蓄電池付きで欠点克服、来るかメガソーラー第2波


[日本経済新聞電子版2017年2月21日配信]

北海道で相次ぎ稼働

太陽光発電ビジネスは終わっていない――。買い取り価格の大幅引き下げが続き、すっかり下火になったかに見えるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設。蓄電池の利用で、もう一度、拡大の可能性を試す動きが北海道から始まっている。民間企業が開発した蓄電池付き太陽光発電所が2017年、道内で相次いで稼働を予定している。

■日が陰った時などに蓄電池から放電

太陽光発電パネルだけでなく、蓄電池も近年は単価下落が著しい。将来の市場拡大を見据えて、各社とも、先に蓄電池を併設した発電所の運営ノウハウを得ようと競い始めている。

北海道など規模の小さなエリアでは、発電量の変動の大きさを理由に太陽光発電の導入量は制限されてきた。蓄電池の有効利用が広がれば、太陽光発電普及の第2幕が開くかもしれない。

フージャースHDが建設している蓄電池付き太陽光発電所(北海道日高町、右下の建屋内に蓄電池が入っている)

北海道日高町。高速道路を下りてすぐの山あいに、マンションデベロッパーのフージャースホールディングスが建設する太陽光発電所がある。3月から運転を開始する予定だ。出力9000キロワットは北海道ではそれほど目立つ規模ではないが、最大の特徴は敷地の端に置かれた建物の中のリチウムイオン電池にある。

日が陰ると、太陽光発電所の発電量は急減する。電力会社は火力発電所に投入する燃料を増やして補うが、太陽光の規模が大きくなれば、需給バランスが乱れる原因になりかねない。

蓄電池を併設すると、発電量が急減したときは蓄電池から放電、急増したときは蓄電池に充電する。送電線に流れる電気の量の変動幅を小さくし、送電網全体の安定を保つ仕組みだ。

■太陽光バブルはじけ、最終赤字に転落する業者も

割安な土地が手に入りやすい北海道は全国よりも速いスピードで太陽光発電所の建設が進んだ。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が12年に始まると、12年度末に10万キロワットだった道内の太陽光の発電能力は13年度末に35万キロワット、14年度末には61万キロワットと倍々に増えた。

北海道電力の送電網の規模は東京電力ホールディングスの9分の1ほど。太陽光が増えすぎると送電網が不安定になるとして、北海道電は2000キロワットを超えるメガソーラーは、蓄電池の敷設などで出力変動を緩和する対策がなければ、新規案件を受け付けなくなった。

買い取り価格は毎年引き下げが続いている。15年度以降は全国的にも太陽光発電所の新たな計画は増えていない。

過熱した市場に冷や水が浴びせられ、市場は一変した。その影響を大きく受けたのが、太陽光バブルに沸いていた電設工事会社だ。

北海道の地場会社である北弘電社は太陽光発電所の建設工事が本格化する13年度は売上高が前年度比4割増えた。ところが、16年度は受注済み案件のキャンセルもあり、売上高が前年度比14%減。10年ぶりの最終赤字に転落する見通しだ。

■蓄電池価格の下落で併設型でも採算合うように

北弘電社はフージャースHEが日高町で進める蓄電池付き発電所を建設し、完成後は運営も担う。太陽光の変調で不振にあえぐなか、次への可能性として期待しているのが、他ならぬこの蓄電池付き太陽光なのだ。

「蓄電池を使って制御する技術はまだ完成していない」(稲村尊史常務)。だからこそ、先んじて稼働し、運転の知見をためることで、新市場を創り出せると踏んでいる。蓄電池を効率的に使うノウハウを得られれば、数カ所の発電所を1つの蓄電池で制御し、導入負担を軽減する仕組み作りも可能とみる。

蓄電池は電気自動車の市場拡大で生産量が世界的に増えている。その結果、「ここ数年で2~3割は単価が落ちている」(太陽光発電所の開発会社)。発電パネルの価格は「固定価格買い取り制度の開始後、半額程度」(同)。蓄電池を併設した太陽光発電所は数年前なら、経済的に考えられなかったが、最近では17年度申請分の買い取り価格の21円でも成り立つとみる投資家もいるという。

道内では17年、蓄電池付きメガソーラーの運転開始が相次ぐ。4月には大林組が釧路町で建設中の出力1万4500キロワットの発電所、11月にはスマートソーラー(東京・中央)が新ひだか町で1万7000キロワットの発電所の運転を開始する。北海道電によれば、蓄電池付きで申し込み済みのメガソーラーは全道で19件、出力で43.2万キロワットに上る。

再生エネは燃料費がゼロ、発電時の二酸化炭素(CO2)も出さないうえに、処理が困難な廃棄物を出すこともない。割安になった蓄電池の利用で、出力変動という普及のハードルを越えることができれば、原子力や火力を含めた、「ベストミックス」のあり方が変わる可能性も秘めている。

(札幌支社 宇野沢晋一郎)

Category: エネルギー, 太陽光発電, 技術. Bookmark the permalink.