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超伝導磁石の可能性と応用シリーズ(1)

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【超伝導とは何か?】

読者の皆さんも“超伝導”という言葉をテレビなどでたびたび聞いていると思います。なんとなく分かっているようですが、いざ説明しようとすると困ってしまうのではないでしょうか。

超伝導は“超電導”とも書かれ、前者は化学、物理の分野、後者は工学の分野で使われることが多いようです。また、“超伝導磁石”、“超電導磁石”、“超電導電磁石”などと呼ばれます。

ここで覚えておいて欲しいのは、皆さんが一般的に見たり聞いたりする超伝導磁石は、実際は超伝導電磁石であり、永久磁石ではないということです。近年、この超伝導の電磁石を実際に応用した部品や製品が先端技術分野で実用化され始めていますが、超伝導永久磁石の実現はもう少し先になりそうです。いずれにしても、今月から何回かに分け、この“超伝導”あるいは“超伝導磁石”、“超伝導永久磁石”について分かりやすく解説すると共に、最先端の応用について何例か取り上げてみましょう。

1.超伝導現象の特徴

1911年オランダのヘイケ・ケメルリング・オネスによって、水銀が液体ヘリウム温度4.2K(ゼロKは-273℃)で突然電気抵抗がゼロになることを発見し、以来種々の物質の“転移温度Tc(超伝導に相転移する温度=臨界温度)”が測定されてきました。なお、オネスはヘリウムの液化と超伝導の発見で、1913年にノーベル物理学賞を受けました。その後、1933年ドイツの物理学者ヴァルター・マイスナーとローベルト・オクセンフェルトによって超伝導特有の電気抵抗ゼロ以外の現象“完全反磁性”が発見され、“マイスナー効果”と命名されました。

つまり、超伝導現象とは、

  • 物質の電気抵抗がゼロになる。
  • マイスナー効果(完全反磁性になる=物質内部から磁力線が排除される)が現れる。

という、2つの現象が同時に起こることを指します。次に、この2つの現象を詳しく説明いたしましょう。

2.電気抵抗ゼロの発見

銅や鉄などの金属が電気を通し易いのは、自由電子という動きやすい電子を持っているためです。

電位をかけるとこの自由電子がプラス極に移動することにより、その反対に見かけ上、プラス極からマイナス極に電流が流れるのです。ところが、金属の結晶格子は熱により、わずかに細かく振動していて、その振動により自由電子の移動が一部妨げられてしまいます。これが電気抵抗となるのですが、この振動は温度が高くなるに従い大きくなり、温度が低くなると小さくなります。

つまり高温度では電気抵抗が大きくなり、低温度では電気抵抗が小さくなります。そして、右図のように過電圧をかけると電球が断線するか、または電線がジュール熱により発熱し、益々高温度、高抵抗になり、ついには断線してしまいます。

ところが、もし、金属を極限まで温度を下げる(=冷却する)ことができれば、結晶格子の振動が無くなり、電気抵抗がゼロになり、発熱も無く大電を流すことができる筈です。超伝導という現象は、これを可能にしてくれるのです。そして、ネオスは真空ポンプで、ヘリウムをマイナス1K(-272℃)まで冷却する装置を考案して、世界で初めて超伝導現象を水銀の実験により見つけたのです。

超伝導磁石の可能性と応用シリーズ-画像01

超伝導磁石の可能性と応用シリーズ-画像02

3.マイスナー効果の発見

超伝導体を磁場中に置くと電気抵抗がゼロですから、その瞬間に誘導電流が表面に流れ、外部磁場を打ち消すような磁場が発生し、磁場の侵入を妨げます。これは電磁誘導のレンツの法則でも説明できるもので、“外部磁場に対して逆向きに磁化する=反磁性を示す”ことになるわけです。つまり、右図のように、外部磁場を加えても超伝導体の磁束密度はゼロで磁化しないのです。

なお、超伝導状態ではない温度で先に外部磁場を加えると、物質内部に磁場が侵入しますが、冷却して超伝導状態にすると、磁場が外部に押し出されてしまいます。これは電磁誘導の法則では説明できない超伝導体固有の現象です。マイスナーは、超伝導体は転移温度以下になると電気抵抗ゼロの他に、このような磁場を全く侵入させない反磁性の性質を持つことを発見したのです。

時々テレビ等で実演していますが、永久磁石を超伝導体に近づけると互いに反発し合い、超伝導体または永久磁石が空中に浮かぶのはこのマイスナー効果のためです。(右図参照)

超伝導磁石の可能性と応用シリーズ-画像03

以上のように、今回は超伝導現象についての基本的な解説をさせていただきましたが、次回からはもう少し詳細に、最新の情報を混ぜながらお話をしてゆきたいと思います。

(参考資料)

「トコトンやさしい超伝導の本」 下山淳一 日刊工業新聞社