希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

すぐ近くにあるネオジム磁石(11) <冷蔵庫の中のネオジム磁石>

毎日の生活に欠かせない家庭内の設備のひとつに「冷蔵庫」があります。冷蔵庫が出現した当時は食品や食品材料を冷やして長持ちをさせることが主な役目でした。しかし、近年、この家庭用冷蔵庫の役割は、単に「食品を冷やす」ことではなくなりました。現在は、食品の鮮度維持・冷凍保存・省エネ・使いやすさ・食品管理までを一体化した「家庭の食品保管システム」へ進化し、同時に「IoT家電」の仲間入りも果たしています。そして、この家庭用冷蔵庫の進化の過程で、永久磁石が大きな役割を担ってきました。本章ではこの身近な冷蔵庫の中の各種永久磁石、とりわけネオジム磁石の使われ方について調べてみました。

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家庭用冷蔵庫の基本構造と永久磁石(実際とは異なる部分があります)

<冷蔵庫の基本原理>

冷蔵庫はエアコンと同様に、冷気を作る装置ではなく、「冷媒」という熱を運ぶ物質を循環させ、「ヒートポンプ(蒸気圧縮冷凍」の原理を利用して庫内の熱を庫外へ放出させて冷やす装置です。

■冷媒

現代の日本の家庭用冷蔵庫には、環境を守るためフロンを使わない「R600a(イソブタン)」という炭化水素系のノンフロンガスが使われています。昔の冷蔵庫にはオゾン層を壊すフロンガスが使われていましたが、2004年までに国内の家庭用はすべてノンフロンへ変わりました。

 

■基本原理

冷蔵庫では、主に次の4つの機器で冷媒を循環させ、①~④を繰り返します。

1.圧縮機(コンプレッサー)

・低温・低圧の冷媒ガスを吸い込む。

・圧縮して高温・高圧のガスにする。

・出力はエアコンのコンプレッサーの数分の一。

2.凝縮器(コンデンサー)

・冷媒の熱を冷蔵庫の外へ放出する。

・冷媒は冷やされて液体になる。

3.膨張装置(キャピラリーチューブ等)

・液体冷媒を狭い通路に通して急激に減圧。

・冷媒の温度が大きく低下する。

4.蒸発器(エバポレーター)

・低温になった冷媒が庫内の熱を吸収。

・冷媒が蒸発してガスになり、庫内を冷却する。

磁石のお話-画像460002

家庭用インバーター冷蔵庫の基本原理(機種によって異なる場合があります)

<冷蔵庫の永久磁石>

今回のテーマである永久磁石に注目すると、冷蔵庫の中ではモーターへの利用が重要です。

1.コンプレッサー用モーター

・最も重要な永久磁石用途。

・インバーター駆動の永久磁石型交流同期モーターが使われる機種が多い。

・最近では、焼結ネオジム磁石が使用される埋込磁石型のIPMモーター(Interior Permanent Magnet Motor)が主力。

磁石のお話-画像460003

2.冷却ファンモーター

・蒸発器周辺(冷凍室・冷却室)のファン。

・室内冷気循環用(冷凍室・冷却室・野菜室)ファン。

・DCブラシレスモーターが使用されることが多い。

・ローターにフェライト磁石やネオジムボンド磁石を使う。

3.自動製氷機のモーター

・製氷皿を回転させて氷を落とす機構など。

・小型DCモーターが使用される。

・主にフェライト磁石が使われるが、ネオジムボンド磁石製品もある。

4.ダンパーなどの小型アクチュエーター

・機種によってはステッピングモーターなどを使用。

フェライトボンド磁石ネオジムボンド磁石を使う。

5.ドア・位置検出用の磁石

・磁気センサーと組み合わせてドア開閉を検出する方式など。

フェライト磁石ネオジムボンド磁石を使う。

6.ドアパッキン(ガスケット)

・ドアからの冷気が漏れるのを防ぐため、本体の鉄フレームに吸着させる。

・ゴムや塩ビの中にフェライトゴム磁石フェライトボンド磁石を内蔵。

※以上のように、冷蔵庫では冷却を行うモーターだけではなく、送風・製氷・センサー・ドアシールなど様々な機能に永久磁石が関係しています。

<まとめ>

前章のエアコンと同じように、ネオジム磁石は家庭用冷蔵庫の重要部品として大きな役割を果たしています。近年では、コンプレッサー用としてネオジム磁石を使った埋込磁石型交流同期モータ(IPM)の採用が増加しています。コンプレッサーはエアコンのものより小型であるため、国産製品の1台あたりの焼結ネオジム磁石の使用量はエアコンの数分の一、おおよそ50gになります。その他、ネオジムボンド磁石やフェライト磁石を効率よく使うことにより、家庭用冷蔵庫はますます高性能、低消費電力になっています。今や、家庭用冷蔵庫は、各室の細かな温度管理や野菜室の湿度管理など、デジタル技術やインターネットを使った「家庭の食品保管システム」としての幅広い役目を担いつつあります。