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おもしろい宇宙の科学(18)<太陽系-その10(天王星)>

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日本の宇宙探査機「はやぶさ2」が今月(2月)、いよいよ小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンに挑戦します。昨年6月、探査機「はやぶさ2」は3年半の旅を経て、目的地の小惑星「リュウグウ」上空に到着しました。その使命はリュウグウの地表物質を採取して地球に持ち帰るためですが、想像以上に多くの岩石が地表に存在していることがわかり、安全にかつ確実に着地できる見通しがつくまでタッチダウンは延期されていました。しかしながら、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のチームは、数々の観測データを積み上げることにより、危険と隣り合わせの神経戦を覚悟しながらも、ついに「はやぶさ2」タッチダウンのミッションを実行に移すことを決断しました。まもなく、タッチダウン場所も決定するでしょうから、楽しみに待っていましょう。

さて、今月は太陽系の衛星「天王星」についてのお話となります。普段、なじみの薄い天体ですが、一体どのような天体なのか、詳しく調べてみましょう。

[天王星-1]ガスと氷の青い惑星

天王星(Uranus)は、太陽系の太陽に近い方から7番目の惑星です。太陽系の惑星の中で大きさは木星・土星に次ぎ、3番目になります。1781年3月13日、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルにより発見されました。名称のUranusは、ギリシア神話における天の神ウーラノス(Ouranos)のラテン語形です。 最大等級+5.6等のため、地球最接近時は肉眼で見えることもあります。のちにハーシェル以前に恒星として20回以上の観測記録(肉眼観測も含む)があることが判明しました。

天王星は主にガスと多様な氷から成っています。厚さ約7,000km の大気には水素が約83%、ヘリウムが15%、メタンが2%含まれています。内部は重い元素に富み、岩石と氷からなる核のほか、水やメタン、アンモニアが含まれる氷からなるマントルで構成されていると推測されています。酸素、炭素、窒素が多く含まれ、ほとんどが水素とヘリウムでできている木星や土星とは対照的です。

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天王星と海王星は従来木星型惑星に分類されていましたが、木星や土星の核から液体の金属水素の層を除いたものによく似ていて、内部は比較的均一に分布しているようです。こうした違いから、木星型とは異なる天王星型惑星として分類されるようになりました。

天王星が青緑色に見えるのは上層大気に含まれるメタンによって赤色光が吸収されるためです。厳密には、色は、公転に伴って変化します。そのため、「天王星には季節がある」との推測がされています。

天王星の大気は、他のガス惑星と比べると雲がほとんど見られず、のっぺりとした外観を持ちます。

これは、傾いた自転の影響で、昼夜での気温変化がほとんどないためです。しかし、2007年に天王星は春分を迎え、赤道方向に太陽光が当たるようになると、通常の惑星と同じような昼夜の繰り返しが起こるようになったため、気温変化が起こるようになりました。実際、2011年に北半球で「かなとこ雲」に相当する白い雲が観測されました。これは、メタンの氷で出来た雲と考えられています。

[天王星-2]傾いている自転軸と磁場

天王星の特徴の一つとして自転軸が挙げられます。天王星の自転軸の傾きは98度、黄道面に対しほぼ横倒しに倒れています。天王星の自転軸がなぜこれほど傾いているのかは分かっていません。古典的な推察として、天王星がまだ完成されていない時期に大きな原始天体が衝突した(ジャイアント・インパクト)という説があるほか、天王星にはかつて巨大衛星が存在しており、その影響で次第に自転軸が傾斜していったという仮説も唱えられています。また、天王星が現在のように自転軸が公転面に対して横倒しになるには、地球サイズの天体が1回ではなく、2回衝突する必要があることがシミュレーション研究により判明したとの報告もあります。

また、自転軸の傾きのため極周囲の方が赤道周囲よりも太陽からの熱を受けていますが、奇妙な事に赤道周囲の方が極地よりも温度が高いのです。この理由もまだ解明されていません。また、公転周期が84.25301年なので、極点では約42年間、昼または夜が続くということになります。

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ボイジャー2号によって天王星に磁場の存在が確認されました。その強さは、地球とほぼ同じです。天王星の磁場の中心は惑星の中心から大幅にずれており、60゜自転軸から傾いています。そのため、地球の磁場よりずっと大きく変動するといわれています。

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[天王星-3]天王星の明るいリング

天王星がもつリングも、土星と同じように多くの細いリングが集まってできています。全体としてとても暗いため、氷のような物質ではなく、岩石のようなものの粒からできていると考えられます。現在までに大きく11本のリングが見つかりました。 リングの中には、衛星の存在によって、形を保っていると考えられるものもあります。ε(イプシロン)リングは、外側に衛星オフィーリアが、内側にコーデリアがあります。オフィーリアはリング粒子を内側にとどめるようにし、コーデリアはリング粒子を外側へ押しやるために、リングの形が保たれています。このようなはたらきをする衛星を羊飼い衛星と呼びます。

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前図左はハップル宇宙望遠鏡がとらえた天王星。帯状の雲が並行に走っているのがわかります。ひときわ明るい雲はユーラシアのような大陸ほどの大きさがあります。

前図右は衛星コーデリアとオフィーリアという羊飼い衛星がεリングを構成する粒子を集め、リングを保っている観測画像です。

[天王星-4]天王星の発見

天王星が惑星として確認されたのは比較的近代になってからです。実際には何度も観測されてはいたが惑星とは認識されていませんでした。知られている観測例は、1690年にジョン・フラムスティードがおうし座34番星として記録したものが最古です。 1781年3月13日、ウィリアム・ハーシェルが天王星を観測しました。彼はそれが新天体であることには気づいていましたが、彗星だと考え、同年3月22日に彗星を発見したと発表しました。

しかしその後、観測が進むと、彗星だと仮定して求めた軌道は観測に合いませんでした。そこで、アンデル・レクセルは円軌道を仮定して軌道を求め、観測結果を説明することに成功しました。求められた軌道長半径は18.93au(天文単位)で、新天体は土星のはるか遠方の、それまで思われていたよりもずっと巨大な天体であることがわかりました。これ以後、新天体は惑星と見なされるようになりました。

ハーシェルは新惑星をイギリス国王ジョージ3世にちなみ、ゲオルギウム・シドゥス(Georgium Sidus、ラテン語で「ジョージ星」という意味)と名付けました(のちに、sidusは恒星であって惑星ではないという指摘を受け、ジョージアン・プラネット (Georgian Planet) に改名)。しかし、イギリス以外では普及しませんでした。1784年にジェローム・ラランドが提案した “ハーシェル” は、フランスの天文学者の間に広まりました。その後も多くの名前が提案されましたが、最終的に、ヨハン・ボーデが提案したウラヌス (Uranus) が広まりました。1827年までにはイギリスでもこの名が最も一般的になり、全ての天文台がウラヌスに切り替えたのは1850年でした。なお、中国で生まれた「天王星」という訳語が、日本・韓国・ベトナムにも広まりました。

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[天王星-5]探査機ボイジャー2号

天王星に接近した宇宙探査機は1977年8月20日に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局のボイジャー2号ただ一機です。ボイジャー2号は1986年1月24日に天王星に最接近し、天王星のほか、環や衛星を撮影しました。 日本では、1970年代にN-Iロケットを使用した探査が検討されましたが、当時はスイングバイ技術を有していなかった事や観測衛星の性能不足などから実現しませんでした。

ボイジャー2号(Voyager2)は、NASAが太陽系の外惑星系を探査するために打ち上げられた無人宇宙探査機です。ボイジャー計画の一環として、姉妹機であるボイジャー1号の16日前に打ち上げられました。木星と土星に到達するのに時間はかかりましたが、さらにその先の天王星と海王星の接近に成功しました。巨大氷惑星を訪れた唯一の探査機で、また木星・土星・天王星・海王星の「グランドツアー」を初めて実現した探査機となりました。

その主な任務は、1986年に天王星、1981年に土星、1979年に木星を訪問した後の1989年10月2日の海王星探査に伴って終了しました。ボイジャー2号は現在、 41年4か月と30日間稼働し続けており、ディープスペースネットワークを通じて通信を行っています。

ボイジャー2号は2018年末時点で、太陽からの距離は119au(178億 km)で、太陽に対して15.374km/s(55,347km/h)の速度で移動していて、太陽系を脱出する5つの探査機のうち、4番目に太陽系の脱出速度に達成した探査機です。2018年12月、ボイジャー2号が2018年11月5日に太陽圏(ヘリオスフィア)を離脱して恒星間空間に達したと公式に発表され、星間プラズマの密度と温度の直接測定を始めていました。

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[天王星-6]天王星の五大衛星

21世紀初頭現在、天王星には27個の衛星と13本の環が発見されており、衛星はすべて命名されています。

天王星の衛星は1787年、惑星本体の発見者でもあるウィリアム・ハーシェルによって最初の2個が発見されました。後にこの二個の衛星はウィリアム・ハーシェルの息子ジョン・ハーシェルにより、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』に登場する妖精から、「ティタニア」と「オベロン」と命名されました。

更に、1851年にウィリアム・ラッセルが2個の衛星を発見し、「アリエル」と「ウンブリエル」と名付けました。1948年にはジェラルド・カイパーが「ミランダ」を発見しています。

その後の天王星の衛星にはシェイクスピアかアレキサンダー・ポープの作品中の登場人物名がつけられています。

また、これら20世紀初頭までに発見された5衛星を「天王星の五大衛星」と呼ぶこともあります。

<ミランダ>

ミランダは、氷と岩石質の入り混じった、470km ほどの小型衛星である。天王星の五大衛星の中で最も小さいのがミランダです。

ミランダの表面は、20km の深さの谷や断層で覆われ、古い地質と新しい地質が混在しています。ミランダは過去に7 回ほど破壊され、その都度、破片が集合して衛星になったようです。

<アリエル>

天王星系で最も明るい衛星がアリエルです。

アリエルの表面には、長い谷が多く刻まれているが、その底部は比較的滑らかです。かつて、アンモニアやメタンの液体が流れたのかもしれません。

アリエルはシェイクスピアの戯曲テンペストに登場する空気の精霊である。

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<ウンブリエル>

ウンブリエルは天王星系で最も暗い衛星です。

地表は古く全面がクレーターに覆われています。サイズ、密度はアリエルとほぼ同じですが、表面の明るさは正反対です。ウンブリエルはポープの髪盗人に登場する悪霊の名前です。

<ティタニア>

天王星系最大の衛星がティタニアです。

表面はゴツゴツとしており、小型のクレーターで覆われています。地質活動の跡も確認されています。

ティタニアは、シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」に登場する妖精の王オベロンの后の名です。

<オベロン>

オベロンは氷とクレーターに包まれた衛星です。

黒い噴出物がクレーターの底を覆っています。このことから、オベロン内部は活発であると考えられています。オベロンの表面には、光条を持つクレーターも存在します。オベロンは、シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」に登場する妖精の王の名です。

1787年1月11日にウィリアム・ハーシェルによってティタニアとともに発見されました。なお、ウィリアム・ハーシェルは天王星の発見者でもあります。

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その後1985年から1986年にかけてボイジャー2号が天王星に到達し、新たに10個の衛星が発見されました。このうちコーディリアとオフィーリアはε環(当時発見されていた中では一番外側の環)を挟むように公転する、いわゆる羊飼い衛星です。

そして、現在まで天王星の衛星は27個が確認、環も13本発見されています。

以上で太陽系の惑星「天王星」のお話は終了です。次回は「海王星」を予定しています。

<参考・引用資料>

「徹底図解 宇宙のしくみ」編集・発行元:新星出版社

「NASAホームページ」、「JAXAホームページ」

「Wikipedia」天王星

「ホーキング織野のサラリーマン宇宙を語る」ホームページ