希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

■ 西暦2007年:ネオジム磁石これからの課題

磁石性能についてはさらに改善・進化し、ネオジム磁石としては近い将来、60MGOe近くまでの製品の量産化が期待されます。しかしながら、大きな課題は希土類資源の供給問題であり、既に現実の問題になりつつあります。

(1)主原料のネオジム(Nd)を100%中国の供給に頼っていること

この問題はグローバルな視点からは、埋蔵量など資源不足は心配ないといえますが、供給元が偏っていることは政治的な影響を受けやすく、リスクを常にはらんでいることになります。Sm-Co磁石時代のコバルト価格の乱高下はまだ記憶に残っていることでしょう。いずれにしても、日本の立場としては官民一体でネオジム資源(希土類資源)の新たな開発に目を向ける必要があります。

(2)副原料のディスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)の世界的資源不足

重希土類であるディスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)は現在、ネオジムと同じく中国からの供給に頼っています。しかも、中国の既存鉱床のみでは世界的にみても今後の需要をまかないきれないのは明白です。ハイブリッドカーや各種家電モータのネオジム磁石の需要が急激に高まってきていますが、これらの用途へのネオジム磁石は、使用温度や大きな逆磁界を考慮した高保磁力グレードがほとんどです。

現在、このグレードのネオジム磁石はDyやTbが保磁力(Hcj)を高めるために3~10重量%含有さ れていますから、深刻な問題になる恐れがあります。したがって、(1)DyやTbに頼ることなく保磁力Hcjを大きくする技術開発(2)温度特性を飛躍的に改善した材料開発(3)世界的な視野での新しい重希土類の鉱床開発等が急務となります。既に官民のプロジェクトが動き出しているようですが、産業界にダメージを与えるような大きな問題になる前に、できるだけ早く成果が出ることを期待します。

永久磁石(マグネット)の歴史と磁気科学の発展69
永久磁石(マグネット)の歴史と磁気科学の発展70
永久磁石(マグネット)の歴史と磁気科学の発展71

重希土類の新鉱床として、層状鉄-マンガン鉱床が注目されています。世界中に広く分布し、日本列島にも随所に存在します。重希土類の含有量はわずかですが、鉄-マンガン全体の採掘量が膨大になれば、磁石用の重希土類はかなりのレベルで補えると考えられています。