希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

レアメタルの基礎シリーズ(1)

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年も変わり、NeoMag通信は“レアメタル”についての新シリーズでスタートします。最近、大きな問題になっています“レアアース”もこのレアメタルの仲間に入りますが、初回の今月はレアメタルについて、どのような金属、元素なのか、その概略と近年の市況などをお話したいと思います。

1.レアメタルと呼ばれる金属元素とは何か?

さて、資源小国の日本にとって、レアメタル(Rare Metal)=希少金属はハイテク産業に欠かせない存在であり、近年その資源、原料の需給動向が経済活動における大きな問題・課題となってきています。それではレアメタルとは何かというと、経済産業省の使用する定義では、下図に示す47元素の金属元素をレアメタルと呼ぶケースが多く、図中の17種類の希土類元素(レアアース)を1種類とカウントして31元素と数えることもあります。自然界に存在する元素は約90種類であるから、その1/2以上の元素がレアメタルと呼ばれていることになるわけです。

モータの基礎と永久磁石シリーズ-画像0101

レアメタルと呼ばれている元素は、おおよそ以下のような性格を持っています。

(1)将来、安定供給が困難になる可能性が、他の金属に比べて相対的に高い。その理由は、

■資源の埋蔵量が少ない。

■埋蔵量は多くても経済的に採掘可能な品位の高い鉱石を産出する鉱床が少ない。

■埋蔵鉱量や生産量が特定の国に著しく偏在している。

(2)高度な技術や大きなエネルギーが必要などの理由によって、鉱石からの精錬が容易ではない。

(3)何らかの工業的な利用価値がある。

(4)古くからの貴金属である金、銀はレアメタルとは呼ばれない。

(5)希土類元素は特性が似ているためと、以前は分離が困難なため混合物として扱われることが多かったので、スカンジウムとイットリウムおよびランタノイドの希土類元素は一括してレアメタルに含められている。

生産量は少ないものの、今やレアメタルは自動車やエレクトロニクスなどの基幹産業に欠かせない金属になっています。例えばネオジムはハイブリッド自動車の動力モータやハードディスクの回転モータ、VCMに、リチウムやコバルトは携帯電話の充電池の材料に、プラチナは自動車の排ガス浄化装置に、タングステンは工具や金型の超硬合金に使われています。このように、鉄が「産業のコメ」といわれるのに対して、レアメタルは「産業のビタミン」とも呼ばれます。

2.レアメタルの国際的な需給状況

ここ数年、レアメタルの国際市場価格が軒並み上がっています。 2002年から2010年までの8年間で、ニッケル、ネオジム、タングステン、プラチナなど3倍から10倍以上大幅に価格が上昇しました。新興国の台頭で、自動車や携帯電話などの生産量が急速に増えて需要がひっ迫しているだけでなく、中国やロシア、アフリカといった資源産出国が、レアメタルの生産や輸出を制限したり、自国内での需要を優先する政策を取り始めたことが大きな理由です。

世界の産出シェアをみると、中国はレアアースの93%、タングステンの90%を占めます。また南アフリカは、プラチナの78%、クロムの43%を産出します。このように産出国が一部に限定されると、消費国は産出国の生産計画や戦略に大きく左右されます。実際に、中国は2006年から現在までに金属原料の輸出関税を何回も引き上げ、さらにレアアースのように輸出規制を行うような事態になっています。また、南アフリカもレアメタルの国際価格の上昇に合わせて課税額を増やす制度を検討しています。

モータの基礎と永久磁石シリーズ-画像0102

3.レアメタルの主な用途

近年の科学技術の発展・進歩は、工業製品や電子機器などの高性能化・小型化を進めていますが、同時にレアメタルの使用が急速に拡大しています。したがって、レアメタルは今や「産業のビタミン」から「産業の生命線」になっているといえます。以下、その主な用途について列記してみました。

(3-1)以前からの用途

■鉄鋼の高機能化(ステンレス鋼、高張力鋼、耐熱鋼、高速度鋼)のための添加物

ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タングステン(W)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ミッシュメタル (MM:混合希土)など

■超硬合金工具

ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、タングステン(W)、コバルト(Co)、バナジウム(V)、タンタル(Ta)など

■蛍光灯用の蛍光材料

イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)

■自動車排ガス浄化用触媒

白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)

■小型コンデンサ

タンタル(Ta)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ランタン(La)

(3-2)近年拡大している用途

■液晶テレビ、プラズマテレビ、PCディスプレイ

インジウム (In、透明電極用)

■リチウムイオン二次電池

リチウム(Li)(正極材)、コバルト(Co)(正極材)

■モータ用永久磁石(希土類磁石、高性能フェライト磁石)

ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)、ランタン(La)、コバルト(Co)

■鉛代替材料(鉛フリーハンダ、快削性銅合金

ビスマス(Bi)

■発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)

ガリウム(Ga)、インジウム(In)

■ガリウム砒素(GaAs)半導体

ガリウム(Ga)

(3-3)将来急拡大が予想される用途

■燃料電池

白金(Pt)(触媒)、パラジウム(Pd)(水素分離膜)

■色素増感型太陽電池、有機薄膜太陽電池

インジウム(In、透明電極用)

■熱電変換素子

ビスマス(Bi)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)

4.レアメタルの価格推移

レアメタルの需要が急増し、特に最近10年間はその価格が高騰してきています。

これらの要因は種々ありますが、まとめてみると下記のようになるのではないでしょうか。

(1)新興国も加わった世界規模の近代工業化による「資源の長期的な需要増加」。

(2)「特定資源」が必要なハイテク製品の開発と世界規模の急速な普及。

(3)環境規制による代替機能「特定物質」の需要発生と需要増加。

モータの基礎と永久磁石シリーズ-画像0103

5.レアメタル問題の影響を受け易い日本と今後の課題

世界的にみて、レアアースを筆頭にほとんどのレアメタルの需要が日本企業に集中しています。これは、レアメタルを大量に使用する電子機器、自動車をはじめとするハイテク産業が、特に日本に多いことに他なりません。したがって、現在日本が直面するレアメタルの供給不安は日本が自ら解決して行かなければならない状況に追い込まれています。それではどのような解決策があるのでしょうか。次に、現在試みられている種々の方策を列記してみました。

(1)レアメタルの利用技術改善により使用量を削減する。

(2)代替材料でレアメタルの機能を置き換える。

(3)レアメタルのリサイクル技術・システムを確立する。

(4)新たなレアメタル資源、鉱山の探索を行い、新規供給源とする。

(5)レアメタル資源の備蓄を行う。

等々があり、それぞれの方策に対して産官一体となって取り組みを始めています。

以上、レアメタルについての総合的な解説をさせていただきましたが、次回からは、各種レアメタルについて、具体的な資源分布、精製・抽出製法、用途などについてお話をしてゆく予定です。

(参考資料)

「レアメタル 技術開発で供給不安に備える」(独)産業技術総合研究所 レアメタルタスクフォース編 (工業調査会)

「財務省貿易統計」ウェブ資料 統計情報サービス他