのゴードン・ムーア名誉会長

生産・業務・販売部門の上級副社長であるスミス氏は記者会見で、インテルはリードを奪われてはいないと強調。ライバルによる新たな10nmの製造プロセスは、インテルが3年前に導入した14nmのプロセスと同水準だと一蹴した。

インテルでシニアフェローを務めるマーク・ボーア氏もこのイベントで、ライバルが10nmのチップに搭載できるトランジスタの集積度は、インテルの14nmの集積度と同じだとの見方を示した。インテルは年内に「正真正銘の」10nmチップ発売を計画している。これはつまり、インテルの製造コストは常に30%低いという意味になる。

ボーア氏は「各社は好きなノード名をつけられる。ノード名の意味が失われているという点では、われわれも同意できる」と皮肉った。

半導体工場を新設するには約100億ドルの費用がかかる。工場に設備を備えるにはさらに約70億ドルが必要だ。インテルがこの5年間で製造施設に投じた額は500億ドルに上る。

スミス氏によると、10年前には最先端の半導体工場を保有する企業は18社あった。今ではインテル、米グローバルファウンドリーズ、サムスン電子、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)の4社しかない。

グローバルファウンドリーズの幹部であるアラン・マトリシー氏は声明で「当社に続き、他社も低電力の22nmプロセッサを採用していることをうれしく思う。当社は2年近く前、無線やバッテリー駆動のインテリジェントシステム向けに22nmのFD-SOIプロセス「22FDX」を導入した。プレーナ型やFinFETではなくFD-SOIを選んだのは、性能、パワー、利用分野が総合的に最も優れているからだ。当社のプロセスは生産に適しており、顧客からの引き合いも強い。モバイルやすべてのモノがネットにつながる『IoT』、自動車など急成長している分野で50社以上から積極的な働きかけがある」と述べた。

インテルは世界全体に10万人の社員を抱える。米国では5万人が働き、製造部門の社員は3万人に上る。2011~15年の米国での投資額は70億ドルで、米国内総生産(GDP)に年900億ドル貢献している。

By Dean Takahashi

(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

カテゴリー: その他, 開発 | 「ムーアの法則、いまだ健在」米インテルが主張 はコメントを受け付けていません。