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おもしろい宇宙の科学(15)<太陽系-その7(地球)>

JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」を探査中ですが、さらに10月20日には、水星探査機「みお」が水星探査に出発しました。いずれにしても、日本の宇宙探査技術が宇宙の謎を少しずつ解いてゆくことになるのですから、これからの成果が大いに楽しみですね。

さて、今月も引き続き、太陽系の惑星としての「地球」について勉強してみましょう。

[地球-11]地球の大気と海の起源

今から約46億年前に原始太陽と小さな惑星が形成され、これらの小惑星が衝突を繰り返して地球やその他の惑星に成長していきます。この頃の地球は、微小惑星の衝突エネルギーと 水蒸気大気の保温効果で地表面の温度は1500℃以上になり、地表には鉱物が溶けたマグマの海ができ、水蒸気、二酸化炭素、窒素からなる大気で覆われて、まだ液体の水はありませんでした。

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地球が現在の大きさ近くになると、地表の温度が徐々に下がり、大気中の水蒸気が雨となり海を形成しました。この雨には火山ガスに含まれる塩酸ガスや亜硫酸ガスが溶けて酸性でしたので、鉱物を溶かして、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムなどの鉱物の成分を海に溶かし込みました。こうして、地球誕生後約1億年までに、地球上のほとんどの元素を含んだ塩辛い、後に生命を生み出す海の原型ができ上がりました。

鉱物を溶かし込んで中和された海水に、大気中の二酸化炭素が溶け込み、地球の大気は窒素を主成分とする大気に進化していきます。そして約35億年前の光合成生物の誕生により、光のエネルギーを使って二酸化炭素と水から有機物が合成され、気体状の酸素が生成されて現在の組成の大気へと変化していきます。そして海水中では、溶け込んだ二酸化炭素や酸素の働きにより、原始の海に含まれていた様々な成分が沈澱して取り除かれ、主にナトリウムイオンと塩化物イオンを含む、現在の塩辛い海水の組成に変化しました。この塩辛い味は、ナトリウムイオンと塩化物イオンの組み合わせが示す特徴です。

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[地球-12]ハビタブル・ゾーン

生命の生存が可能な天体がある領域、言い換えると液体の海が存在できる領域を「ハビタブル・ゾーン」といいます。液体の水が存在できるかどうかは、天体大気のもつ蒸気圧つまり、大気に含まれる物質が気体でいられる圧力によって変わります。蒸気圧が低いと、それだけ低い値で蒸発します。たとえば、220気圧で370℃、100気圧では0℃まで蒸発しません。

太陽から受け取る放射エネルギーも海の存在に大きく関係します。一般に単位面積あたりの太陽放射エネルギーが現在の地球の以上になると、どのよう1.4倍な大気量でも海は蒸発してしまうといわれています。金星が海を保てなかったはこのためだと考えられています。

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[地球-13]膨張する太陽と海

太陽は少しずつ膨張し、放射するエネルギー量を増やしています。東京工業大学の井田茂によれば、現在の太陽系のハビタブル・ゾーンは最大限で0.85~1.6天文単位(地球と太陽の距離が 1.0天文単位、火星軌道半径は約1.52天文単位)ですが、これが60億年後になると地球軌道からはずれ、1.2~2.2天文単位になるということです。

もっとも、50億年後には膨張した太陽に 地球が飲み込まれるという話もあります。ハビタブル・ゾーンよりも内側であれば、太陽からの放射エネルギーが多すぎて金星のように海は蒸発してしまい、それよりも遠ければ海は凍結してしまいます。

木星の衛星エウロパには、凍った海の下に液体の水があると推測されています。ハビタブル・ゾーンからははずれますが、巨大衛星には太陽以外にも、無視できない熱源があると考えられていて、生命がいる可能性も指摘されています。

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[地球-14]地球の生命の誕生

地球最古の生命を発見する研究の競争は、今のところ、コペンハーゲン大学のミニック・ロージングに軍配が上がっています。彼はグリーンランドのイスア地方にある、38億年前の岩の炭素成分分析から、生命の痕跡を確認したのでした。

それでは、その生命はどのようにして誕生したのでしょうか。

現在の学説では地球が誕生してから6億年ほど経った頃(40億年前)、「海」で生命が誕生したといわれています。当時の地表は強い紫外線や荷電粒子が容赦なく降り注ぎ、生命にとっては致命的な環境でした。

したがって、生命が存在できる環境は海中だけでした。

原始の海には生命に必要な有機分子(アミノ酸、核酸塩基、糖、脂肪酸、炭化水素など)が豊富に存在していたと考えられています。それは、星間物質に含まれ小天体と一緒に地球に到達したものもあれば、紫外線、荷電粒子、落雷などにより活性化されていた地球の原始大気中でできたものかもしれません。

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この中で、多くの科学者は、最初の生命が熱水噴出孔付近で生まれたと考えています。初期の生命は、おそらく生体活動に必要なエネルギーを自らつくれなかったといわれています。一方で熱水噴出孔には、豊富なミネラルやエネルギーがあり、生命がこれらを利用できると考えられるからです。

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起源はどうあれ生命の材料に溢れていた原始の海で生命は誕生しました。海水に溶けこんだ有機物が化学進化により最初期の生命である原始生命体になったという「化学進化説」が現在の主流となっています。化学進化はアミノ酸や核酸が化学的にくっついたり離れたりしている中から、しだいにたんぱく質と核酸を薄い膜の中に収め、自己の形をもち、増殖することが出来るようになったと考えられています。生命は身近にある材料を組み合わせて誕生し、その基本構成は現在まで受け継がれています。

 

しかし、この化学進化が生命誕生の唯一の考え方というわけではありません。生命とは神の御手によって創造されたものとする考え方や、生命の起源は地球外にあるという考え方も併存しています。たとえば、生命の材料を星間分子雲に求める学説もあります。地球生物が作り出すアミノ酸の光学異性体型がほぼすべて左手型であり、宇宙の星間分子雲に存在するアミノ酸も(右手型アミノ酸は宇宙線により破壊されやすいことから)左手型となります。このため、原始生命のもとになったアミノ酸は宇宙起源のものであるとしています。

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[地球-15]火星にも生命の可能性

惑星に生命が誕生するためには液体の海と同時に、火山活動が重要な要素だとされています。なぜなら、熱水噴出孔のように初期生命がエネルギーを得るために必要であり、惑星内で物質が循環するためにも必要だからです。

現在の火星は、ハビタプル・ソーン内にあるといわれています。探査機オポチュニティーは2004年、続々と火星に水があった証拠を送りつけてきました。活発な火山活動があった証拠として、太陽系最大の火山のオリンポス山もあります。火星はかって、生命が存在する条件を十分満たしていたのです。太陽系にはほかにも、木星の衛星エウロパや、土星の衛星タイタンに生命があるのではと期待が高まっています。

[地球-16]地球の大陸移動

大陸が移動するという説をはじめて唱えたのはアルフレッド・ウェゲナーでしたが、1920年代ではこの説は受け入れられませんでした。ところが50年代に海底探査が進み、海底にある海嶺が大地を引き裂くことや、岩石に残る磁気によって岩石のできた場所が判明、しだいに大陸移動のようすが明らかになりました。

表層にある地殻とマントルの最上部は、厚さ70~150km のプレートという構造をつくります。地球表面は十数枚のプレートからなり、プレートはマントルの動きにつねに左右されています。プレートは衝突したり、離れたりすることで火山活動や地震などをおこし、山脈や海嶺などの地形や、複数の大陸が集まった超大陸を生みます。1960年代には、こうした<「プレート・テクトニクス理論」/span>がほぼ完成しました。

地球が熱を放出することによって地球の表面は変化していきます。長い時間をたどっていきますと、地球の営みや大陸の移動が見えてきます。大地の移動の歴史は、大陸にある岩石の形成年代や種類、分布をくわしく調べることによって、再現できます。動きを未来へ延長していけば、大陸の移動が予想できます。大陸の未来の配置がわかるのです。

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<大陸の移動の歴史>

*7億~6億年前

大陸移動の歴史は、大陸の集合と分裂の繰り返しです。6億年前、ゴンドワナ超大陸が南半球から赤道にかけてありました。ゴンドワナ超大陸の真ん中に、太平洋スーパープルーム(マントルが大きく上昇・下降する現象)が上昇してきたことによって、ゴンドワナ超大陸は分裂しはじめました。

*2億年前

ゴンドワナ超大陸が分裂した後、大陸がふたたび集合してパンゲア超大陸が生まれました。アフリカと南アメリカ大陸の間、ヨーロッパと北アメリカ大陸の間、今の大西洋にそって、大西洋スーパープルームが上昇してきました。そしてふたたびパンゲア超大陸が分裂しはじめました。

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*8,300万年前

パンゲア超大陸は分裂をつづけ、太平洋と大西洋のスーパープルームが断続的に活動した時期です。このスーパープルームの活動で、海洋底に火山活動によるいくつもの巨大な火山の台地である海台ができました。

*現在

現在は、大陸が分裂してしまった時期です。太平洋スーパープルームの活動はしだいにおとろえてきました。

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*未来:2 億5,000万年後

大西洋スーパープルームの活動がつづき、太平洋がとじていきます。そして、太平洋とインド洋が広がり、2億5,000万年後にはべつの超大陸ができると推測されます。

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以上で2回にわたった「地球」についての調査、勉強は終わります。地球については、前回テーマであった「地球の科学と自然災害」でも、地球の自然について詳細にご報告しましたので、もう一度振り返って調べてみるのも良いかもしれません。

次回は「木星」についてのお話となります。ご期待ください。

<参考・引用資料>

「徹底図解 宇宙のしくみ」編集・発行元:新星出版社

「RISE」国立天文台月惑星探査検討室

「NASAホームページ」

「JAXAホームページ」

「地球と生命の誕生と進化」

「GIBEON」

「AstroArts」

「TOCANA」