希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

ネオジム磁石の中のディスプロシウムのお話(その1)

ネオジム磁石の原料鉱石についての最近の話題について、2回に分けてご報告いたします。

中国に頼っている原料は、当分不足ぎみの状態が続きますが、将来の供給は国内で可能かもしれないという話題です。

最近、日本の研究者が発見した話題の鉱石とは何?

(社)未踏科学技術協会・磁性材料研究会21、2006年度講演会(平成19年3月1日、於:明治大学アカデミーコモン、講演者:産業技術総合研究所:渡辺 寧 氏)の講演をもとに、その概要をまとめてみました。

1、磁石成分のディスプロシウム(Dy)について

NeoMagのホームページに最近公開いたしました“磁性材料・希土類金属最新動向”の欄にも掲載されていますが、ネオジム磁石の成分として、ネオジム(Nd)、Fe(鉄)、ホウ素(B)の主成分の他に、磁石の保磁力を高めるためにネオジムの一部を、同じ希土類金属の仲間のディスプロシウム(Dy)という金属で置換えています。

特に高保磁力、高耐熱のグレードはハイブリッドカーをはじめとする自動車やエアコンモーター、小型発電機等に使われ、Dyが重量比で5%以上含有されています。しかしながら、この金属の鉱石中の含有量および含有する鉱石が極端に少なく、世界的に不足する状況になってきていて、価格も急騰しています。今後、ネオジム磁石の需要がさらに増大することは確実で、このDyの新しい供給源を見つけることと、磁石中のDy量をいかに減らすことが重要な課題となっています。

ネオジム磁石の中のディスプロシウムのお話-画像1

2、現在利用されているDyを含有する鉱石

重希土であるDyが多く含まれる鉱石はイオン吸着型鉱石で、下図では代表として花崗岩風化型の鉱石埋蔵量を注意してご覧ください。軽希土のNdの埋蔵量は含有鉱石のカーボナタイトが豊富で、その含有比率も高く、将来も全く心配はないのですが、Dyはモナザイトやバストネサイト等のカーボナタイト系鉱石中にはほんのわずかしか含有されていません。また、イオン吸着型鉱石でも花崗岩風化型はその一部に過ぎません。

従って、今の技術のままでは数年でDyは掘りつくされてしまいます。このことは日本だけではなく、中国を含めて世界的に大きな問題になりつつあります。

ネオジム磁石の中のディスプロシウムのお話-画像2

3、今後の課題と新鉱床の開発について

Dyの低減化は文部科学省・通産省・公的研究機関・民間の官民一体で本格的な技術開発に乗り出すことになりましたが、希土類新鉱床の開発も重要なプログラムであり、渡辺氏は下記のような提言をすると同時に、新鉱床の可能性について、興味深い発表をされました。

ネオジム磁石の中のディスプロシウムのお話-画像3

※渡辺氏の希土類を含む新鉱床についての講演詳細は、次回ご報告いたします。